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〈暮らし〉 今どきのラジオ 2024年10月27日

 「テレビは見ないが、ラジオは聴く」という若者がいる。ラジオが再び三度ブームなのか? ラジオに特に造詣の深いエンタメ系ライターの村上謙三久さんに、古くて新しいラジオの楽しみ方を聞いた。

スマホで気軽に、いつでも、どこでも、誰とでも
ラジオリスナー歴35年 ライターの村上謙三久さん
ラジオリスナー歴35年 ライターの村上謙三久さん
好きな時間に聴けるように

 ラジオブームといわれていますが、そう簡単には言い切れないと思っています。なぜなら、ラジオ業界もまた新聞やテレビ同様、広告収入など経営面で苦戦し続けているからです。
 とはいえ、ワイドFM(※1)の普及やラジコ(※2)の浸透でラジオが聴きやすくなり、新たなリスナー(聴取者)を増やしたのは確かです。特に、ラジコはインターネット接続によって、番組放送の時間に縛られずに、自分の生活時間に合わせて聴くことができる。若年層に多い聴き方ではないでしょうか。今までラジオを一度も電波で聴いたことのない人たちがスマホで聴き出したのです。

放送時のSNS投稿でつながるリスナーたち

 私は中学1年生からずっとラジオを聴いていますが、最近では、ラジオ好きということが奇異にとられることがなくなりましたね。
 番組リスナーたちは、ラジオ放送時にリアルタイムのSNS投稿によって相互につながりはじめました。一人で聴いていても、感想が言い合える。もはやラジオは、気の合う人を見つけやすいコミュニケーションツールなんです。番組イベントなど参加型企画も増えています。
 昔は、その番組にはがき投稿、いわゆるハガキ職人(※3)をして、ラジオで読み上げられることによってしか“思い”は伝えられなかったけれど、今はX(旧ツイッター)などで呟くだけでいい。一人でひっそり聴いていた時代からは大きく変わりました。

聴けば、一人になれるし、安眠モードも

 スマホを使い、空き時間のほとんどをラジオを聴いて過ごしています。リスナーの中には両耳聴取(※4)のつわものもいます。みんなで楽しめるようになったとはいえ、移動時間など、雑踏にいても、イヤホンを着ければ、一人になれる。いつでも、自分の時間をつくり出すことができます。そうしたこともラジオの魅力ではないでしょうか。
 また、毎晩、ラジオ(スマホ再生)を聴きながら眠っています。寝つきが悪いのですが、ラジオの声を聴くと寝るモードになります。授業中に睡魔に負けた経験のある方はすぐにお分かりいただけると思いますが、ゆったりとした安心感のある心地良い眠りを誘う声や話し方というのがあるのです。寝つけない人はお試しを。
 昔も今も、ラジオは、そのパーソナリティーの濃いファンをつくると定評があります。話し手の内面をすくいあげる力があるのかもしれません。人間の本質を伝えるメディアとも言えます。

ラジオ用語解説
※1 ワイドFM

 FM補完放送。AMのラジオをFMでも同時に放送すること。「災害対策」と「難聴対策」のため、AMアンテナより小回りの利くFMアンテナを使い出したのが始まり。これにより近い将来、AM放送が終了される方向。

※2 ラジコ

 スマートフォン、パソコン、スマートスピーカーなどでラジオが聴ける無料のサービス。聴ける番組の地域やさかのぼって聴ける時間が制限されている。全国の番組を30日までさかのぼり、時間を気にせずに聴くことができる有料プランもある。

※3 ハガキ職人

 ラジオの常連投稿者は「ハガキ職人」と呼ばれる。「ビートたけしのオールナイトニッポン」(ニッポン放送)から生まれた呼び方といわれている。

※4 両耳聴取

 両耳を使って、それぞれ別番組を聴取すること。熱心なリスナーの取る聴取方法で、同様の理由から、両耳聴取ではなく「倍速聴取」派のリスナーも。

村上謙三久著『いつものラジオ』(本の雑誌社)
村上謙三久著『いつものラジオ』(本の雑誌社)

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