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第70回「国連女性の地位委員会」に参加して SGIの代表の手記 「平和の文化」建設を生命尊厳の哲理抱いて 2026年4月10日

 第70回「国連女性の地位委員会(CSW)」が3月、アメリカ・ニューヨークの国連本部で開催された。市民社会の一員として委員会に参加したSGIの代表の手記を掲載する。

SGI国連事務所(米国)
アイビー・クック氏
仏法の人間主義の理念を今こそ

 CSWは女性と女児の人権に関する国際規範を設定する機関であり、1947年の第1回会合以来、国際条約や各国の政策に影響を与えてきました。
 
 70回目となる今回は「あらゆる女性と女児の司法へのアクセス」が初めてテーマに取り挙げられました。国連事務総長報告書が“世界的にみて女性は男性の法的権利の64%しか持っていない”と指摘するように、差別的な法的枠組みが依然として存在しています。
 
 池田先生は平和提言などを通し、あらゆる世代の女性のリーダーシップ、そして平和構築に果たす役割を繰り返し強調されました。SGIとしても、先生の理念に基づき、CSWが掲げる年次のテーマに沿って議論に貢献してきました。
 
 また、活動に取り組む上で大きな啓発を受けているのが、40年以上にわたり日本全国で「平和の文化」を推進されている創価学会女性平和委員会の活動です。こうした草の根の活動こそ、ジェンダー平等と女性のエンパワーメント(内発的な力の開花)への貢献の核心だと思います。
 
 期間中の3月11日には、「軍縮、正義、平和の文化のための女性のリーダーシップ」と題してイベントを開催しました。これは昨年のCSWの後、SGIなど11の団体で結成した「ジェンダー平等のための『平和の文化』イニシアチブ」が実施したものです。
 
 このトピックにした理由は、本年、新しい国連事務総長が選出される予定だからです。80年の国連の歴史で事務総長を務めたのは男性だけであり、現在、女性の事務総長を求める議論や動きが多くあります。そうした点も踏まえつつ、性別に関係なく、新しいリーダーが軍縮と「平和の文化」のために立ち上がる重要性を強調したいとの思いからでした。

SGIが主催した「国連女性の地位委員会」の並行行事。SGI国連事務所のクック氏が進行を務めた(3月11日、ニューヨークで)
SGIが主催した「国連女性の地位委員会」の並行行事。SGI国連事務所のクック氏が進行を務めた(3月11日、ニューヨークで)

 冒頭、私から「私たち人類が取り組むべき課題は、単に戦争がないといった消極的平和の実現ではなく、『人間の尊厳』を脅かす社会構造を根本から変革する積極的平和の実現にあります」との先生の言葉を紹介させていただきました。国連関係者や市民社会まで、さまざまな人が参加しており、時宜を得て強い関心を集めました。
 
 また9日には、ニューヨーク女性の地位NGO委員会の「平和とジェンダー平等作業部会」として女性・女児と平和、安全保障をテーマにしたイベントを後援。共同議長として司会・進行を務めたほか、19日には若者のリーダーシップによる平和構築をテーマにした行事で、SGI等が進める「若い女性のリーダーシップ」プロジェクトを紹介しました。
 
 さらに9、13の両日には、多宗教諮問委員会のジェンダー作業部会が主催するイベントに参加。仏教分科会の進行を務めました。
 
 ここでは、信仰組織による取り組み事例の紹介や、人権を肯定する聖典や文書をまとめた草案が提示されました。国連人口基金の上級戦略的パートナーシップ・スペシャリストで、「宗教と持続可能な開発に関する国連機関間タスクフォース」共同議長のンケイルカ・ディディグ博士は、信仰に基づく精神的なアプローチが、ジェンダー平等に関する現代社会の膠着状態を打破する鍵だと述べました。これは、恒久的な平和は各個人の内なる変革――すなわち一人一人の人間革命の上に築かれるという、SGIの哲学とも深く共鳴するものです。
 
 私たちは今、紛争と二極化が激化し、「終末時計」が限りなく滅亡に近づいた時代を生きています。仏法の人間主義が、これまでに増して求められています。今後もSGIメンバーとして、生命尊厳の哲学を基調に、「平和の文化」の建設に全力を注いでいきます。

多宗教諮問委員会のジェンダー作業部会が主催した研修(3月13日)
多宗教諮問委員会のジェンダー作業部会が主催した研修(3月13日)
ニューヨーク女性の地位NGO委員会が主催した並行行事(3月9日)
ニューヨーク女性の地位NGO委員会が主催した並行行事(3月9日)
SGI平和センター軍縮・人権部
佐々木一徳氏
人権文化の建設は眼前の一人への行動から

 各国政府や市民社会の代表と共に、SGIの代表として一連の会議に参加しました。不安定な国際情勢の中、参加者は前年から減少しましたが、各地から困難を乗り越えて集い合った喜びを分かち合うとともに、渡航がかなわなかった地域の状況を案じるなど、グローバルな連帯感が会場を包んでいました。
 
 司法におけるジェンダー格差には、差別的な法体系、地理的障壁、慣習など、多岐にわたる問題が複雑に絡み合っています。3月9日の開幕式でグテーレス国連事務総長は、男女間に存在する法的権利の格差を指摘するとともに、AI(人工知能)技術の進展によるデジタル性暴力の増加など、新たな課題にも警鐘を鳴らしました。
 
 青年世代が一堂に会した8日のユースフォーラムでは、CSWの議題に関する議論はもちろん、各人のナラティブ(物語)にも耳を傾ける機会が設けられました。ジェンダー課題に取り組むようになった原体験から、現在直面する困難、将来にわたる展望までをそれぞれが語り合い、共感が広がりました。その中で私が特に心を動かされたのは、誰も不満や絶望を口にしていなかったことです。
 
 解決への糸口が見えないような課題に直面すると、私たちはしばしば、向き合い続けること自体を負担に感じてしまうことがあると思います。しかし会場にいたのは、地域を愛し、希望の未来をつくり出そうとする、たくましい楽観主義に満ちた青年たちでした。
 
 さらに、「今日は男性のフェミニストが参加してくれています」と私のことを紹介していただき、会場が拍手に包まれた時、議論の場に男性が参加することへの期待の強さを痛感しました。

SGI国連事務所を訪れた元国連事務次長のチョウドリ博士(右から4人目)を歓迎(3月11日)
SGI国連事務所を訪れた元国連事務次長のチョウドリ博士(右から4人目)を歓迎(3月11日)

 改めて言うまでもないですが、ジェンダー平等は女性だけの問題ではありません。
 
 史上初の女性事務総長誕生への支援を続ける元国連事務次長のアンワルル・チョウドリ博士が、11日にSGI国連事務所を訪問されました。
 
 博士は「女性のリーダーは、女性のみならず人類全体を代表することにつながります。男性のリーダーシップが続いてきたことは、“片足立ち”の(ように不安定な)状況だ」と強調され、国連と共にSGIが推進してきた「平和の文化」やジェンダー平等の取り組みに強い期待を寄せてくださいました。
 
 日蓮大聖人は「法華の行者は、男女共に『如来』」(新1027・全737)と仰せです。仏法は、女性をはじめ誰かを軽んじることは、自分自身の尊厳性を不完全にしてしまうとの尊極の生命哲学に立脚しています。
 
 ジェンダー平等の運動に対して逆風が吹き荒れる現在、宗教を基盤とした確かな智慧が求められています。
 
 池田先生は「人権は特別なものではなく、地球上のどこでも考慮されるべき当然の規範であるとの意識を、人々が日常的に育んでいく――『人権文化の創造』という課題」が重要であり、「理想と現実とのギャップを埋めるには、地道ではあってもやはりそこに目を向ける以外にない」と強調しました。
 
 英語で、(人権)擁護者を「チャンピオン」と呼びます。ジェンダー平等や人権を守る取り組みも、家庭、地域、職場で、きょう会うあの人にとってのチャンピオンを目指すことが何よりの近道ではないでしょうか。
 
 今回、市民社会からの参加者が地域でも国際社会でも、ひときわ高い熱量で運動を展開されている姿が強く印象に残りました。時代を変えるのは民衆、とりわけ青年の熱と力であるとの確信で、今後も“人類の宿命転換”への挑戦に力を尽くしていきます。

ユース担当国連事務次長補のフェリペ・ポーリエ氏と記念のカメラに(3月8日)
ユース担当国連事務次長補のフェリペ・ポーリエ氏と記念のカメラに(3月8日)

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