〈Seikyo Gift〉 知的障がいがある真菜ちゃんは八百屋の店長〈信仰体験〉
〈Seikyo Gift〉 知的障がいがある真菜ちゃんは八百屋の店長〈信仰体験〉
2025年6月28日
- 今日も“花マル”の一日に!
- 今日も“花マル”の一日に!
店の前で、お客を迎える野草真菜さん㊨と母・美千代さん。ダンスをするかは、その日の気分次第
店の前で、お客を迎える野草真菜さん㊨と母・美千代さん。ダンスをするかは、その日の気分次第
【兵庫県西宮市】にぎやかな青果店がある。女の子のイラストが目印の「まなちゃんの八百屋」。絵のモデルは、店長の野草真菜さん(24)=女性部員。母・美千代さん(58)=地区副女性部長=の長女で、知的障がいと発達障がいがあるが、底抜けに明るい。スマートフォンをタップして、歌い手「Ado」の「唱」を流し、両手を大きく振って、店先でノリノリのダンス。道行く人もニッコニコ。そう、真菜さんは、地域の愛されキャラなのである。(4月28日付)
【兵庫県西宮市】にぎやかな青果店がある。女の子のイラストが目印の「まなちゃんの八百屋」。絵のモデルは、店長の野草真菜さん(24)=女性部員。母・美千代さん(58)=地区副女性部長=の長女で、知的障がいと発達障がいがあるが、底抜けに明るい。スマートフォンをタップして、歌い手「Ado」の「唱」を流し、両手を大きく振って、店先でノリノリのダンス。道行く人もニッコニコ。そう、真菜さんは、地域の愛されキャラなのである。(4月28日付)
「まなちゃんの八百屋」の看板
「まなちゃんの八百屋」の看板
踊り終えた真菜さんのテンションは高めのまま。お客から「今日のオススメは?」と尋ねられると、キャベツを指さしながら「トマトです」と元気いっぱい。「キャベツやないか」とツッコミが入る。1玉150円。お客は「少し安うなったなあ」と言いながら、100円のホウレンソウもカゴに入れ、お会計。
真菜さんは電卓をたたいて、「450円です、おーきに」と手のひらを出すが、「250円やろ」とこれまたツッコミが入る。
店に来るほとんどの人は、真菜さんの障がいのことを知っているが、「必要以上の優しさは御無用」。はっきりスパンと言い切るのが、関西人のええところ。真菜さんは代金を受け取ると、「明日も来る?」とニッコリ。お客も「ほな明日ね」と、ほっこり笑顔を残していく。
踊り終えた真菜さんのテンションは高めのまま。お客から「今日のオススメは?」と尋ねられると、キャベツを指さしながら「トマトです」と元気いっぱい。「キャベツやないか」とツッコミが入る。1玉150円。お客は「少し安うなったなあ」と言いながら、100円のホウレンソウもカゴに入れ、お会計。
真菜さんは電卓をたたいて、「450円です、おーきに」と手のひらを出すが、「250円やろ」とこれまたツッコミが入る。
店に来るほとんどの人は、真菜さんの障がいのことを知っているが、「必要以上の優しさは御無用」。はっきりスパンと言い切るのが、関西人のええところ。真菜さんは代金を受け取ると、「明日も来る?」とニッコリ。お客も「ほな明日ね」と、ほっこり笑顔を残していく。
真菜さんが初めてつかまり立ちできたのは、2歳の時だった。小・中学校は通常学級に通ったが、不登校に。中学卒業後は、高等専修学校に通った。一人で電車に乗って通学できたが、卒業後、真菜さんを受け入れてくれる作業所はどこにもなかった。
美千代さんは、長男・惣太さん(27)=男子部員=に相談した。就労継続支援B型事業所を立ち上げた経験があった。近くのスーパーマーケットが閉店したこともあり、自分たちで青果店を開き、そこで働いてもらうことにした。
真菜さんに言うと、「仕事って何?」という顔。
真菜さんが初めてつかまり立ちできたのは、2歳の時だった。小・中学校は通常学級に通ったが、不登校に。中学卒業後は、高等専修学校に通った。一人で電車に乗って通学できたが、卒業後、真菜さんを受け入れてくれる作業所はどこにもなかった。
美千代さんは、長男・惣太さん(27)=男子部員=に相談した。就労継続支援B型事業所を立ち上げた経験があった。近くのスーパーマーケットが閉店したこともあり、自分たちで青果店を開き、そこで働いてもらうことにした。
真菜さんに言うと、「仕事って何?」という顔。
野菜や弁当を台車に乗せて配達する
野菜や弁当を台車に乗せて配達する
2021年(令和3年)、どうにか障がい者の就労支援の一環として、「まなちゃんの八百屋」がオープン。店長は真菜さんに決定! といっても、美千代さんが代表を務める放課後等デイサービスの事業所の前に、トマトやニンジンなどをザルに入れて並べただけ。真菜さんは1分もじっとしていられない。肝心要の「いらっしゃいませ」が言えない。
そんな彼女に“ここぞ”と絡むのが関西人。「帽子を売りたいんや」と勝手に置いていく人。「肉もほしい」と冷蔵庫の設置を要求する人。何だかうれしい。
2021年(令和3年)、どうにか障がい者の就労支援の一環として、「まなちゃんの八百屋」がオープン。店長は真菜さんに決定! といっても、美千代さんが代表を務める放課後等デイサービスの事業所の前に、トマトやニンジンなどをザルに入れて並べただけ。真菜さんは1分もじっとしていられない。肝心要の「いらっしゃいませ」が言えない。
そんな彼女に“ここぞ”と絡むのが関西人。「帽子を売りたいんや」と勝手に置いていく人。「肉もほしい」と冷蔵庫の設置を要求する人。何だかうれしい。
家族の中心にはいつも真菜さんがいる(右から兄・惣太さん、真菜さん、母・美千代さん)
家族の中心にはいつも真菜さんがいる(右から兄・惣太さん、真菜さん、母・美千代さん)
オーナーになった惣太さんは、お客のニーズに応えようと、新たなスペースを借りることに。新装開店では、真菜さんのイラスト入り看板を飾った。
惣太さんは午前4時から西宮、大阪、神戸の市場をはしごし、新鮮な野菜や果物を仕入れた。それを真菜さんと美千代さん、スタッフで、30分かけて丁寧に並べていく。その10分後、真菜さんの感情が爆発し、野菜が店内に散らばったこともあった。
どんな大変な時でも美千代さんは信じた。「真菜は絶対にすごい子なんだ」
オーナーになった惣太さんは、お客のニーズに応えようと、新たなスペースを借りることに。新装開店では、真菜さんのイラスト入り看板を飾った。
惣太さんは午前4時から西宮、大阪、神戸の市場をはしごし、新鮮な野菜や果物を仕入れた。それを真菜さんと美千代さん、スタッフで、30分かけて丁寧に並べていく。その10分後、真菜さんの感情が爆発し、野菜が店内に散らばったこともあった。
どんな大変な時でも美千代さんは信じた。「真菜は絶対にすごい子なんだ」
真菜さんは幼い頃、夜泣きが多く、飲んだミルクをよく吐き出した。毎日、戦いだった。
ある時、美千代さんは、女性部の先輩から「真菜ちゃんって、どんな時に喜ぶの?」と聞かれた。いつも自分に怒られ、せかされてばかりいる姿しか思い浮かばない。うつむいていると、先輩は「真菜ちゃんはすごい人になるよ。お母さんに信心のすごさを教えてくれてるんだよ」。
先輩たちが代わる代わる真菜さんを抱っこして、美千代さんの祈る時間をつくってくれた。“こんな私のために……”。題目を唱えるほどに池田先生の心を感じた。
真菜さんは幼い頃、夜泣きが多く、飲んだミルクをよく吐き出した。毎日、戦いだった。
ある時、美千代さんは、女性部の先輩から「真菜ちゃんって、どんな時に喜ぶの?」と聞かれた。いつも自分に怒られ、せかされてばかりいる姿しか思い浮かばない。うつむいていると、先輩は「真菜ちゃんはすごい人になるよ。お母さんに信心のすごさを教えてくれてるんだよ」。
先輩たちが代わる代わる真菜さんを抱っこして、美千代さんの祈る時間をつくってくれた。“こんな私のために……”。題目を唱えるほどに池田先生の心を感じた。
美千代さんは2003年頃から、障がいがある子どもの親の集いをつくり、その後、「ゆうきっこクラブ」を立ち上げ、代表として活動している
美千代さんは2003年頃から、障がいがある子どもの親の集いをつくり、その後、「ゆうきっこクラブ」を立ち上げ、代表として活動している
街のまなざしの温かさにも支えられた。
真菜さんがファミレスに行くと、店員を呼んで、ドリアを注文。顔を覚えてくれていて、「いつも、ありがとうございます」と、ニッコリほほ笑んでくれる。
コンビニでは店員に、握った200円を渡し、「これで買えるお菓子は何?」と真菜さんが聞けば、「これですよ」と、ポテトチップスやグミを並べ、選ばせてくれた。
真菜さんの何かが変わり始めていた。
開店から1年がたった頃、店内に入ってきたお客に、真菜さんが何かボソボソと言っている。美千代さんが耳をそばだてると、「いらっしゃいませ」だった。小さな成長が美千代さんには、うれしくてたまらなかった。
街のまなざしの温かさにも支えられた。
真菜さんがファミレスに行くと、店員を呼んで、ドリアを注文。顔を覚えてくれていて、「いつも、ありがとうございます」と、ニッコリほほ笑んでくれる。
コンビニでは店員に、握った200円を渡し、「これで買えるお菓子は何?」と真菜さんが聞けば、「これですよ」と、ポテトチップスやグミを並べ、選ばせてくれた。
真菜さんの何かが変わり始めていた。
開店から1年がたった頃、店内に入ってきたお客に、真菜さんが何かボソボソと言っている。美千代さんが耳をそばだてると、「いらっしゃいませ」だった。小さな成長が美千代さんには、うれしくてたまらなかった。
美千代さんが、「一般社団法人ゆうきっこ」の職員たちと。「皆さんのことを心から信頼しています」と
美千代さんが、「一般社団法人ゆうきっこ」の職員たちと。「皆さんのことを心から信頼しています」と
真菜さんは、感情をコントロールする方法を自分で見つけたようだった。大好きなシュークリームを食べたり、家に帰って、お風呂に入ったりして気分転換。万が一、感情が爆発しても、常連客が「真菜ちゃん、どうしたん?」となだめてくれた。
そんな街の人たちに、真菜さんは、はにかみながら、ちょこんと頭を下げる。「ありがとう」の気持ちが、心と心をつないでいった。
真菜さんは、感情をコントロールする方法を自分で見つけたようだった。大好きなシュークリームを食べたり、家に帰って、お風呂に入ったりして気分転換。万が一、感情が爆発しても、常連客が「真菜ちゃん、どうしたん?」となだめてくれた。
そんな街の人たちに、真菜さんは、はにかみながら、ちょこんと頭を下げる。「ありがとう」の気持ちが、心と心をつないでいった。
ノートには花マルがいっぱい
ノートには花マルがいっぱい
今では出勤すると、弁当や野菜の配達、焼きいもの販売を黙々とやる。仕事を終えると、大学ノートに書いてある「今日やること」に職員がチェックを入れ、大きな花マルを付けてくれる。真菜さんはとびきりの笑顔を見せる。
そんな真菜さんから教わった宝物が、美千代さんの胸にはたくさんある。
今では出勤すると、弁当や野菜の配達、焼きいもの販売を黙々とやる。仕事を終えると、大学ノートに書いてある「今日やること」に職員がチェックを入れ、大きな花マルを付けてくれる。真菜さんはとびきりの笑顔を見せる。
そんな真菜さんから教わった宝物が、美千代さんの胸にはたくさんある。
真菜さんを絵を描くのが好き。ピアノも得意で、メロディーを音符ではなく音感で覚え、聴いただけで弾くこともできる
真菜さんを絵を描くのが好き。ピアノも得意で、メロディーを音符ではなく音感で覚え、聴いただけで弾くこともできる
一つ目。「桜梅桃李の己々の当体を改めずして無作の三身と開見す」(新1090・全784)。地域のイベントで、真菜さんはダンサーに挑戦した。ソロパートを任され、自由自在に踊っていた。一番キラキラしていた。
二つ目。「人のために火をともせば、我がまえあきらかなるがごとし」(新2156・全1598)。美千代さんは、真菜さんがいたから、障がい者の子どもがいる親のネットワークをつくり、今も困っている人のために生きることを喜びとしている。
三つ目、四つ目……と、御書を身で読めるようになった。「真菜は日本一の親孝行娘です」
師匠が示した「自分らしく生きる」を、とことん貫く真菜ちゃんは、やっぱり日本一!
一つ目。「桜梅桃李の己々の当体を改めずして無作の三身と開見す」(新1090・全784)。地域のイベントで、真菜さんはダンサーに挑戦した。ソロパートを任され、自由自在に踊っていた。一番キラキラしていた。
二つ目。「人のために火をともせば、我がまえあきらかなるがごとし」(新2156・全1598)。美千代さんは、真菜さんがいたから、障がい者の子どもがいる親のネットワークをつくり、今も困っている人のために生きることを喜びとしている。
三つ目、四つ目……と、御書を身で読めるようになった。「真菜は日本一の親孝行娘です」
師匠が示した「自分らしく生きる」を、とことん貫く真菜ちゃんは、やっぱり日本一!