“一人”の無限の力引き出す「人間革命」こそ偉大な発見――マサチューセッツ大学ボストン校 ウィンストン・ラングリー名誉教授に聞く
“一人”の無限の力引き出す「人間革命」こそ偉大な発見――マサチューセッツ大学ボストン校 ウィンストン・ラングリー名誉教授に聞く
2024年11月14日
- 〈識者が語る 未来を開く池田思想〉
- 〈識者が語る 未来を開く池田思想〉
マサチューセッツ大学ボストン校のウィンストン・ラングリー名誉教授は、池田大作先生の思想と実践に、深い理解と共感を寄せてきました。2010年11月、同大学から池田先生に名誉人文学博士号が授与された際には、ラングリー名誉教授も学長と共に来日しました。人間革命の哲学や対話の実践などについて、ラングリー名誉教授にインタビューしました。
(聞き手=掛川俊明、村上進)
マサチューセッツ大学ボストン校のウィンストン・ラングリー名誉教授は、池田大作先生の思想と実践に、深い理解と共感を寄せてきました。2010年11月、同大学から池田先生に名誉人文学博士号が授与された際には、ラングリー名誉教授も学長と共に来日しました。人間革命の哲学や対話の実践などについて、ラングリー名誉教授にインタビューしました。
(聞き手=掛川俊明、村上進)
――感染症や核兵器の脅威、気候変動の問題など、現代社会は多くの課題に直面しています。政治学や国際関係学、人権を専門とされるラングリー名誉教授は、世界の現状をどのように捉えておられますか。
池田博士が逝去されて、1年がたちます。長年にわたり、博士は世界に向け、平和と非暴力の思想を発信し続けました。今こそ、世界は博士のメッセージに耳を傾けるべきだと思います。
中東での紛争をはじめ、世界の状況は、深刻さを増しています。現状を考える上で、池田博士が1998年と99年に発表した、二つの「SGIの日」記念提言を参照したいと思います。
まず、98年の提言では、カオス(混沌)からコスモス(調和)へという、人類史の転換を主張されました。20世紀には、絶え間ない戦争、環境破壊、格差の拡大などがありました。そうした現実を踏まえて博士は、人類史の舞台を「暗」から「明」へ、「失望」から「希望」へと転換し、寛容と共生の地球文明の建設を展望したのです。
翌99年の提言では、アイデンティティーの危機(自分が自分であることの心もとなさ)の問題を取り上げ、目まぐるしい時代の変転の中で“根無し草”のように漂う不安感を指摘されました。そこで、生きる意味に回答を与えるコスモロジー(宇宙観)の再興が必要であると強調され、世界市民の生き方を提示しました。
博士は、教育者であり、詩人であり、さまざまな団体・機構の創立者であると同時に、宗教的・精神的指導者でした。ゆえに博士は、現代社会が精神の危機に直面していることを鋭く指摘し、人間の精神性に焦点を当てたのです。
――感染症や核兵器の脅威、気候変動の問題など、現代社会は多くの課題に直面しています。政治学や国際関係学、人権を専門とされるラングリー名誉教授は、世界の現状をどのように捉えておられますか。
池田博士が逝去されて、1年がたちます。長年にわたり、博士は世界に向け、平和と非暴力の思想を発信し続けました。今こそ、世界は博士のメッセージに耳を傾けるべきだと思います。
中東での紛争をはじめ、世界の状況は、深刻さを増しています。現状を考える上で、池田博士が1998年と99年に発表した、二つの「SGIの日」記念提言を参照したいと思います。
まず、98年の提言では、カオス(混沌)からコスモス(調和)へという、人類史の転換を主張されました。20世紀には、絶え間ない戦争、環境破壊、格差の拡大などがありました。そうした現実を踏まえて博士は、人類史の舞台を「暗」から「明」へ、「失望」から「希望」へと転換し、寛容と共生の地球文明の建設を展望したのです。
翌99年の提言では、アイデンティティーの危機(自分が自分であることの心もとなさ)の問題を取り上げ、目まぐるしい時代の変転の中で“根無し草”のように漂う不安感を指摘されました。そこで、生きる意味に回答を与えるコスモロジー(宇宙観)の再興が必要であると強調され、世界市民の生き方を提示しました。
博士は、教育者であり、詩人であり、さまざまな団体・機構の創立者であると同時に、宗教的・精神的指導者でした。ゆえに博士は、現代社会が精神の危機に直面していることを鋭く指摘し、人間の精神性に焦点を当てたのです。
創価大学・創価女子短大の卒業式で祝辞を述べるラングリー名誉教授。未来を担う青年に、大きな期待を寄せた(2013年3月、東京・八王子市の創大池田記念講堂で)
創価大学・創価女子短大の卒業式で祝辞を述べるラングリー名誉教授。未来を担う青年に、大きな期待を寄せた(2013年3月、東京・八王子市の創大池田記念講堂で)
現代の新たな要素を付け加えれば、人工知能(AI)を巡る課題や国境を越えた人々の移動が挙げられます。これらの課題にも、人間の精神性や倫理性が問われているという共通点があります。つまり池田博士が指摘したカオスは、決して過去の話ではなく、今も世界に存在しているのです。
先ほどの提言を通し、博士は、殺戮と混沌の世紀から、調和と共生の世紀への転換を主張しました。これは現在の世界にとって、大切な視点だと考えます。
現代の新たな要素を付け加えれば、人工知能(AI)を巡る課題や国境を越えた人々の移動が挙げられます。これらの課題にも、人間の精神性や倫理性が問われているという共通点があります。つまり池田博士が指摘したカオスは、決して過去の話ではなく、今も世界に存在しているのです。
先ほどの提言を通し、博士は、殺戮と混沌の世紀から、調和と共生の世紀への転換を主張しました。これは現在の世界にとって、大切な視点だと考えます。
■「歴史の終わり」でも「文明の衝突」でもなく“新たな世紀”を展望
■「歴史の終わり」でも「文明の衝突」でもなく“新たな世紀”を展望
――ラングリー名誉教授は、「私は年を経るごとに池田博士の教えと哲学と道徳的献身を敬うようになりました」と述べられています。池田先生の思想は、現代を生きる人々に、どのような影響を与えたとお考えでしょうか。
90年代において、西洋では「歴史の終わり」という考え方が、大きな議論を呼びました。それは、自由民主主義が広がり、一定の価値観に基づいた極めて同質性の高い世界になることで、社会制度の発展が終結して歴史が終わるという主張です。
一方で、「文明の衝突」という主張も注目を浴びました。世界は、いくつかの文明圏に分裂し、それらが対立・衝突すると説明されました。
しかし、池田博士の視座は、歴史の終焉でもなく、文明の衝突とも異なります。先ほどの提言でも言及されている通り、博士は歴史の終わりではなく、生命の尊厳に立脚した共生の“新たな世紀”の始まりを展望されたのです。
また博士は、文明の衝突といった対立関係ではなく、協調的な関係がありうるとして、「人道的競争」という考え方を紹介しました。これは創価学会の牧口常三郎初代会長が使った言葉で、軍事力や政治力、経済力などによって人を従わせるのではなく、善を生み出し合うような人道的な競争のことです。
――ラングリー名誉教授は、「私は年を経るごとに池田博士の教えと哲学と道徳的献身を敬うようになりました」と述べられています。池田先生の思想は、現代を生きる人々に、どのような影響を与えたとお考えでしょうか。
90年代において、西洋では「歴史の終わり」という考え方が、大きな議論を呼びました。それは、自由民主主義が広がり、一定の価値観に基づいた極めて同質性の高い世界になることで、社会制度の発展が終結して歴史が終わるという主張です。
一方で、「文明の衝突」という主張も注目を浴びました。世界は、いくつかの文明圏に分裂し、それらが対立・衝突すると説明されました。
しかし、池田博士の視座は、歴史の終焉でもなく、文明の衝突とも異なります。先ほどの提言でも言及されている通り、博士は歴史の終わりではなく、生命の尊厳に立脚した共生の“新たな世紀”の始まりを展望されたのです。
また博士は、文明の衝突といった対立関係ではなく、協調的な関係がありうるとして、「人道的競争」という考え方を紹介しました。これは創価学会の牧口常三郎初代会長が使った言葉で、軍事力や政治力、経済力などによって人を従わせるのではなく、善を生み出し合うような人道的な競争のことです。
対立から協調へと競争の形式自体を変え、競争意識を共存・共同意識へと変革していくのです。競争が必要なのであれば、人間のために良いもの、善なるものを広げる競争をすればよいという提案は、現代社会にとって重要です。
人道的競争はまた、文化的・道徳的な力による精神的影響力、つまり「ソフト・パワー」を広げる競争とも捉えられます。池田博士は、こうした知識や情報、文化、価値観といったソフト・パワーを重視しました。
この言葉は、どういった意味合いで使われているかに注意が必要です。例えば、国家は往々にして、ソフト・パワーと言いつつ、外交的交渉の背後に武力の脅威をちらつかせます。それは、本来のソフト・パワーとは異なります。
池田博士は、ソフト・パワーが「内発的なるもの」であることを強調しました。それは、仏法でいうところの「縁起」の生命観に通じると思います。縁起の考え方では、全ての現象は、さまざまな原因と要件が相互に関係し合って生じていると説明されます。仏法では、万物の内発的かつダイナミックな関係性が捉えられています。
現代社会では、政治や経済、技術など、あらゆる分野において、他者や異なるものを受け入れない「排他性」が追求されがちです。各地の紛争においても、AIなどの技術開発においても、自己の利益のみが優先される場面が多くあります。
縁起や人道的競争などを通して、池田博士が語ってきたメッセージは、それとは対照的です。博士の思想と実践には、あらゆるものを受け入れ、調和を図る「包摂性」があります。
私はこれまでも、池田博士の提言や講演を学んできました。そこで語られた博士の見解は、私たち人類が直面する、あらゆる困難に対し、一貫した答えを示してくれていると考えます。
対立から協調へと競争の形式自体を変え、競争意識を共存・共同意識へと変革していくのです。競争が必要なのであれば、人間のために良いもの、善なるものを広げる競争をすればよいという提案は、現代社会にとって重要です。
人道的競争はまた、文化的・道徳的な力による精神的影響力、つまり「ソフト・パワー」を広げる競争とも捉えられます。池田博士は、こうした知識や情報、文化、価値観といったソフト・パワーを重視しました。
この言葉は、どういった意味合いで使われているかに注意が必要です。例えば、国家は往々にして、ソフト・パワーと言いつつ、外交的交渉の背後に武力の脅威をちらつかせます。それは、本来のソフト・パワーとは異なります。
池田博士は、ソフト・パワーが「内発的なるもの」であることを強調しました。それは、仏法でいうところの「縁起」の生命観に通じると思います。縁起の考え方では、全ての現象は、さまざまな原因と要件が相互に関係し合って生じていると説明されます。仏法では、万物の内発的かつダイナミックな関係性が捉えられています。
現代社会では、政治や経済、技術など、あらゆる分野において、他者や異なるものを受け入れない「排他性」が追求されがちです。各地の紛争においても、AIなどの技術開発においても、自己の利益のみが優先される場面が多くあります。
縁起や人道的競争などを通して、池田博士が語ってきたメッセージは、それとは対照的です。博士の思想と実践には、あらゆるものを受け入れ、調和を図る「包摂性」があります。
私はこれまでも、池田博士の提言や講演を学んできました。そこで語られた博士の見解は、私たち人類が直面する、あらゆる困難に対し、一貫した答えを示してくれていると考えます。
■「人間革命」は“秘密の言葉”——世界の変革への鍵がここに
■「人間革命」は“秘密の言葉”——世界の変革への鍵がここに
――池田先生は「人間革命」の哲学と実践を世界に広めました。かつて、ラングリー名誉教授は「人間が変われば、政治、社会、文化が変わります。池田博士が提唱する人間革命の哲理こそ、世界の変革への鍵なのです」と語られています。
一人の人間における内面的な変革と振る舞いが、社会の変化、そして人類の変容をもたらすという思想は、非常に奥深いものです。私が不確かながらも模索し、探究し続けてきたことに、人間革命の哲理は、明確な自信を与えてくれたように感じます。
人間革命の重要性は多岐にわたりますが、一つには、「人間は無力である」という誤った考えを取り除いてくれることが挙げられます。
「私に一体、何ができるのか」という、悲観的で無気力な考え方を、よく見聞きします。まるで、私たちを圧倒する外部からの圧力があるかのようです。それに対し、池田博士は、内面の変革から生じる力を信じ、そこから周囲に変化をもたらす行動が起こせることを教えました。
――池田先生は「人間革命」の哲学と実践を世界に広めました。かつて、ラングリー名誉教授は「人間が変われば、政治、社会、文化が変わります。池田博士が提唱する人間革命の哲理こそ、世界の変革への鍵なのです」と語られています。
一人の人間における内面的な変革と振る舞いが、社会の変化、そして人類の変容をもたらすという思想は、非常に奥深いものです。私が不確かながらも模索し、探究し続けてきたことに、人間革命の哲理は、明確な自信を与えてくれたように感じます。
人間革命の重要性は多岐にわたりますが、一つには、「人間は無力である」という誤った考えを取り除いてくれることが挙げられます。
「私に一体、何ができるのか」という、悲観的で無気力な考え方を、よく見聞きします。まるで、私たちを圧倒する外部からの圧力があるかのようです。それに対し、池田博士は、内面の変革から生じる力を信じ、そこから周囲に変化をもたらす行動が起こせることを教えました。
人間革命の意義をもう一つ挙げれば、人間を支配し、屈服させようとする権力に抗い、一人一人が持つ可能性を発見したことです。
人間革命は、ある意味で“秘密の言葉”です。例えば自然界には、目には見えないという意味で秘密ではあるが、確かに存在している法則があります。それらが「放射線」「引力」といった言葉によって名付けられると、私たちはその本質を徐々に理解できるようになります。
同じように、人間革命という言葉によって、私たち一人一人に具わる偉大な力が名付けられ、人間が持つ無限の可能性に気付かせてくれるのです。人間革命は、これまでの人間の捉え方や社会のあり方を根底から変えるような、創造的で革新的な思想です。
そして「一つの実例は、千の議論に値する」と言われる通り、池田博士自身の生涯を貫く行動こそが、人間革命の卓越した模範でありました。
人間革命の意義をもう一つ挙げれば、人間を支配し、屈服させようとする権力に抗い、一人一人が持つ可能性を発見したことです。
人間革命は、ある意味で“秘密の言葉”です。例えば自然界には、目には見えないという意味で秘密ではあるが、確かに存在している法則があります。それらが「放射線」「引力」といった言葉によって名付けられると、私たちはその本質を徐々に理解できるようになります。
同じように、人間革命という言葉によって、私たち一人一人に具わる偉大な力が名付けられ、人間が持つ無限の可能性に気付かせてくれるのです。人間革命は、これまでの人間の捉え方や社会のあり方を根底から変えるような、創造的で革新的な思想です。
そして「一つの実例は、千の議論に値する」と言われる通り、池田博士自身の生涯を貫く行動こそが、人間革命の卓越した模範でありました。
■グローバル(地球的)とローカル(地域的)をつなぐ対話
■グローバル(地球的)とローカル(地域的)をつなぐ対話
――池田先生は「人間主義による対話こそが、新しき時代の幕を開く」とつづり、具体的な実践として「対話」を重視しました。
池田博士の対話は、人間は誰かの利益のための「手段」ではなく、人間それ自体が「目的」であるという、尊厳の考え方に立脚しています。そこには、あらゆる人の尊厳を大切にし、平等に尊重する姿勢があります。
敬意を持った対話を通して、人は他者から学ぶことができます。そこには、相互の発見や理解があり、互いにインスピレーション(創造的刺激)があります。その意味で、池田博士の対話は、慈悲の発露であり、ソフト・パワーにもつながるものです。
対話こそが、人と人との交流の基盤であり、人間の精神的・感情的・心理的な成長の源です。さらに、その先に経済や政治といった人間社会の向上にもつながりうるものです。
池田博士の対話には、抽象的な言葉だけでなく、経験に基づいた生きた言葉があります。対話を通し、互いに深く体験を共有することによって、共に未来をつくり上げることができるのです。
より具体的には、池田博士は、どのような国や地域を訪れた際も、その地域の歴史について話すことから、対話を始められます。どんな地域にも、固有の魅力と価値があることを際立たせ、グローバル(地球的)とローカル(地域的)をつなぎ、豊かな関係性を結び合う振る舞いです。
そうした対話は、私たちが真理に出合うための基盤になり、仏法における悟りや成仏にもつながっていくのではないでしょうか。私の考えでは、良き対話こそが人間革命を可能にし、より広範な変革をも可能ならしめるものだと思います。
――池田先生は「人間主義による対話こそが、新しき時代の幕を開く」とつづり、具体的な実践として「対話」を重視しました。
池田博士の対話は、人間は誰かの利益のための「手段」ではなく、人間それ自体が「目的」であるという、尊厳の考え方に立脚しています。そこには、あらゆる人の尊厳を大切にし、平等に尊重する姿勢があります。
敬意を持った対話を通して、人は他者から学ぶことができます。そこには、相互の発見や理解があり、互いにインスピレーション(創造的刺激)があります。その意味で、池田博士の対話は、慈悲の発露であり、ソフト・パワーにもつながるものです。
対話こそが、人と人との交流の基盤であり、人間の精神的・感情的・心理的な成長の源です。さらに、その先に経済や政治といった人間社会の向上にもつながりうるものです。
池田博士の対話には、抽象的な言葉だけでなく、経験に基づいた生きた言葉があります。対話を通し、互いに深く体験を共有することによって、共に未来をつくり上げることができるのです。
より具体的には、池田博士は、どのような国や地域を訪れた際も、その地域の歴史について話すことから、対話を始められます。どんな地域にも、固有の魅力と価値があることを際立たせ、グローバル(地球的)とローカル(地域的)をつなぎ、豊かな関係性を結び合う振る舞いです。
そうした対話は、私たちが真理に出合うための基盤になり、仏法における悟りや成仏にもつながっていくのではないでしょうか。私の考えでは、良き対話こそが人間革命を可能にし、より広範な変革をも可能ならしめるものだと思います。
ラングリー名誉教授(左から2人目)と池田大作先生。マサチューセッツ大学ボストン校から先生に、300番目となる名誉学術称号が贈られた(2010年11月、創価学会恩師記念会館で)
ラングリー名誉教授(左から2人目)と池田大作先生。マサチューセッツ大学ボストン校から先生に、300番目となる名誉学術称号が贈られた(2010年11月、創価学会恩師記念会館で)
――2010年11月、マサチューセッツ大学ボストン校から、池田先生に名誉人文学博士号が授与されました。これは、世界の大学・学術機関から池田先生に贈られた、300番目の名誉学術称号です。授与式に際し、ラングリー名誉教授(当時は学事長)は学長と共に来日し、池田先生と会見されました。
その時、目の当たりにした池田博士の対話は、決して強制的・形式的なものではなく、和やかな開かれた雰囲気に満ちていました。博士は部屋に入られると、私たちがくつろげるように心を砕いてくださいました。とてもリラックスした、ほほ笑みに包まれた対話の場でした。
授与式で池田博士は、その場にいた全ての人を会話の輪に入れ、一つの対話の場を生み出そうとされました。そして、参加した一人一人が、自分自身のことを語るように促されました。さらに、博士は自身の経験と参加者が語った経験を結び付け、つながりを見つけるようにして、対話を深められました。
最後に、これからの時代を生きる皆さんに、池田博士がいつも強調されていたことの中から、私なりに三つのことをお伝えしたいと思います。
第一に、人生においては、時に突然の変化に直面することがあります。そうした変化によって、より良い状態になることもあれば、より悪くなることもあります。どんな変化の中でも、自分自身を成長させる準備をしていただきたいと思います。
第二に、常に他者への敬意を持つことです。池田博士は、制度や組織のために人間があるのではなく、人間のために制度があることを強調されました。
第三に、教育の重要性です。子どもや若者が、自分たちこそが未来のリーダーであると確信できる教育が必要です。若い世代が、自分たちの手で人類をリードできる未来を描けることが重要です。これは、池田博士が青年たちについて考える上で、最も大切にされた要素だと思います。
未来を担う青年世代の皆さんが、池田博士の思想と実践を継承されることを強く願っています。
――2010年11月、マサチューセッツ大学ボストン校から、池田先生に名誉人文学博士号が授与されました。これは、世界の大学・学術機関から池田先生に贈られた、300番目の名誉学術称号です。授与式に際し、ラングリー名誉教授(当時は学事長)は学長と共に来日し、池田先生と会見されました。
その時、目の当たりにした池田博士の対話は、決して強制的・形式的なものではなく、和やかな開かれた雰囲気に満ちていました。博士は部屋に入られると、私たちがくつろげるように心を砕いてくださいました。とてもリラックスした、ほほ笑みに包まれた対話の場でした。
授与式で池田博士は、その場にいた全ての人を会話の輪に入れ、一つの対話の場を生み出そうとされました。そして、参加した一人一人が、自分自身のことを語るように促されました。さらに、博士は自身の経験と参加者が語った経験を結び付け、つながりを見つけるようにして、対話を深められました。
最後に、これからの時代を生きる皆さんに、池田博士がいつも強調されていたことの中から、私なりに三つのことをお伝えしたいと思います。
第一に、人生においては、時に突然の変化に直面することがあります。そうした変化によって、より良い状態になることもあれば、より悪くなることもあります。どんな変化の中でも、自分自身を成長させる準備をしていただきたいと思います。
第二に、常に他者への敬意を持つことです。池田博士は、制度や組織のために人間があるのではなく、人間のために制度があることを強調されました。
第三に、教育の重要性です。子どもや若者が、自分たちこそが未来のリーダーであると確信できる教育が必要です。若い世代が、自分たちの手で人類をリードできる未来を描けることが重要です。これは、池田博士が青年たちについて考える上で、最も大切にされた要素だと思います。
未来を担う青年世代の皆さんが、池田博士の思想と実践を継承されることを強く願っています。
〈プロフィル〉 Winston Langley 米ハワード大学で国際関係論の博士号を取得。ボストン大学教授を経て、マサチューセッツ大学ボストン校の学事長・教務担当副学長などを歴任。2010年11月にモトリー学長(当時)と来日し、池田大作先生に名誉人文学博士号を授与した。国連の開発途上国への援助のあり方を経済、社会、人権の観点から研究。女性の権利の研究にも実績を持つ。
〈プロフィル〉 Winston Langley 米ハワード大学で国際関係論の博士号を取得。ボストン大学教授を経て、マサチューセッツ大学ボストン校の学事長・教務担当副学長などを歴任。2010年11月にモトリー学長(当時)と来日し、池田大作先生に名誉人文学博士号を授与した。国連の開発途上国への援助のあり方を経済、社会、人権の観点から研究。女性の権利の研究にも実績を持つ。
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メール kansou@seikyo-np.jp
ファクス 03-5360-9613
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