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〈防災――身を守る行動〉 南海トラフ地震「臨時情報(巨大地震注意)」が発表 室内の安全対策について(再掲) 2024年8月10日

 8日、九州南部・日向灘を震源とするマグニチュード7・1の地震が発生しました。気象庁は同日、この地震で南海トラフ地震の想定震源域で大規模地震が発生する可能性が普段と比べて高まっているとし、「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」を発表。29都府県707市町村に地震への備えを改めて訴えています。
 
 内閣府などでは具体的に、家具固定の推進、避難場所や避難経路の確認、家族間での安否確認の方法をチェックすることなどを呼び掛けています。さらに、お年寄りや体の不自由な人、小さな子どもがいる対象地域の家庭や施設では、必要に応じて自主的な避難も検討するよう発信しています。
 
 ここでは、本紙連載「防災――身を守る行動」で掲載した地震対策としての「家具固定」「自宅のレイアウト」について再掲します(一部編集)
 
※臨時情報の対象地域
(29都府県707市町村、内閣府資料)
 ↓↓↓
https://www.bousai.go.jp/jishin/nankai/pdf/nankaitrough_shichouson.pdf
 

●自宅のレイアウト●

 具体的には三つ。
 一つ目が「避難経路をふさがないこと」。仮に、揺れで家具が移動・転倒しても、部屋や玄関のドアが開くよう、家具の置き場を見直してください。階段には荷物を置かず、廊下には転倒により避難経路をふさぐ家具は置かないようにします。
 
 

ドアをふさがない

 ドアが開くことは避難経路の確保に必須。仮に家具が転倒・移動しても、ドアをふさがない位置に配置しましょう。
 
 

〈NG〉
〈OK〉
玄関の対策

 玄関にガラス製の鏡や花瓶、水槽を置くのはNG。ガラスの破片や水が下足に入ったら、避難の妨げになります。ゴルフバッグなど大きな荷物も置きがちですが、これも避難の妨げになります。
 

〈NG〉
〈OK〉

 
 二つ目が「座る・寝る場所の対策」です。長時間の居場所には、背の高い家具を置かないこと。置く場合は転倒しても、居住者が家具の下敷きにならない場所に設置してください。
 

寝室の対策

 就寝中は無防備な状態。家具が転倒しても、下敷きにならないよう、レイアウトを見直してください。就寝時の頭上にエアコンを設置しない、飛んできたら危険な生活雑貨を置かないことも大切な対策です。
 

〈NG〉
〈OK〉

 そして三つ目が、「室内から、ガラス製や重い素材の生活雑貨を減らすこと」。ガラス製の壁掛け時計や姿見が落下したり、シルバー製の写真額が飛んできたりしたら、頭に当たる、避難時に足を取られて転倒するなど居住者の大けがにつながります。鏡であればアルミやアクリル製、写真額であれば革製など素材を見直して少しずつ買い替えてみてはいかがでしょうか。常に、これが落下したら、飛んできたら……と想像力を働かせ、室内の安全対策を心がけてください。また、居住環境によって部屋のレイアウト変更が難しい場合は、家具をしっかり固定してください。
 
 (2023年12月27日付、危機管理教育研究所 国崎信江代表取材)
 
 
 

●家具固定の方法●

 室内のレイアウト対策の次は家具固定です。タンスや本棚など背が高くて重い家具は、優先的に固定してください。
 

今すぐできるイチオシ――段ボールの活用

 誰もが簡単に実践できる固定方法が段ボールの活用です。背が高くて重いタンスや本棚におすすめです。
 家具の天板と天井の隙間をふさぐように段ボールを設置するだけです。ポイントは隙間がないように、段ボールを重ねておき、折り畳んだ段ボールを差し込み調整します。段ボールの形が崩れないよう、段ボールの中には、軽い衣類などを詰めておくといいでしょう。
 

正しいキャスターロック

 ラック、テレビ台やベッドなど、キャスター付きの家具を使用している家庭も少なくないはず。
 揺れに強いキャスターのロック方法は、4輪全てをロックするのではなく、対角の2輪をロックすることです。
 

意外に使えるS字フック

 家具を固定していても収納物が飛び出すと、けがをしたり、避難する際の障害になったりします。特に両開き(観音開き)の家具には対策が必要で、安価な日用品で最も効果があるのがS字フック。ただ、S字フックを連結すると、少しの揺れでも外れる可能性が高いので、連結した場合の効果はあまりないとお考えください。
 

L字金具

 L字金具を使った固定は最も強度が高く、危険度が高いタンスや本棚におすすめです。ただ、電動ドライバーなどの工具が必要のほか、しっかり固定するには一定の技術が必要です。
 まずは、間柱など下地にしっかりとビスを打つこと。下地がない石こうボードのみの場所にビスを打つと強度が弱くなります。マンションなど軽量鉄骨の建物は、壁の下地が空洞になっているため、ビスが貫通し、強度が弱くなってしまいます。木造ではない建物に住んでいる方は、逃げるための時間を稼ぐ方法として、粘着系の器具がおすすめです。
 

粘着系

 賃貸住宅などで、自宅の壁に穴を開けられない方や開けたくない方、仏壇をはじめ、傷を付けたくない家具などには、粘着系の固定器具が有用です。
 中でも、震度7相当の揺れにも耐えられるといわれる「スーパータックフィット」シリーズがおすすめです。テレビ台とテレビの接着面や、2段式家具の上段と下段の接着面などには、ジェルマットなどを使用しましょう。
 

突っ張り棒

 壁や家具に傷を付けずに比較的、簡単に設置できるため、一般に普及しています。
 突っ張り棒は、壁際に寄せて、家具の両端に設置(左右とも端から5センチ程度)、突っ張る長さは30センチ以内にしてください。また半年に1度は締め直しましょう。
 天井や家具の天板に強度がない場合、それぞれ補強板を設置してください(揺れによって、突っ張り棒が天井や家具の天板を突き破る可能性があります)。
 

滑り止めシート

 キッチンにある炊飯器や電子レンジ、オーブントースターなどの小型家電は、下敷きになるような被害の要因にはなりません。
 しかし、通電火災が起きたり、けがをしたりするリスクがあるため、落下の対策が大切です。
 小型で軽量のため、脚部の粘着固定に効果があります。ただし、ゴム脚は粘着材料との相性が悪いため、100円ショップ等で購入できる「滑り止めシート」を推奨します。

ガラス飛散防止フィルム

 窓などのガラスが飛び散るのを防ぐには、飛散防止フィルムが有用です。本棚や食器棚のガラス扉にも有効です。フィルムはガラス扉の内側に貼りましょう。近年は、遮光性や紫外線カットなど高機能素材のものもあり、一石二鳥のアイテムです。
 

 (2023年11月18日付、危機管理教育研究所 国崎信江代表、防災機器検査協会 内藤昌彦代表理事取材)
 

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