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〈教学〉 正義と慈愛の心音 御金言に学ぶ日蓮大聖人の御生涯 第1回 御聖誕 2026年5月10日

「誓願」があって 「悟り」がある

 日蓮大聖人は、何と戦い、何を護り、何を留め残されたのか――。新企画「正義と慈愛の心音」では、御書を紐解き、御金言を拝しながら、末法の御本仏の御生涯に迫ります。(御文は現代語訳もしくは趣意で表記し、ページ数は番号を付して別掲)

 ――――――
 
 「日蓮は、片海の漁師の子である」①
 「中央の都の者でもなければ、辺境にいる将軍等の子息でもない。都から遠く離れた国にいる民の子である」②

 ◇ 
 
 赫々と昇る太陽が大海原を照らし、雄大な山々をも照らしていく――。貞応元年(1222年)2月16日、安房国長狭郡東条郷の片海(現在の千葉県鴨川市内)に、日蓮大聖人は生を受けられました。
 漁業で生計を立てていた庶民の生まれでした。御両親は領家(在地の荘園領主)との繋がりがあったようで、地域の人たちのまとめ役のような存在だったとも考えられています。
 ほぼ同時代を生きた僧・道元や親鸞のように貴族階級の出身でもなく、法然、一遍、栄西などのように、京都や西国という先進地域に生まれたのでもない。
 都から遠く離れた東国に、一介の庶民として生まれたことを誇りとされる大聖人。その御言葉からは、一部の特権階級ではなく、“名も無き民衆こそが歴史の主役である”“民衆が幸せになるためにこそ仏法はある”との強い信念が響いてきます。

波浪が砕け、しぶきが舞う――日蓮大聖人御聖誕の地・千葉の鴨川市内から太平洋を望む
波浪が砕け、しぶきが舞う――日蓮大聖人御聖誕の地・千葉の鴨川市内から太平洋を望む

 ――――――
 
 「人の命は無常である。出る息は、入る息を待つことがない。風の前の露というのは、単なる譬えではない。賢い者も、愚かな者も、老いたる者も、若い者も、いつどうなるか分からないのが世の常である。それゆえ、まず臨終のことを習って、後に他のことを習おう」③

 ◇ 
 
 大自然を呼吸しつつ、懸命に働く両親や土地の人々とともに大聖人は、たくましく成長されたことでしょう。
 一方で海とともに生きる漁師の仕事は、常に危険と隣り合わせです。時に、死を間近に意識することもあったでしょう。
 生きとし生けるものは全て、死を免れることはできない。では、はかない一生をいかに生きるべきか――。
 若き鋭敏な生命は、生死の問題の解決なくして、真の幸福はないと鋭く感じとっていたに違いありません。
 お生まれの前年に起こった「承久の乱」も、大聖人の御心を深く捉えた出来事でした。
 政治の実権を拡大しようと鎌倉幕府を圧迫した朝廷が、反対に幕府に制圧されたのです。首謀者の後鳥羽上皇らは流刑に処されました。
 「どういうわけで負けてしまったのか。国王の立場にあって、庶民と言ってよいほどの(北条)義時を討ち取るのは、鷹が雉を捕らえ、猫が鼠を食うようなものであるはずである。これは、猫が鼠に食われ、鷹が雉に捕らえられたようなものである」④
 主人であるはずの朝廷が、家来の武士に敗れ去る。当時の常識を覆す衝撃の結末に、大聖人のみならず多くの人々が疑問を抱き、空しさを抱きました。こうした時代や社会の混乱も、大聖人を仏法の探求へと促す一因となったと考えられます(⑤)。

 ――――――
 
 「日本国第一の智者にならせてください」⑥
 「明星のような大宝珠を右の袖に受け取ったので、一切の経典を見た時に、さまざまな宗派と、さまざまな経典の勝劣を、ほぼ分かるようになった」⑦

 ◇ 
 
 12歳で安房国の清澄寺に入り、修学の日々を開始された大聖人は、寺の本尊である虚空蔵菩薩に「日本国第一の智者に」との願いを立てられました。
 この誓いのままに必死に祈り、研さんを重ねた大聖人は、ある体験を遂げられます。虚空蔵菩薩から、「明星のような智慧の宝珠」を授けられ、さまざまな経典の勝劣が分かるようになったと仰せです。
 池田先生は語っています。
 「どうすれば民衆を救えるかという深く真剣な祈りのゆえに、智慧の宝珠を得られたと拝される。大事なことは、大聖人が、それを到達点とされたのではなく、この悟りを出発点として、さらなる求道の道に入っていかれたことです」
 「自分だけ悟りに安住するのは、ある意味では簡単です。大聖人の場合は、つねに民衆を救い、末法の時代を現実に転換するための智慧を求めておられる。自分に悟りがあったからといって、それで終わりではない。つねに『誓願』があって『悟り』がある」
 大いなる智慧を得た大聖人は、16歳で道善房を師として正式に出家されます。後に、「父母の家を出て出家の身となるのは、確実に父母を救うためである」⑧と述べられています。
 父母をはじめ、お世話になった人々を救いたいという誓いの炎は、ますます燃えさかっていたことでしょう。この誓いが、大聖人を、さらなる求法の旅へと後押しするのです。(続く)

【御文のページ数】①新310・全370、②新1768・全1332、③新2101・全1404、④新312・全371、⑤新678・全1521、⑥新1206・全893等、⑦新1206・全893、⑧新58・全192

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