自分と同じ感情を相手も抱いていると知った時、「あの人にはシンパシーを感じる」と言う▼シンパシーと似た言葉に「エンパシー」がある。ともに「共感」と訳されるが深意は異なる。エンパシーは相手と自分の感情や価値観は同一ではないが、相手の思いを想像し、心情をくみ取ることで起こる共感を意味する▼コラムニストのブレイディみかこさんが、ユニークな具体例を自著で紹介している。イギリスの中学校に通う息子が「エンパシーとは何か」という試験問題に「自分で誰かの靴を履いてみること」と解答したという（『他者の靴を履く』文藝春秋）。自分の靴とはサイズやデザインが違うものを履いてみる――つまり真の共感とは、相手の立場や視点に立って物事を考えるということだ▼ある壮年部員は職場で見事なリーダーシップを発揮し、幅広い世代や分野の人たちに共感を広げる。「今まで話したことのない人、それも“少し苦手”と思う人を優先し、毎週1人以上に話しかけることを続けた結果です」と▼語らう中で、思いもよらなかった相手の考えを知り、尊重しながら対話することで、信頼や共感が深まり、自身の人間性も磨かれたという。全ては自分から始まる――そう心に刻みたい。（城）

　自分と同じ感情を相手も抱（いだ）いていると知った時、「あの人にはシンパシーを感じる」と言う▼シンパシーと似（に）た言葉に「エンパシー」がある。ともに「共感」と訳（やく）されるが深（しん）意（い）は異（こと）なる。エンパシーは相手と自分の感情や価（か）値（ち）観（かん）は同一ではないが、相手の思いを想像し、心情をくみ取ることで起こる共感を意味する▼コラムニストのブレイディみかこさんが、ユニークな具体例を自（じ）著（ちょ）で紹（しょう）介（かい）している。イギリスの中学校に通（かよ）う息子が「エンパシーとは何か」という試験問題に「自分で誰（だれ）かの靴（くつ）を履（は）いてみること」と解答したという（『他者の靴を履く』文藝春秋）。自分の靴とはサイズやデザインが違（ちが）うものを履いてみる――つまり真（しん）の共感とは、相手の立場や視（し）点（てん）に立って物事を考えるということだ▼ある壮年部員は職場で見事なリーダーシップを発（はっ）揮（き）し、幅（はば）広（ひろ）い世代や分野の人たちに共感を広げる。「今まで話したことのない人、それも“少し苦（にが）手（て）”と思う人を優（ゆう）先（せん）し、毎週1人以上に話しかけることを続けた結果です」と▼語らう中で、思いもよらなかった相手の考えを知り、尊（そん）重（ちょう）しながら対話することで、信（しん）頼（らい）や共感が深まり、自身の人間性も磨（みが）かれたという。全（すべ）ては自分から始まる――そう心に刻（きざ）みたい。（城）