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小説「新・人間革命」に学ぶ 第15巻 解説編 池田主任副会長の紙上講座 2020年1月29日

  • 連載〈世界広布の大道〉
イラスト・間瀬健治
イラスト・間瀬健治

 今回の「世界広布の大道 小説『新・人間革命』に学ぶ」は第15巻の「解説編」。池田博正主任副会長の紙上講座とともに、同巻につづられた珠玉の名言を紹介する。

紙上講座 池田主任副会長
04:05
ポイント
①仏法者の使命
②具体的な提案
③創価大学の軌跡

 第15巻「開花」の章に、「日蓮仏法の最たる特徴は、『広宣流布の宗教』」(303ページ)であり、「立正安国の宗教」(304ページ)とあります。

 「立正」(正を立てる)とは、仏法の哲理を一人一人の胸中に打ち立てることです。「立正」は、仏法者の宗教的使命ともいえます。

 「安国」(国を安んずる)とは、「立正」の帰結として、社会の平和と繁栄を築いていくこと。いわば、仏法者の社会的使命が「安国」です。この「安国」の実現があってこそ、仏法者の宗教的使命は完結します。

 1970年(昭和45年)5月3日、山本伸一は本部総会で、広宣流布とは「妙法の大地に展開する大文化運動」(7ページ)と宣言します。

 「安国」の実現という使命を果たすため、学会は「文化という人間性の力をもって、社会を建設していく」(329ページ)運動を進めます。この「文化運動」の先頭に立ったのが、伸一でした。

 「蘇生」の章に、この頃から、彼がメンバーへの激励のために、和歌や句、詩を詠んで贈るように努めたことが記されています。伸一の詩は、「人びとに平和と幸福の大道を指し示す詩」(74ページ)であり、「仏法の眼をもって、自然と世界をとらえた詩」(同)でした。

 また、「開花」の章では、伸一が北海道で写真を撮影する場面が描かれています。彼をカメラに向かわせる源泉は、「写真をもって、人間文化の旗手である同志を励まし、讃え、勇気づけたい」(315ページ)との思いでした。

 日本を代表する写真家・白川義員氏は「池田先生の作品には“一人でも多くの人を幸せにしたい”との先生の純粋な心がにじみ出ています」と述べています。この言葉に象徴されるように、先生の写真は「励ましの心」があふれています。

 聖教新聞では、池田先生が撮影した写真と共に、先生の詩などを紹介する「四季の励まし」を掲載しています。それは、「『負けるな! 強くあれ! 私とともに進もう』との、同志への励ましのメッセージ」(328ページ)となっています。

北海道函館市の訪問で、函館山からの景色をカメラに収める池田先生(1971年6月)
北海道函館市の訪問で、函館山からの景色をカメラに収める池田先生(1971年6月)
提言の実現に向けて

 学会が人間文化の創造への取り組みを本格的に開始した当時、イタイイタイ病や水俣病などの公害問題が、社会の大きな関心事となっていました。

 伸一は、深刻化する公害問題について、大手出版社の総合月刊誌に「日本は“公害実験国”か!」と題する原稿を執筆。さらに、東洋哲学研究所が発行する季刊誌にも公害問題に関する論文を発表します。

 それは、公害を「文明というマクロな観点」(33ページ)から捉え、「公害をもたらした思想の、淵源にさかのぼり、その根本的な解決の方途を明確に示した点」(同)に特徴がありました。

 戸田先生はかつて、伸一にこう語っています。
 「人類の平和のためには、“具体的”な提案をし、その実現に向けて自ら先頭に立って“行動”することが大切である」(第30巻<下>「誓願」の章、237ページ)
 「たとえ、すぐには実現できなくとも、やがてそれが“火種”となり、平和の炎が広がっていく。空理空論はどこまでも虚しいが、具体的な提案は、実現への“柱”となり、人類を守る“屋根”ともなっていく」(同)

 公害問題に関する論文の発表は、この恩師の指針の実践であり、池田先生が1983年(昭和58年)以降、1・26「SGIの日」を記念して毎年発表している提言も同様です。

 先生はこれまで、SGI提言で数々の平和構想を示してきました。その実現へ向けて、学会青年部が「SOKAグローバルアクション2030」を開始しました。

 10年後の2030年は、学会創立100周年であり、国連が掲げる開発目標の決勝点です。その年を目指し、①核兵器廃絶と反戦の潮流の拡大②アジアの友好③SDGs(持続可能な開発目標)の普及・推進――に取り組んでいきます。

 先日、発表されたSGI提言で、池田先生は、この青年部の平和運動に言及され、「青年たちの連帯がある限り、乗り越えられない壁など決してないと、私は固く信じてやまないのです」と、万感の期待を寄せられました。

 未来を開くのは青年です。「青年が立つ時、時代は新しき回転を開始」(73ページ)します。青年部の縦横無尽の活躍を、私たちは心から祈っていきたいと思います。

師弟の精神の結晶

 「創価大学」の章では、開学から1期生が卒業するまでの同大学の歩みや、発展の軌跡が記されています。

 大学の正門と本部棟の正面には、牧口先生の筆による「創價大學」の文字が掲げられています。それは著書『創価教育学体系』で、創価大学・学園につながる構想を述べられているからです。

 先師の構想を継いだ戸田先生は、1950年(昭和25年)11月、自身の経営する会社が業務停止となっていた最悪の状況の中、伸一に大学設立の思いを語りました。

 伸一は、恩師の言葉を遺言として、深く心に刻みます。そして、71年(同46年)4月2日、創価大学は開学しました。この年は牧口先生の生誕100周年であり、この日は戸田先生の祥月命日です。まさに、同大学は「三代にわたる師弟の精神の結晶」(108ページ)にほかなりません。

 創立者の伸一は、大学の自主性を尊重し、開学式も、第1回入学式も、出席を見送ります。1期生との懇談の折には、「君たちみんなが、創価大学の創立者だ」(136ページ)と語ります。

 あえて大学を訪問しなかったのは、創立者と同じ思いで、学生が大学建設に必ず立ち上がると信じていたからです。そして、初の正式な来学となった「創大祭」において、「創立者の情愛があふれ、『学生中心の大学』という創価大学像」(174ページ)が鮮明となったのです。

 伸一は第1回卒業式で、仏法の「霊山一会儼然未散」(霊山一会儼然として未だ散らず)との原理に触れ、「諸君は、生涯、『創価大学の一会儼然として未だ散らず』との心で生き抜くこと」(287ページ)を提案しました。その原点を胸に、今、世界各国で活躍する創大出身者がいます。

 明2021年、創価大学は開学50周年の節目を迎えます。現在、文部科学省の「スーパーグローバル大学創成支援」事業に採択されており、SDGsの取り組みは、イギリスの教育専門誌などで高く評価されています。

 万年の平和を開くため、社会貢献の人材を輩出する、創価大学の使命は一段と大きくなっているのです。

創価大学の創立30周年記念事業として1999年に完成した本部棟。正面には、牧口先生の筆による「創價大學」の金文字が掲げられている(2019年7月3日、池田先生撮影)
創価大学の創立30周年記念事業として1999年に完成した本部棟。正面には、牧口先生の筆による「創價大學」の金文字が掲げられている(2019年7月3日、池田先生撮影)
名言集
●ヒューマニズム

 真のヒューマニズムは、人間と自然との調和、もっと端的に言えば、人間と、それを取り巻く環境としての自然とは、一体なのだという視点に立った“ヒューマニズム”であるべきである。(「蘇生」の章、27ページ)

●変革の主役

 社会を変え、時代を動かすのは民衆である。民衆が賢明になり、変革の主役となって立ち上がってこそ、歴史の地殻変動が起こるのだ。(「蘇生」の章、29ページ)

●大学で学ぶ意義

 学問や学歴は、本来、立身出世のための道具ではない。人びとの幸福に寄与するためであり、むしろ、大学で学ぶのは、大学に行けなかった人たちに奉仕し、貢献するためであるといってもよい。(「創価大学」の章、122ページ)

●教育の原点

 教育の原点は教師である。その人格こそが、教育という価値創造の根源である。ゆえに教師こそ、最大の教育環境となる。(「創価大学」の章、227ページ)

●あいさつ

 あいさつは心のドアを開くノックである。さわやかで感じのよい、あいさつの姿には、人間性の勝利がある。(「開花」の章、337ページ)

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認定NPO法人フローレンス会長。2004年にNPO法人フローレンスを設立し、社会課題解決のため、病児保育、保育園、障害児保育、こども宅食、赤ちゃん縁組など数々の福祉・支援事業を運営。厚生労働省「イクメンプロジェクト」推進委員会座長

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