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能登半島地震――被災地で奮闘する友 私たちは断じて負けない! 2024年7月2日

●石川・能登町 岡野弘幸さん 
一番大変な人のもとへ
“地域のために”と尽くす岡野弘幸さん
“地域のために”と尽くす岡野弘幸さん

 能登半島地震が起きた際、地元消防団は、自らが被災しているにもかかわらず、直後から懸命な救助活動等を行い、多くの地域住民の命と安全を守った。
 
 能登町に住む岡野弘幸さん(能登圏・常楽支部、支部長)もその一人だ。採石会社で工場長を務めるかたわら、消防団の分団長として、地域の防災に尽力してきた。
 
 1月1日、新年勤行会に参加した後、自宅で被災。家は屋根の瓦が落ち、壁も破損した。1回目の地震後、災害時の初動対応を行うため、すぐさま分団の詰め所へ車を走らせた。すると、2回目の地震が襲った。
 
 「経験したことがない大きな揺れを感じました」
 
 その後、大津波警報が発令。必死に高台への避難を呼びかけ、誘導に当たった。
 
 同月2日以降も、町内の住民のため、行政と密に連携を取りながら、支援物資の搬入などに奔走した。
 
 妻の裕子さんと会えたのは、10日ほどたってのことだった。介護の仕事で、発災時から泊まり込みで入所者を支えていたのだ。その時ばかりは、張り詰めた心が和らいだ。
 
 震災から半年。いまだ避難生活を余儀なくされている被災者は多く、寸断された道路の応急復旧も続いている。その中で岡野さんは、被災した友のもとを回り、どのような支援が必要か耳を傾けては手配に動いている。
 
 支えは、小説『新・人間革命』を通して、池田先生から教わった、“一番大変な人のもとへ”との精神――。
 
 岡野さんは誓う。「皆さんのために、自分に何ができるかを考え、一つ一つ行動していきます!」

消防服を着て、地域を回る岡野さん
消防服を着て、地域を回る岡野さん
●石川・穴水町 坂下愛結美さん 竹中七海さん
“華陽の使命”に燃えて
坂下愛結美さん㊨と竹中七海さんが仲良く
坂下愛結美さん㊨と竹中七海さんが仲良く

 能登半島の中央に位置する穴水町。能登半島地震では、最大震度6強を観測し、甚大な被害を受けた。
 
 この地で、“華陽の使命”に燃え、縁する友の心を明るく照らしている池田華陽会メンバーがいる。石川牧口県キャップの坂下愛結美さんと同サブキャップの竹中七海さんだ。2人は、「本当の姉妹のように仲が良いです」と声をそろえる。
 
 「1月に開催する予定だった『華陽カレッジ』に向け、2人で準備し始めていた時の出来事でした」
 
 発災時、坂下さんは一家団らんのひとときを過ごしていた。家族と共に高台に避難。数日間、避難所での生活を強いられた。その後も、不安な思いと不便な生活に耐える日が続いた。そんな中、折れそうになる心を支えてくれたのは、竹中さんの存在だった。
 
 竹中さんは、祖母がいる自然豊かな石川の地に魅了され、就職を機に実家がある神奈川から転居。地震は帰省中に起きた。
 
 「ニュースで地震を知った時は、頭が真っ白になりました」
 
 石川に帰るか悩んだが、「石川の同志のもとに戻りたい」との思いの方が強かった。穴水は竹中さんにとって、かけがえのない“心の居場所”となっていたのだ。
 
 2月中旬に、久しぶりに坂下さんと再会できた時は、うれしくて話が尽きなかった。
 
 現在、石川牧口県内は道路や家屋の倒壊で、満足に訪問・激励ができない。その分、協力して、SNSなどを通じて励ましの連帯を広げている。
 
 2人は瞳を輝かせる。「互いに協力しながら、幸福勝利の道を歩んでいきます」

2人は、池田華陽会の指導集『華陽の誓い』を学び、前進している
2人は、池田華陽会の指導集『華陽の誓い』を学び、前進している
●石川・輪島市 大森修さん 晴香さん
苦難に負けず前へ進む
大森修さん㊨と晴香さん
大森修さん㊨と晴香さん

 輪島市の伝統工芸・輪島塗は、強さと美しさを兼ね備えていることから「堅牢優美」と称される。その店舗や工房、そして職人も、地震で大きな被害を受けた。
 
 4月に岸田文雄首相が米国のホワイトハウスを訪れ、バイデン大統領夫妻に輪島塗のコーヒーカップとボールペンを贈った。被災した職人たちが復興の願いを込めて技術を結集した逸品である。
 
 そのコーヒーカップに金の蒔絵で大統領夫妻の名前を刻んだのは、蒔絵師の大森晴香さん(女性部員)。ヤング白ゆり世代のメンバーだ。
 
 「緊張しましたが、夫妻に輪島塗の魅力を感じてほしいとの思いで筆を入れました」
 
 元日に工房で父・修さん(能登圏・輪島支部、地区部長)と共に作業をしていた時、大きな揺れに襲われた。
 
 2人で避難所へ。頻繁に余震が起こる中、5日間ほど車中泊での生活を送った。工房は、床一面が筆を洗うための油にまみれ、金粉や色粉が散乱していた。
 
 「大変な時こそ、信心根本に一歩でも二歩でも前に進みたい」
 
 修さんは結婚を機に輪島へ。20歳で、蒔絵師の世界に入り、30年以上にわたって、腕を磨いてきた。幼い頃からよく作業場に遊びに来ていた晴香さんが自分と同じ道を歩むと決めた時には、胸に込み上げるものがあった。
 
 担い手不足など、業界を取り巻く環境は年々厳しさを増している。その中での震災だった。それでも、大森さん親子は、「もっといい物を」と新たな挑戦への意欲を燃やす。
 
 苦難に負けず、力強く生き抜く大森さん親子の姿に創価の“負けじ魂”が輝いていた。

工房で真剣に作業する2人
工房で真剣に作業する2人

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