〈子どもと学ぶ仏教説話――ミライの冒険〉　覚えるのがニガテなハンドク 〈子（こ）どもと学（まな）ぶ仏（ぶっ）教（きょう）説（せつ）話（わ）――ミライの冒（ぼう）険（けん）〉　覚（おぼ）えるのがニガテなハンドク 2024年10月10日

　創作童話「子どもと学ぶ仏教説話――ミライの冒険」では、主人公のミライが、仏教説話の世界を巡る冒険に出かけます。座談会の未来部コーナーなどでご活用ください！（イラスト　逸見チエコ）

　創（そう）作（さく）童話「子どもと学ぶ仏教説話――ミライの冒（ぼう）険（けん）」では、主人公のミライが、仏教説話の世界を巡（めぐ）る冒険に出かけます。座談会の未来部コーナーなどでご活用ください！（イラスト　逸見チエコ）

　ミライが本の世界に入ると、ブツブツと、ひとりごとを言う男の子がいました。
　「こんにちは！　何をしゃべっていたの？」
　「ボクの名前はハンドク。仏さまの教えの一つを口に出して、覚えようとしていたんだ。けれど、ボクは覚えるのがとってもニガテで」
　「ミライも、いっしょに覚えてみる！」

　ミライが本（ほん）の世（せ）界（かい）に入（はい）ると、ブツブツと、ひとりごとを言（い）う男（おとこ）の子（こ）がいました。
　「こんにちは！　何（なに）をしゃべっていたの？」
　「ボクの名（な）前（まえ）はハンドク。仏（ほとけ）さまの教（おし）えの一（ひと）つを口（くち）に出（だ）して、覚（おぼ）えようとしていたんだ。けれど、ボクは覚（おぼ）えるのがとってもニガテで」
　「ミライも、いっしょに覚（おぼ）えてみる！」

　二人は何日もかけて、教えを覚えようとしました。
　壁に言葉をきざんでみたり、着ている服に文字で書いてみたり……。
　それでも、やっぱりハンドクは、教えを覚えられませんでした。

　二人（ふたり）は何（なん）日（にち）もかけて、教（おし）えを覚（おぼ）えようとしました。
　壁（かべ）に言（こと）葉（ば）をきざんでみたり、着（き）ている服（ふく）に文（も）字（じ）で書（か）いてみたり……。
　それでも、やっぱりハンドクは、教（おし）えを覚（おぼ）えられませんでした。

　しまいには、いろんな人がやって来て、ハンドクに言うのです。
　「いつまでたっても、ハンドクは、ちっとも教えを覚えられない」
　「教えはたくさんあるんだから、そんなことでは、ダメだな」

　しまいには、いろんな人（ひと）がやって来（き）て、ハンドクに言（い）うのです。
　「いつまでたっても、ハンドクは、ちっとも教（おし）えを覚（おぼ）えられない」
　「教（おし）えはたくさんあるんだから、そんなことでは、ダメだな」

　ハンドクの目から、涙がポロッと落ちました。
　「とっても時間をかけているのに、まだ覚えることができない。ボクには、やっぱりムリなのかも……」

　ハンドクの目（め）から、涙（なみだ）がポロッと落（お）ちました。
　「とっても時（じ）間（かん）をかけているのに、まだ覚（おぼ）えることができない。ボクには、やっぱりムリなのかも……」

　でも、ずっといっしょにいたミライは、そうは思いませんでした。
　「誰がなんと言おうと、ハンドクが、頑張って覚えようとしてきたのを知ってるよ！　その、あきらめない心がいちばん大切なんじゃない？」
　「ありがとう、ミライ。ボク、まだまだ頑張って覚えてみるよ」

　でも、ずっといっしょにいたミライは、そうは思（おも）いませんでした。
　「誰（だれ）がなんと言（い）おうと、ハンドクが、頑（がん）張（ば）って覚（おぼ）えようとしてきたのを知（し）ってるよ！　その、あきらめない心（こころ）がいちばん大（たい）切（せつ）なんじゃない？」
　「ありがとう、ミライ。ボク、まだまだ頑（がん）張（ば）って覚（おぼ）えてみるよ」

　つぎの日も、またつぎの日も、ハンドクは教えの一つを覚えようと頑張り続けました。そして、ついに、覚えることができたのです。
　「やっと、ボクにも覚えられたよ！」
　「ハンドクならできるって、ミライは信じていたよ！」

　つぎの日（ひ）も、またつぎの日（ひ）も、ハンドクは教（おし）えの一（ひと）つを覚（おぼ）えようと頑（がん）張（ば）り続（つづ）けました。そして、ついに、覚（おぼ）えることができたのです。
　「やっと、ボクにも覚（おぼ）えられたよ！」
　「ハンドクならできるって、ミライは信（しん）じていたよ！」

　ハンドクは、覚えた仏さまの教えの言葉の通りに、まじめに生きて、りっぱな人へと成長し、人々からも、尊敬されるようになりました。
　ミライは安心して、本の世界から元の世界へ、帰っていきました。
　（つづく。前回は9月12日付に掲載）

　ハンドクは、覚（おぼ）えた仏（ほとけ）さまの教（おし）えの言（こと）葉（ば）の通（とお）りに、まじめに生（い）きて、りっぱな人（ひと）へと成（せい）長（ちょう）し、人（ひと）々（びと）からも、尊（そん）敬（けい）されるようになりました。
　ミライは安（あん）心（しん）して、本（ほん）の世（せ）界（かい）から元（もと）の世（せ）界（かい）へ、帰（かえ）っていきました。
　（つづく。前回は9月12日付に掲載）

　仏の教えを少しも覚えられない――仏教説話で、覚りを得ようと修行する須梨槃特は自分の名前すら忘れてしまうほどの“忘れっぽい人”として描かれます。彼は、3年かかっても、釈尊の十四文字の教えすらも、覚えることができなかったとされています。
　しかし須梨槃特は、釈尊から受けた、わずかな教えを胸に刻んでひたむきに修行し、覚りの境涯を得ました。
　今回のお話は、そんな須梨槃特を基にした、ハンドクというキャラクターが、教えを求めてひたむきに頑張る物語です。
　池田先生は、「誠実一路の人が、最後には必ず勝つ。これが仏法の世界である。真面目に、地道に、真剣に広宣流布に生き抜く人が、幸福になれないわけがない」と教えています。
　仏法を求める真剣な心が何よりも大切なのです。

　仏の教えを少しも覚えられない――仏教説話で、覚（さと）りを得ようと修行する須（す）梨（り）槃（はん）特（どく）は自分の名前すら忘（わす）れてしまうほどの“忘（わす）れっぽい人”として描（えが）かれます。彼は、3年かかっても、釈（しゃく）尊（そん）の十四文字の教えすらも、覚えることができなかったとされています。
　しかし須梨槃特は、釈尊から受けた、わずかな教えを胸（むね）に刻（きざ）んでひたむきに修行し、覚（さと）りの境（きょう）涯（がい）を得ました。
　今回のお話は、そんな須梨槃特を基（もと）にした、ハンドクというキャラクターが、教えを求めてひたむきに頑（がん）張（ば）る物語です。
　池田先生は、「誠（せい）実（じつ）一（いち）路（ろ）の人が、最後には必ず勝つ。これが仏法の世界である。真面目に、地道に、真（しん）剣（けん）に広宣流布に生き抜（ぬ）く人が、幸福になれないわけがない」と教えています。
　仏法を求める真（しん）剣（けん）な心が何よりも大切なのです。