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〈もうひとコエ〉 京都市北区 佐々木克巳さん 2025年10月10日

 「声」の欄には、「もうひと声、思いを伺いたい」「もうひと越え、深く知りたい」と思う投稿があります。そんな投稿をしてくださった方の元へ担当記者が訪れる新企画「もうひとコエ」がスタートです。

「勤行・唱題に励み、何よりも楽しい聖教新聞を読んで、きょうも一日、元気に頑張ります」と投稿を寄せた佐々木克巳さん。入会のきっかけとなった小説『新・人間革命』を開きながら笑顔で
「勤行・唱題に励み、何よりも楽しい聖教新聞を読んで、きょうも一日、元気に頑張ります」と投稿を寄せた佐々木克巳さん。入会のきっかけとなった小説『新・人間革命』を開きながら笑顔で
「体験」に勝る雄弁なし

 東北育ちで、長らく学会に偏見を抱いていたが、学会員の妻と結婚後、座談会に参加し、小説『新・人間革命』を3回読むうちに“新たな発見”があり、偏見が氷解。さらに学会員の誠実な振る舞いに感動し、晴れて今年1月に入会した(8月29日付)――投稿者は京都市北区の佐々木克巳さん。
 
 担当記者が「これを聞きたい!」と思ったのは「新たな発見とは何だったのか」。お話を伺いに京都まで足を運びました。そこには、投稿には触れられていなかった、苦難を乗り越えた「体験」がありました。
     ◇

京都・嵐山の渡月橋
京都・嵐山の渡月橋
「あんなに気難しかった人が……」

 金閣寺にほど近い衣笠会館に、佐々木さんの笑い声が響く。いすを円形に並べて、地区の未来座談会が行われていた。
 
 佐々木さんにずっと仏法対話を続けてきた壮年部の片桐学さんは「あんなに気難しかった佐々木さんが、こんな幸せそうな“如是相”に変わるとは……」と涙ぐむ。それを聞いていた地区の方々も目頭を押さえる。

未来座談会で近況を語り合う衣笠地区の皆さん(9月21日、衣笠会館で)
未来座談会で近況を語り合う衣笠地区の皆さん(9月21日、衣笠会館で)

 納得できないことがあると、とことん追究する性格の佐々木さん。それゆえ、確信の世界であると思っていた宗教に足を踏み入れることはプライドが許さなかった。
 
 信心強盛な妻・静枝さんから誘われて座談会に参加するも、学会に対する疑念をぶつけ、入会の勧めに抵抗し続けた。
 
 そんな中、片桐さんが、佐々木さんの批判にじっくりと耳を傾けてくれた。ある時、勧めてくれたのが小説『新・人間革命』だった。
 
 読書好きな佐々木さんは一気に全巻を読破。すると「1回読んだだけじゃ分からないですよ」と片桐さん。2回、3回と読み進めた。小説『人間革命』も読了した。そして佐々木さんは“発見”した。
 
 「論文などは研究・分析はするが、それをどう生かすかがない。しかし、小説『新・人間革命』『人間革命』に貫かれているのは『体験』だ。そこに真実がある!」

毎朝、聖教新聞を一読してから妻・静枝さんに読み聞かせをする佐々木さん。「良いことが書いてあるからどんどん読める」と
毎朝、聖教新聞を一読してから妻・静枝さんに読み聞かせをする佐々木さん。「良いことが書いてあるからどんどん読める」と
断酒を通して感じていた「体験を聞いて実践する大切さ」

 「体験」の重要性を改めて発見した背景には、かつて自身がアルコール依存症に苦しんだ経験があった。
 
 静枝さんによると、佐々木さんは記憶がなくなるまで飲んでしまい、着ていた上着を脱いで、どこかに忘れてきてしまうこともしばしば。
 
 「もう離婚しよう」。そう思った時、佐々木さんから「酒をやめたい」との言葉が出た。
 
 佐々木さんは地域の“断酒会”に入り、週1回の定例会に参加。同じような悩みを抱えた人や、乗り越えようと努力している人の話を聞くと、勇気が湧いた。
 
 「断酒会も学会も、仲間・友人を増やして励まし合う団体でしょう。『体験』を耳で聞いて実践していく大切さを感じてきたんです」
 
 “断酒会”に入ってから23年。今はその会の支部長も務めている。

佐々木さんの小説『新・人間革命』の書籍には、印象に残った部分にマーカーや付箋で印が。今でも1カ月に2、3巻は読んでいるそう
佐々木さんの小説『新・人間革命』の書籍には、印象に残った部分にマーカーや付箋で印が。今でも1カ月に2、3巻は読んでいるそう
人の幸せを考える生き方がしたい

 その後も、多くの学会員からも、さまざまな「信仰体験」を聞いた。
 
 『池田大作全集』を読了した人、脳梗塞で倒れても信心根本に乗り越えた人など、信心に反発している分、どんな人がどんな実践をしているか真剣に求めた。
 
 そして、自分よりも人のために一生懸命に尽くす学会員の生き方に触れるほどに、こだわりが消えていった。
 
 「自分が見てきた学会員の振る舞いのように、人の幸せを考える生き方をしたいと思ったんです。残りの人生で何をしようかと悩んでいる場合じゃない。だから、70歳にしての入会は、“間に合った”という思いなんです」
     ◇

取材は、娘夫妻と孫と共に和やかに
取材は、娘夫妻と孫と共に和やかに

 今回の取材の場は、信心根本に会社を経営する娘夫妻と、関西創価小学校3年の孫の笑顔に包まれて和やかに。
 
 佐々木さんは、来し方を振り返りながら、学会行事や関西創価小学校に共に訪れ、創価の世界に触れさせてくれた娘家族に感謝を述べた。そして、しみじみと「池田先生に折伏してもらったんだなあ」と顔をほころばせた。
 
 何より夫の入会を喜んでいたのは妻の静枝さん。「最高に幸せです。もう何もいらない」――この言葉に、これまでの深い深い祈りがにじみ出ていた。

 「体験」が、佐々木さんの心を動かした――。まさに、「体験に勝る雄弁なし」を実感した取材となった。(記事・写真=鈴木貴子、浅見祐子)

学会員の振る舞いに心動かされた佐々木克巳さん(前列右から3番目)。何度も仏法対話をしてくれた片桐学さん(後列右から2番目)や、片目が見えない中でハガキを送って励ましてくれた谷口啓二さん(前列右から4番目)らに感謝は尽きないという
学会員の振る舞いに心動かされた佐々木克巳さん(前列右から3番目)。何度も仏法対話をしてくれた片桐学さん(後列右から2番目)や、片目が見えない中でハガキを送って励ましてくれた谷口啓二さん(前列右から4番目)らに感謝は尽きないという
◎掲載された投稿(8月29日付)

 同志の振る舞い 心を打たれ入会
 
 京都市北区 佐々木克巳(アルバイト 70歳)
 
 今年1月2日、池田先生の誕生日でもあるこの日に行われた新年勤行会で、創価学会の一員となりました。
 
 思えば、ここに至る道のりは長いものでした。
 
 東北の旧習深い地域で育った私には、学会が何か怪しい宗教組織のように思えました。
 
 学生時代は京都に移り、さまざまな活動に明け暮れました。平和への願望や政治への関心も強かったのですが、活動すればするほど矛盾を感じ、同時に、戦う相手の巨大さがだんだんと分かっていった、そんな青春時代でした。
 
 その後、学会員だった妻と結婚。座談会に参加し、小説『新・人間革命』を3回読み、新たな発見を繰り返すうちに学会への偏見が氷解していきました。入会決意に至った理由は、学会員の方々の振る舞いにあったように思います。他者のことを、わがこととして受け止める誠実さに心を打たれました。
 
 今年で70歳。“間に合った”との思いです。自身の健康寿命を考えると、もう少しの期間はお役に立つことができるかと思います。勤行・唱題に励み、何よりも楽しい聖教新聞を読んで、きょうも一日、元気に頑張ります。

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