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本陣 65~67ページ 【小説「新・人間革命」】第17巻 2025年4月21日

 春の暖かな日差しが降り注ぐなか、会場の東京農業大学に到着した山本伸一は、まず学長室を訪問しようと考えていた。
 学生部員らが「現代農業展」を開催し、そこに大勢の学会員を招待して記念撮影まで行うことができるのは、平林忠学長をはじめ、大学関係者の深い理解と協力があるからだ。
 だから伸一は、創価学会の会長として、真っ先に御礼に伺いたかった。
 その意向を、東京農大の教授で、学会の学術部員である杉町敬太郎から学長に伝えてもらった。
 すると、平林学長は、杉町に言った。
 「それはいけません。山本会長は、大勢の人から慕われ、信頼されている偉大な方です。私の方から、ごあいさつに伺うのが当然です」
 そして、学長は、伸一の控室を訪問してくれたのである。
 伸一は恐縮した。胸を打たれた。彼は、丁重に御礼を述べた。
 学長は、温厚な人柄が光り、その言葉には、教育への強い信念と情熱があふれ出ていた。
 既に体育館には、記念撮影のために、メンバーが並んで待機していた。
 伸一は、学長と一緒に体育館に入り、参加者に紹介した。
 マイクを手にした学長は、満面に笑みをたたえながら語った。
 「皆さん。本日は、ようこそいらっしゃいました。なんのもてなしもできないで恐縮に存じますが、どうか、最後までごゆっくりとお過ごしください」
 温かい言葉であった。
 学長からマイクを受け取ると、伸一は言った。
 「心温まるお言葉、ありがとうございます。それでは、東京農業大学のますますの発展と、世田谷の皆様の、一層の繁栄を祈って、万歳を三唱しましょう」
 拍手が湧き起こった。
 学長は、感無量の面持ちで、伸一の顔を見た。
 皆の喜びに満ちあふれた「万歳!」の声が、体育館にこだました。
 真心と真心が響き合った光景であった。
 人に誠実を尽くすなかで、自身の輝きは増し、信頼と友好の輪は広がるのだ。
 仏法は“慈悲”の道を説く。ゆえに仏法者とは、“誠実の人”の異名なのである。

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