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〈信仰体験〉 不登校支援の団体代表
〈信仰体験〉 不登校支援の団体代表
2026年6月21日
- ミカタの“輪っか”を広げたい
- ミカタの“輪っか”を広げたい
区内の集会所で「Musub.i.me」の参加者とおしゃべりに花を咲かせる植竹さん㊥。「居場所は空間じゃなくて、人そのものだと思うんです」。温かい心の輪を広げようと歩む
区内の集会所で「Musub.i.me」の参加者とおしゃべりに花を咲かせる植竹さん㊥。「居場所は空間じゃなくて、人そのものだと思うんです」。温かい心の輪を広げようと歩む
【東京都大田区】緊張した面持ちだった小学生がパンケーキを焼き上げると、表情を緩めた。「おいしそー!」。隣で誰よりもはしゃいでいる、植竹貴美子さん(43)=地区女性部長。学校に行けない子どもたちの支援団体「Musub.i.me」(むすびめ)の代表を務める。「気軽に立ち寄れる、“充電基地”を目指したい」。みなぎるエネルギーで、子どもたちを包み込む。
【東京都大田区】緊張した面持ちだった小学生がパンケーキを焼き上げると、表情を緩めた。「おいしそー!」。隣で誰よりもはしゃいでいる、植竹貴美子さん(43)=地区女性部長。学校に行けない子どもたちの支援団体「Musub.i.me」(むすびめ)の代表を務める。「気軽に立ち寄れる、“充電基地”を目指したい」。みなぎるエネルギーで、子どもたちを包み込む。
この日はみんなでパンケーキ作りを楽しんだ
この日はみんなでパンケーキ作りを楽しんだ
普段は児童相談所に勤める心理判定員として、子どもの知能検査や、特性をつかむための面談に取り組む。
一方で学校に行けない子どもの自宅を訪問し、話し相手になる「メンタルフレンド」としても活動する。
「全部つながっていて。子どもを一目見て、今やるべきことはこれだなって、パッと動けるようになったのかもしれません」
3年前に支援団体を立ち上げたのも、「相談したくても、どうしていいか分からず、孤立する家庭がたくさんあります。最初の窓口になれたら」という思いからだった。
そんな植竹さんも、不登校の経験がある。
小学4年の春。新しい担任のもとで新学期を迎えた。少し怖い男性教師だった。
植竹さんは給食が苦手。初日こそ見逃してくれたものの、2日目は居残り、3日目には叱責された。
下校する時に「明日は頑張ろうな」と言われ、翌日から行けなくなった。食べ物の匂いを嗅ぐだけで、吐き気をもよおす。部屋で布団をかぶったまま、一日を過ごした。
普段は児童相談所に勤める心理判定員として、子どもの知能検査や、特性をつかむための面談に取り組む。
一方で学校に行けない子どもの自宅を訪問し、話し相手になる「メンタルフレンド」としても活動する。
「全部つながっていて。子どもを一目見て、今やるべきことはこれだなって、パッと動けるようになったのかもしれません」
3年前に支援団体を立ち上げたのも、「相談したくても、どうしていいか分からず、孤立する家庭がたくさんあります。最初の窓口になれたら」という思いからだった。
そんな植竹さんも、不登校の経験がある。
小学4年の春。新しい担任のもとで新学期を迎えた。少し怖い男性教師だった。
植竹さんは給食が苦手。初日こそ見逃してくれたものの、2日目は居残り、3日目には叱責された。
下校する時に「明日は頑張ろうな」と言われ、翌日から行けなくなった。食べ物の匂いを嗅ぐだけで、吐き気をもよおす。部屋で布団をかぶったまま、一日を過ごした。
家族でのひととき(右から植竹さん、父・谷川公一さん、母・いつ子さん、姉・藤元嘉子さん)
家族でのひととき(右から植竹さん、父・谷川公一さん、母・いつ子さん、姉・藤元嘉子さん)
その後の記憶はわずかだ。母の谷川いつ子さん(81)=女性部副本部長=が、「あなたは悪くない」と抱き締めてくれたこと。同級生が部屋に来てくれたのがうれしくて、布団から顔を出して遊んだこと。つらかった記憶には、いつしかふたがされた。植竹さんは夏休み明けから通学するようになる。
記憶のふたを開いたのは、自身が母親になった時だ。
夫の康則さん(45)=区書記長=と結婚し、3人の子育てに奮闘してきた。長女・一花さん(18)=女性部員=が小学1年の時、生活環境の変化から、学校へ行くのがつらい時期があった。
「大丈夫だよ」。そう抱き締めたものの、日を増すごとに不安が募っていく。どれくらい続くのか、どう声をかけたらいいのか、分からない。
「ママも、行けなかったことがあるの」。そう寄り添いたくて、記憶をたどるも、自分がどうやって行けるようになったのか、思い出せなかった。
母に当時のことを尋ねてみる――。学校側に掛け合い、協議の場を設けたこと。担任から謝罪されたこと。クラスメートに連絡して、部屋に来てもらったこと。母がいくつも手を尽くしてくれていたことを、植竹さんは初めて知った。
その後の記憶はわずかだ。母の谷川いつ子さん(81)=女性部副本部長=が、「あなたは悪くない」と抱き締めてくれたこと。同級生が部屋に来てくれたのがうれしくて、布団から顔を出して遊んだこと。つらかった記憶には、いつしかふたがされた。植竹さんは夏休み明けから通学するようになる。
記憶のふたを開いたのは、自身が母親になった時だ。
夫の康則さん(45)=区書記長=と結婚し、3人の子育てに奮闘してきた。長女・一花さん(18)=女性部員=が小学1年の時、生活環境の変化から、学校へ行くのがつらい時期があった。
「大丈夫だよ」。そう抱き締めたものの、日を増すごとに不安が募っていく。どれくらい続くのか、どう声をかけたらいいのか、分からない。
「ママも、行けなかったことがあるの」。そう寄り添いたくて、記憶をたどるも、自分がどうやって行けるようになったのか、思い出せなかった。
母に当時のことを尋ねてみる――。学校側に掛け合い、協議の場を設けたこと。担任から謝罪されたこと。クラスメートに連絡して、部屋に来てもらったこと。母がいくつも手を尽くしてくれていたことを、植竹さんは初めて知った。
長女の一花さん㊧も時折、顔を見せてくれる
長女の一花さん㊧も時折、顔を見せてくれる
記憶がつながるにつれ、当時の情景がよみがえった。
部屋にこもっている間、聞こえてくる母の題目の声。「普段は温厚なのに、すっごい真剣で、怒気がこもっていて」。わが子の悩みを信心でとらえ、立ち向かっていく姿がまぶたに浮かんだ。
もう迷うことはなかった。植竹さんは、同世代のヤング・ミセス(当時)の同志にも支えられた。不安を吐露すれば、「分かる、分かる」と共感してくれる“居場所”そのものがありがたかった。
植竹さんは、池田先生の『希望対話』の言葉に触れる。〈すべての人が「宇宙の中で、かけがえのない存在」です〉
池田先生の言葉に、じわっと心の奥が温かくなる。「ゼッタイ、大丈夫だよ」。今度こそ、確信の響きを込めた。
やがて一花さんは、学校を楽しめるようになったが、中学校に進学すると、思春期ならではの悩みにぶつかった。
植竹さんが「行かなくてもいいんだよ」と声をかけても、「行かないと、負けた気がする」と聞かなかった。
毎朝、つらい表情で登校する一花さんの背中を見ながら、送り出すのは苦しかった。唱題を重ねる中で、ふと気付く。娘は懸命に頑張っている。「だったら、何があっても乗り越えていける人間に」と祈りが変わった。
長男・一誓さん(14)=中学3年、次男・一心さん(9)=小学3年=にも、それぞれに葛藤の時期が合った。子どもたちと向き合う中で、植竹さんは同じように悩むママ友から、相談を受けることも多かった。
記憶がつながるにつれ、当時の情景がよみがえった。
部屋にこもっている間、聞こえてくる母の題目の声。「普段は温厚なのに、すっごい真剣で、怒気がこもっていて」。わが子の悩みを信心でとらえ、立ち向かっていく姿がまぶたに浮かんだ。
もう迷うことはなかった。植竹さんは、同世代のヤング・ミセス(当時)の同志にも支えられた。不安を吐露すれば、「分かる、分かる」と共感してくれる“居場所”そのものがありがたかった。
植竹さんは、池田先生の『希望対話』の言葉に触れる。〈すべての人が「宇宙の中で、かけがえのない存在」です〉
池田先生の言葉に、じわっと心の奥が温かくなる。「ゼッタイ、大丈夫だよ」。今度こそ、確信の響きを込めた。
やがて一花さんは、学校を楽しめるようになったが、中学校に進学すると、思春期ならではの悩みにぶつかった。
植竹さんが「行かなくてもいいんだよ」と声をかけても、「行かないと、負けた気がする」と聞かなかった。
毎朝、つらい表情で登校する一花さんの背中を見ながら、送り出すのは苦しかった。唱題を重ねる中で、ふと気付く。娘は懸命に頑張っている。「だったら、何があっても乗り越えていける人間に」と祈りが変わった。
長男・一誓さん(14)=中学3年、次男・一心さん(9)=小学3年=にも、それぞれに葛藤の時期が合った。子どもたちと向き合う中で、植竹さんは同じように悩むママ友から、相談を受けることも多かった。
植竹さん一家でパシャリ!(前列右から反時計回りに次男・一心さん、植竹さん、夫・康則さん、長女・一花さん、長男・一誓さん、愛犬・一〈イチ〉ちゃん。本人提供)
植竹さん一家でパシャリ!(前列右から反時計回りに次男・一心さん、植竹さん、夫・康則さん、長女・一花さん、長男・一誓さん、愛犬・一〈イチ〉ちゃん。本人提供)
「つよきすけをかいぬればたおれず」(新1940・全1468)。今こそ自分が、“ゼッタイの味方”に。そうした決意から、不登校の支援に走り出した。
「Musub.i.me」は、週1回の開催。ゲームやお菓子作りを楽しみ、子どもたちの提案で遠足に出かけることもある。
思い思いの過ごし方をしていい。植竹さんは、保護者からじっくり話を聞いたり、子どもと一緒になって走り回ったり。
園児から高校生まで幅広く受け入れ、“してはいけないこと”は設けていない。深刻な問題を抱えていれば、必要に応じて支援機関との連携も取る。
児童相談所での経験が生かされている。「大切なのは、家庭を支えるための“輪っか”のような人のつながりです。その結び目のような存在になりたい」
ある日、高校生たちとのおしゃべりで、植竹さんは問いかけた。「不登校っていうけど、『不』の字が良くないよね。他に呼び方ないかな?」
すると「脱獄成功者!」「選択的登校者? いや戦略的?」と、それぞれの言葉が。
一方的に「×」を付けるのではなく、生きる力を信じ、伸ばしていけるように。「来る人みんな、充電しちゃうゾって感じです(笑)」
未来を思うミカタの輪っかを、植竹さんは広げていく。
「つよきすけをかいぬればたおれず」(新1940・全1468)。今こそ自分が、“ゼッタイの味方”に。そうした決意から、不登校の支援に走り出した。
「Musub.i.me」は、週1回の開催。ゲームやお菓子作りを楽しみ、子どもたちの提案で遠足に出かけることもある。
思い思いの過ごし方をしていい。植竹さんは、保護者からじっくり話を聞いたり、子どもと一緒になって走り回ったり。
園児から高校生まで幅広く受け入れ、“してはいけないこと”は設けていない。深刻な問題を抱えていれば、必要に応じて支援機関との連携も取る。
児童相談所での経験が生かされている。「大切なのは、家庭を支えるための“輪っか”のような人のつながりです。その結び目のような存在になりたい」
ある日、高校生たちとのおしゃべりで、植竹さんは問いかけた。「不登校っていうけど、『不』の字が良くないよね。他に呼び方ないかな?」
すると「脱獄成功者!」「選択的登校者? いや戦略的?」と、それぞれの言葉が。
一方的に「×」を付けるのではなく、生きる力を信じ、伸ばしていけるように。「来る人みんな、充電しちゃうゾって感じです(笑)」
未来を思うミカタの輪っかを、植竹さんは広げていく。