〈インタビュー〉 寛一郎さん主演 映画「シサム」
〈インタビュー〉 寛一郎さん主演 映画「シサム」
2024年9月12日
- 9月13日(金)から全国公開
- 9月13日(金)から全国公開
江戸時代前期の蝦夷地(北海道)を舞台に、主人公の青年武士の視点を通し、アイヌ民族の文化や彼らと和人との交わりを描く映画「シサㇺ」が、9月13日(金)から全国公開される。主人公・高坂孝二郎を演じた寛一郎さんに、作品の見どころなどを聞いた。
江戸時代前期の蝦夷地(北海道)を舞台に、主人公の青年武士の視点を通し、アイヌ民族の文化や彼らと和人との交わりを描く映画「シサㇺ」が、9月13日(金)から全国公開される。主人公・高坂孝二郎を演じた寛一郎さんに、作品の見どころなどを聞いた。
青年武士・高坂孝二郎を演じた寛一郎さん
ヘアメイク:AMANO
スタイリスト:SHINICHI SAKAGAMI
青年武士・高坂孝二郎を演じた寛一郎さん
ヘアメイク:AMANO
スタイリスト:SHINICHI SAKAGAMI
――メッセージ性のある時代劇として、また、エンターテインメント作品としても興味深く拝見しました。
この映画は、孝二郎がさまざまな人との出会いや体験を通じて成長していく物語という側面もありますが、アイヌとその文化をより広く知っていただける作品でもあると思います。主人公を演じる上で、いい意味で、その“ストーリーテラー(物語の語り手)”になれればいいなと思っていました。
――メッセージ性のある時代劇として、また、エンターテインメント作品としても興味深く拝見しました。
この映画は、孝二郎がさまざまな人との出会いや体験を通じて成長していく物語という側面もありますが、アイヌとその文化をより広く知っていただける作品でもあると思います。主人公を演じる上で、いい意味で、その“ストーリーテラー(物語の語り手)”になれればいいなと思っていました。
アイヌの文化に触れていく孝二郎㊨
©映画「シサム」製作委員会
アイヌの文化に触れていく孝二郎㊨
©映画「シサム」製作委員会
――アイヌとの交易をなりわいとする高坂家の青年武士を演じられました。
特にアイヌと和人との関係性は理解しておいた方がいいと思ったので、事前に歴史などを勉強して撮影に臨みました。今まで時代物の作品に出演する中で感じてきたことは、その時代の空気感を忠実に再現することは大切ですがそれだけだと、おそらく見る人に伝わりづらいこともあるのかなと。当時の倫理規範や価値観と、今を生きる僕たちとが、どこかでシンクロ(同期)するように、自身をアップデートしなければいけないと思うようになりました。
――アイヌとの交易をなりわいとする高坂家の青年武士を演じられました。
特にアイヌと和人との関係性は理解しておいた方がいいと思ったので、事前に歴史などを勉強して撮影に臨みました。今まで時代物の作品に出演する中で感じてきたことは、その時代の空気感を忠実に再現することは大切ですがそれだけだと、おそらく見る人に伝わりづらいこともあるのかなと。当時の倫理規範や価値観と、今を生きる僕たちとが、どこかでシンクロ(同期)するように、自身をアップデートしなければいけないと思うようになりました。
事前に歴史などを勉強して今作の撮影に臨んだという寛一郎さん
事前に歴史などを勉強して今作の撮影に臨んだという寛一郎さん
――アイヌと和人との争いの間で、激しく心が揺れ動く孝二郎の姿に、胸が痛みました。
アイヌに差別意識を持っていた孝二郎が、彼らと衣食住を共にするうち、彼らが同じ人間であるという事実を受け入れていきます。他者を理解し、共存していくことに、アイヌの方々は間口が広かった。異なる文化や他者を知っていくことは本当に大切なことだと思います。
個人的に、孝二郎が葛藤の末に、どのような選択をするのかが、この作品の中でとても重要なところだと考えているので、注目していただきたいです。
――アイヌと和人との争いの間で、激しく心が揺れ動く孝二郎の姿に、胸が痛みました。
アイヌに差別意識を持っていた孝二郎が、彼らと衣食住を共にするうち、彼らが同じ人間であるという事実を受け入れていきます。他者を理解し、共存していくことに、アイヌの方々は間口が広かった。異なる文化や他者を知っていくことは本当に大切なことだと思います。
個人的に、孝二郎が葛藤の末に、どのような選択をするのかが、この作品の中でとても重要なところだと考えているので、注目していただきたいです。
アイヌと和人との争いで激しく心が揺れ動く孝二郎
©映画「シサム」製作委員会
アイヌと和人との争いで激しく心が揺れ動く孝二郎
©映画「シサム」製作委員会
――オファーを受けた時は、どのような心境でしたか?
実は幼い頃に、アイヌの集落に2週間ほど滞在したことがあったんです。その経験から、アイヌには元々、興味を抱いていました。彼らの文化を一つの映画作品として残せるなら、こんなにすてきなことはないなと思い、やらせていただきました。
――今作は、北海道の白糠町でロケが行われましたね。
白糠町の皆さまに本当によくしていただいて、天候も素晴らしく、広大な自然の中で撮影することができました。マダニにかまれないように気を付けたり、熊の対策で定期的に爆竹を鳴らしたりしたのは、ご当地ならではでした(笑)。1カ月くらい町に宿泊したので、キャストやスタッフとのチームワークも自然と深まりました。
――オファーを受けた時は、どのような心境でしたか?
実は幼い頃に、アイヌの集落に2週間ほど滞在したことがあったんです。その経験から、アイヌには元々、興味を抱いていました。彼らの文化を一つの映画作品として残せるなら、こんなにすてきなことはないなと思い、やらせていただきました。
――今作は、北海道の白糠町でロケが行われましたね。
白糠町の皆さまに本当によくしていただいて、天候も素晴らしく、広大な自然の中で撮影することができました。マダニにかまれないように気を付けたり、熊の対策で定期的に爆竹を鳴らしたりしたのは、ご当地ならではでした(笑)。1カ月くらい町に宿泊したので、キャストやスタッフとのチームワークも自然と深まりました。
「熊の対策で定期的に爆竹を鳴らしたのは、ご当地ならではでした」と笑顔で振り返る
「熊の対策で定期的に爆竹を鳴らしたのは、ご当地ならではでした」と笑顔で振り返る
――観客の皆さまへのメッセージをお願いします。
人間ドラマ、エンターテインメントとしても見やすい作りになっていますし、アイヌのことを詳しく知らない人やご存じの方も、楽しんでいただけます。この映画が、皆さまにアイヌを深く知っていただくきっかけになれば、とてもうれしいです。
――観客の皆さまへのメッセージをお願いします。
人間ドラマ、エンターテインメントとしても見やすい作りになっていますし、アイヌのことを詳しく知らない人やご存じの方も、楽しんでいただけます。この映画が、皆さまにアイヌを深く知っていただくきっかけになれば、とてもうれしいです。
◆取材後記
◆取材後記
飾らない人柄――寛一郎さんに抱いた印象だ。「俳優として心掛けていることは?」との問いに、「特にないんです(笑)。あえて言えば自然体でいること」と、意外な答えが。自身の発言についても思うところがあれば、「あ、でも、これ違いますね……」と、その場で訂正。明確な回答が浮かばない時は「分かりません。調べてお答えしてもいいですか?」と率直に。また、生きていく中で悩んだ時は「人と会話をする」と語り、「相談できる友人がいることがありがたい」とも。心が青空のように爽やかになる取材だった。
「シサㇺ」とは、アイヌ語で「隣人」の意味。目の前の人と誠実に向き合い、身の回りの人を大切にする寛一郎さんにぴったりの言葉だ。
飾らない人柄――寛一郎さんに抱いた印象だ。「俳優として心掛けていることは?」との問いに、「特にないんです(笑)。あえて言えば自然体でいること」と、意外な答えが。自身の発言についても思うところがあれば、「あ、でも、これ違いますね……」と、その場で訂正。明確な回答が浮かばない時は「分かりません。調べてお答えしてもいいですか?」と率直に。また、生きていく中で悩んだ時は「人と会話をする」と語り、「相談できる友人がいることがありがたい」とも。心が青空のように爽やかになる取材だった。
「シサㇺ」とは、アイヌ語で「隣人」の意味。目の前の人と誠実に向き合い、身の回りの人を大切にする寛一郎さんにぴったりの言葉だ。
寛一郎さんの飾らない人柄と爽やかな笑顔に、心が晴れやかになる取材だった
寛一郎さんの飾らない人柄と爽やかな笑顔に、心が晴れやかになる取材だった
◆プロフィル
かんいちろう 1996年8月16日生まれ、東京都出身。近年の主な出演作は、NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(2022年)、映画「せかいのおきく」(23年)、「首」(同)、「ナミビアの砂漠」(24年)。今秋以降に動画配信サービスで配信予定のドラマ「HEART ATTACK」(フジテレビ×米スカイバウンド共同制作)では主演を務める。TBS系スペシャルドラマ「グランメゾン東京」(24年冬)、映画「グランメゾン・パリ」(同)にも出演予定。
◆プロフィル
かんいちろう 1996年8月16日生まれ、東京都出身。近年の主な出演作は、NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(2022年)、映画「せかいのおきく」(23年)、「首」(同)、「ナミビアの砂漠」(24年)。今秋以降に動画配信サービスで配信予定のドラマ「HEART ATTACK」(フジテレビ×米スカイバウンド共同制作)では主演を務める。TBS系スペシャルドラマ「グランメゾン東京」(24年冬)、映画「グランメゾン・パリ」(同)にも出演予定。
【記事】宮本光二 【写真】工藤正孝
【記事】宮本光二 【写真】工藤正孝
◆あらすじ
◆あらすじ
©映画「シサム」製作委員会
©映画「シサム」製作委員会
江戸時代前期。松前藩士・高坂家の息子である孝二郎(寛一郎)は、兄・栄之助(三浦貴大)と共に、アイヌとの交易のため、初めて蝦夷地に向かう。当地の浜辺で野営した夜、高坂家の使用人・善助(和田正人)によって、栄之助が殺害されてしまう。孝二郎は復讐を誓い、善助を追う。
森の奥深くで善助を見つけて斬りかかろうとするが、脇腹を刺され、崖から川へ転落してしまう。死の淵をさまよう孝二郎は、アイヌの人々に発見され、彼らの村(コタン)で手厚く介抱される。やがて、意識が回復した孝二郎は彼らの手伝いをしながら、村での生活を始める。
そんな中、不公平な交易で利益を独占しようとする和人に対して、アイヌたちの間で蜂起の機運が高まっていく。
江戸時代前期。松前藩士・高坂家の息子である孝二郎(寛一郎)は、兄・栄之助(三浦貴大)と共に、アイヌとの交易のため、初めて蝦夷地に向かう。当地の浜辺で野営した夜、高坂家の使用人・善助(和田正人)によって、栄之助が殺害されてしまう。孝二郎は復讐を誓い、善助を追う。
森の奥深くで善助を見つけて斬りかかろうとするが、脇腹を刺され、崖から川へ転落してしまう。死の淵をさまよう孝二郎は、アイヌの人々に発見され、彼らの村(コタン)で手厚く介抱される。やがて、意識が回復した孝二郎は彼らの手伝いをしながら、村での生活を始める。
そんな中、不公平な交易で利益を独占しようとする和人に対して、アイヌたちの間で蜂起の機運が高まっていく。
公式ホームページはこちら
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