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〈トーク2026〉 俳人 夏井いつきさん 成長と楽しみは身近に ~愛媛発~ 2026年4月11日

 俳句に親しみ、俳句を楽しみ、俳句を愛するまち――愛媛・松山市を拠点に、俳人・夏井いつきさんは俳句の魅力を発信し、普及を促す「俳句の種まき活動」に取り組んでいます。テレビやラジオだけでなく、全国各地での「句会ライブ」や、YouTube配信など、精力的に活動する夏井さんに、四国男子部長の田村幸一さん、愛媛総県池田華陽会委員長の渡部華奈さんと、俳句を通じて広げたい思いなどを語り合ってもらいました。

【ゲスト】俳人 夏井いつきさん
俳句広める句会ライブを全国で

 なつい・いつき
 俳句集団「いつき組」組長。
 中学校教諭を8年間務め、俳人へ転身。
 創作活動や俳句の種まき活動の他、「俳句甲子園」の創設にも携わる。
 俳都松山大使。テレビ・ラジオでも活躍。
 著書『夏井いつきの俳句添削事典』など。

【対談者】四国男子部長 田村 幸一さん
師の行動の後を継ぎ体現したい

 たむら・こういち
 四国男子部長。
 四国中の青年へ、信心の喜びを届ける励ましに奔走。
 元小学校教諭。2015年に「脳脊髄液漏出症」と診断され、1年半後に克服する。
 創価学会四国池田文化会館勤務。2児の父。

【対談者】愛媛総県池田華陽会委員長 渡部華奈さん
求道の心を燃やして学び続ける

 わたなべ・かな
 愛媛総県池田華陽会委員長。
 専門学校生時代、創価家族の励ましで悩みを乗り越えた。愛媛県内の10代、20代の女性たちと爽やかな連帯を築く。
 元理学療法士。創価学会愛媛文化会館勤務。国語好き。

一言では語れない魅力

 田村 夏井さんは教員をされていたんですね。私も以前、小学校に勤めていましたので、今日は、いろいろと教えていただけるとうれしいです。夏井さんが俳句の魅力を伝えようと思われたのはなぜですか。

 夏井 私が俳句を始めた頃、俳句は「古くさいもの」と思われていました。“このままでは俳句文化が朽ちてしまう”と危機感を抱き、活動を始めて三十数年になります。

 渡部 私は小・中学・高校時代に、授業で俳句を学ぶ機会がありました。句を詠むのは難しいというイメージがあります。

 夏井 そうですよね。一番、楽しんでもらえるのは、句会を体験してもらうことです。だから最初にやったのは、「誰でも5分で1句できる技」をお伝えする行脚でした。今、「句会ライブ」として全国を回っています。俳句を通して笑顔になったり、胸がジーンとして、もらい泣きしたり、そういうことが実際に起こるんです。

 田村 句会ライブは、最初は学校から始めたそうですね。今では多くの方で盛り上がるイベントになっています。

 夏井 今は平均で500人位が集まり、もっと多い時もあります。大体、俳句を作ったことのない人ばかりなので、先ほどの「技」を教えます。言う通りにやれば、誰でも1句できます。ぜひ、体験してください(笑)。その場で作った俳句を皆さんの前で私が選び、決勝7句を大きなスクリーンに映します。そして、皆で議論して1位を決めるんです。
 ……まだ俳句の魅力に、たどり着いてないですよね?(笑)

涙あり、笑いありで、白熱する「句会ライブ」(夏井&カンパニー提供)
涙あり、笑いありで、白熱する「句会ライブ」(夏井&カンパニー提供)
心のベクトルが変わる

 渡部 その人数で議論するって、すごいことになりそうです。

 夏井 17音の俳句では、誰もが作り手にも読み手にもなれます。両方やるので、書く力と読み解く力が、同時に鍛えられます。作品に共感して、自分でも作ってみる。俳句を通して言葉の力を手にした人たちは、読み解く中で心も一緒に育っているから、バランスが良いんです。

 田村 コミュニケーション能力を高められるのは憧れます。最近は、SNSが広がり、言葉の使い方の難しさを感じます。

 夏井 心ない批判コメントが問題になっていますね。心と言葉って車の両輪みたいなものです。どちらかだけ大きくなっても、前に進みません。俳句は短い言葉なので、読み解く時に、いろいろ想像しないといけない。でも、作者の気持ちを当てるクイズではないんです。17音の言葉が全て。むしろ、いろいろな人が、いろいろなふうに読み解くことが、作品を豊かにしていくんです。

 渡部 以前は憂鬱そうだった私の祖母は、俳句を詠むようになって生き生きしています。

 夏井 お元気になって何よりです。実は、うつが改善した俳句仲間は、たくさんいるんです。医学的なことは医師に任せるとして、私の体験的に言うと、俳句は日々、観察の練習をしているようなものなんです。例えば、お題を調べ、季語を観察します。すると、身の回りにある何もかもが俳句のタネになると気付くんです。
 俳句を作ろうとすると、自分の心のベクトルを内側から外側に向けるようになる。俳句のタネって、自分の外にしかないんですよ。それを続けると、自分を客観的に見るきっかけが生まれます。

 渡部 身の回りの全てが俳句のタネになるんですね。周囲の価値に気付く視点って、生命の強さを感じます。

 夏井 そこに、生きる力が培われていく。こういう話をすると、よく何か宗教みたいって言われるの(笑)。

 田村 昨日、見えなかった景色が見えるようになり、気付かなかったことに気付くようになる――まさに「人間革命」に通じますね。

 夏井 いろいろな方にお話しするんですが、俳句っていうアイテムを一つ持つのは、自分の心の中に美しい宗教を持っているのと一緒のようなものなのよ、と。
 そして、自分にとって俳句が、いいことをいっぱいもたらしてくれているんだったら、誰かにそれを、お渡しすることもやってほしいと、いつも話しています。
 じわじわ魅力に近づいていますね?

道後温泉の程近く。夏井さんが庵主を務める句会場の伊月庵(夏井&カンパニー提供)
道後温泉の程近く。夏井さんが庵主を務める句会場の伊月庵(夏井&カンパニー提供)
大海で自分を保つ存在

 田村 夏井さんは、俳人の黒田杏子さんに師事されたそうですが、夏井さんにとっての師匠とは、どんな存在でしょうか。

 夏井 黒田杏子先生の句集を読み、“この人を先生にする”と勝手に決めました(笑)。先生が投句欄の選者を務める月刊誌に投稿していました。先生と句座を囲めることは、年に1回もなかったです。投句の用紙に、自分の句を分析してリポートを送っていました。その時やってきたことが、今の足腰になっていると思います。

 田村 たとえ会えなくても学び続ける、ものすごい求道心です。

 夏井 多忙な時、先生から「今度、この依頼を受けなさい」と連絡があるんです。そういう負荷には、断らずに挑戦してきました。表現の世界に身を置いていると、評判ばかりが気になり、自分が分からなくなる時があるんです。そんな時、師匠の存在が軸足となります。表現の大海で迷わず自分を保ち続けるための大事な指標です。
 晩年、先生との電話で「もう、弟子じゃない」と言われました。驚いて真意を聞くと、「同志だから」って。うれしいような、悲しいような……。その時、自分の思うことを、どんどんやりなさいと言ってくださったんです。

 渡部 純粋に師匠を求める心を学ばせていただきました。困難に直面した時、師匠が示された指針を、どう受け止めるかを、よく考えていきます。

 田村 私は、自分が師匠と定めた池田先生と同じ思いで励ましの輪を広げようと、改めて、決意しました。今度、俳句の魅力を体感するため、ぜひ句会ライブに参加してみたいと思います。

「私は、たぐいまれな師匠を持ったと思います」と語る夏井さん㊨
「私は、たぐいまれな師匠を持ったと思います」と語る夏井さん㊨

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