〈SDGs×SEIKYO〉 事例編 捨てられる卵の殻が食器や紙に生まれ変わる
〈SDGs×SEIKYO〉 事例編 捨てられる卵の殻が食器や紙に生まれ変わる
2026年6月9日
「SDGs×SEIKYO」の事例編「ちーちゃんと訪ねる ミライの現場」。今回は、卵の殻を活用した取り組みをしている埼玉県上尾市の「株式会社SAMURAI TRADING(櫻井裕也代表取締役)」と長野県小諸市の「ヤマト化工株式会社 小諸工場」を取材しました。卵の殻を使った素材「シェルミン」は、2022年に「グッドデザイン賞」を受賞しています。
「SDGs×SEIKYO」の事例編「ちーちゃんと訪ねる ミライの現場」。今回は、卵の殻を活用した取り組みをしている埼玉県上尾市の「株式会社SAMURAI TRADING(櫻井裕也代表取締役)」と長野県小諸市の「ヤマト化工株式会社 小諸工場」を取材しました。卵の殻を使った素材「シェルミン」は、2022年に「グッドデザイン賞」を受賞しています。
オムライス、親子丼、プリン……卵を使った料理やお菓子って、おいしいよね! 他にも、たくさんの料理で卵が使われている気がするよ。
オムライス、親子丼、プリン……卵を使った料理やお菓子って、おいしいよね! 他にも、たくさんの料理で卵が使われている気がするよ。
そうね。実は、日本の一人当たりの卵消費量は世界トップクラス。卵が好きな日本人は85%以上といわれているのよ。
そうね。実は、日本の一人当たりの卵消費量は世界トップクラス。卵が好きな日本人は85%以上といわれているのよ。
そうなんだ! でもその分たくさんの殻が捨てられているんだよね? もったいないなあ。
そうなんだ! でもその分たくさんの殻が捨てられているんだよね? もったいないなあ。
捨てられてしまう卵の殻を活用して、新たな素材を作る取り組みが始まっているんだって。どんな素材なのか、一緒に見に行ってみようか!
捨てられてしまう卵の殻を活用して、新たな素材を作る取り組みが始まっているんだって。どんな素材なのか、一緒に見に行ってみようか!
シェルミンを製造するヤマト化工の工場。現在製造している食器のうち、約10%がシェルミン
シェルミンを製造するヤマト化工の工場。現在製造している食器のうち、約10%がシェルミン
日本では毎年、約25万トンの卵の殻が排出されている。その一部は飼料などで再利用されるが、大部分はそのまま廃棄される。
「SAMURAI TRADING」の櫻井代表は、卵の殻を使い、新たな素材を生み出してきた。その中で、卵の殻と植物由来のパルプ、プラスチックの一種であるメラミン樹脂を混ぜ合わせたものが「シェルミン」だ。
生物由来の資源を利用した製品には「バイオマスマーク」が付き、そこに示される数字はバイオマス成分の割合を表す。シェルミンの食器に記されたバイオマスマークの数字は55%。バイオマス10%や20%の製品が一般的で、開発も比較的容易だが、50%を超えることは難しいといわれる。それを実現したのがシェルミンだ。
日本では毎年、約25万トンの卵の殻が排出されている。その一部は飼料などで再利用されるが、大部分はそのまま廃棄される。
「SAMURAI TRADING」の櫻井代表は、卵の殻を使い、新たな素材を生み出してきた。その中で、卵の殻と植物由来のパルプ、プラスチックの一種であるメラミン樹脂を混ぜ合わせたものが「シェルミン」だ。
生物由来の資源を利用した製品には「バイオマスマーク」が付き、そこに示される数字はバイオマス成分の割合を表す。シェルミンの食器に記されたバイオマスマークの数字は55%。バイオマス10%や20%の製品が一般的で、開発も比較的容易だが、50%を超えることは難しいといわれる。それを実現したのがシェルミンだ。
シェルミンを製造するヤマト化工の倉澤篤郎工場長は当初、メラミン樹脂で作ってきた製品に卵の殻を加えて大丈夫なのか、不安だったという。
「試験データだけでなく、実際に使っていただく機会が増えていく中で、シェルミンが受け入れられていることを感じています」
シェルミンは、熱に強いという卵の殻の特性を生かし、電子レンジや食器洗浄機に対応。耐久性にも優れており、大手飲食チェーン店や病院、ホテルなど、さまざまな場所で利用が広がっている。
シェルミンを製造するヤマト化工の倉澤篤郎工場長は当初、メラミン樹脂で作ってきた製品に卵の殻を加えて大丈夫なのか、不安だったという。
「試験データだけでなく、実際に使っていただく機会が増えていく中で、シェルミンが受け入れられていることを感じています」
シェルミンは、熱に強いという卵の殻の特性を生かし、電子レンジや食器洗浄機に対応。耐久性にも優れており、大手飲食チェーン店や病院、ホテルなど、さまざまな場所で利用が広がっている。
シェルミンの主な製造工程
シェルミンの主な製造工程
シェルミンの原料となる粉。卵の殻、メラミン樹脂、パルプを配合している
シェルミンの原料となる粉。卵の殻、メラミン樹脂、パルプを配合している
原料をタブレット状に固め、金型に入れる。小皿から大きなプレート用まで、金型のサイズはさまざま
原料をタブレット状に固め、金型に入れる。小皿から大きなプレート用まで、金型のサイズはさまざま
金型でプレスし、食器の形に。メラミン樹脂を染み込ませた紙で、食器に柄をつける
金型でプレスし、食器の形に。メラミン樹脂を染み込ませた紙で、食器に柄をつける
完成したシェルミン。その質感と重量感は陶器に近い風合いを持つ
完成したシェルミン。その質感と重量感は陶器に近い風合いを持つ
櫻井代表取締役に聞く
櫻井代表取締役に聞く
もともと、外食産業向けに冷凍デザートを製造・販売する食品会社を経営していました。
その頃、アメリカのスーパーを視察する機会があったのですが、日本の売り場と比較すると違和感がありました。日本は華やかなプラスチックのパッケージが多いことに対して、アメリカでは、オーガニックと書かれた茶色っぽい紙のパッケージやトレーが多かったのです。こうした経験を通して、自然に負荷をかけない循環型社会をつくる重要性を感じました。
デザートの原料には卵を大量に使用します。その殻は全て、産業廃棄物として費用を払って処分していました。しかし、焼却処分をすると、温室効果ガスである二酸化炭素が多く発生します。そこで、デザートを卸していた企業の農園で肥料として使ったり、埼玉県内のサッカーチームでグラウンドの白線に利用したりしました。
その後、2015年に国連でSDGsが採択。仕事として本格的に環境問題に取り組もうと思い、17年に「SAMURAI TRADING」を設立しました。
もともと、外食産業向けに冷凍デザートを製造・販売する食品会社を経営していました。
その頃、アメリカのスーパーを視察する機会があったのですが、日本の売り場と比較すると違和感がありました。日本は華やかなプラスチックのパッケージが多いことに対して、アメリカでは、オーガニックと書かれた茶色っぽい紙のパッケージやトレーが多かったのです。こうした経験を通して、自然に負荷をかけない循環型社会をつくる重要性を感じました。
デザートの原料には卵を大量に使用します。その殻は全て、産業廃棄物として費用を払って処分していました。しかし、焼却処分をすると、温室効果ガスである二酸化炭素が多く発生します。そこで、デザートを卸していた企業の農園で肥料として使ったり、埼玉県内のサッカーチームでグラウンドの白線に利用したりしました。
その後、2015年に国連でSDGsが採択。仕事として本格的に環境問題に取り組もうと思い、17年に「SAMURAI TRADING」を設立しました。
バイオマスプラスチック「プラシェル」の仕組み。企業のオリジナルグッズや食堂の食器等に使用されている©SAMURAI TRADING
バイオマスプラスチック「プラシェル」の仕組み。企業のオリジナルグッズや食堂の食器等に使用されている©SAMURAI TRADING
最初に開発したのが、卵の殻とプラスチックを混ぜた「プラシェル」です。当時、SDGsはほとんど認知されていませんでした。私たちがいくら良いものを作ったとしても、環境に配慮した商品を選ぶ理由がない。だからまず、SDGsの啓発活動を行う「エコ玉プロジェクト」を立ち上げました。県内の金融機関など、私たちの取り組みに賛同してくれる企業や団体が一つまた一つ増えていき、現在は大手企業も含めて50を超える集まりになっています。
また、卵の殻に混ぜる素材を変えることで、紙の「カミシェル」、バイオマス食器の「シェルミン」など、事業を拡大していきました。
1年間全く収入がない時もありました。しかし、ビジネスコンテストや「グッドデザイン賞」の受賞、エコ玉プロジェクトを通して知名度が上がる中で、多くの大手企業で使用していただけるようになりました。誰も思いつかないことをやるのが楽しいし、それが地球のためになることに、やりがいを感じています。
最初に開発したのが、卵の殻とプラスチックを混ぜた「プラシェル」です。当時、SDGsはほとんど認知されていませんでした。私たちがいくら良いものを作ったとしても、環境に配慮した商品を選ぶ理由がない。だからまず、SDGsの啓発活動を行う「エコ玉プロジェクト」を立ち上げました。県内の金融機関など、私たちの取り組みに賛同してくれる企業や団体が一つまた一つ増えていき、現在は大手企業も含めて50を超える集まりになっています。
また、卵の殻に混ぜる素材を変えることで、紙の「カミシェル」、バイオマス食器の「シェルミン」など、事業を拡大していきました。
1年間全く収入がない時もありました。しかし、ビジネスコンテストや「グッドデザイン賞」の受賞、エコ玉プロジェクトを通して知名度が上がる中で、多くの大手企業で使用していただけるようになりました。誰も思いつかないことをやるのが楽しいし、それが地球のためになることに、やりがいを感じています。
エコペーパー「カミシェル」が使用された製品。金融機関の封筒や百貨店の紙袋等に使われている
エコペーパー「カミシェル」が使用された製品。金融機関の封筒や百貨店の紙袋等に使われている
SDGsの認知度も高まり、人々の環境に対する意識も大きく変わってきています。例えば、若い世代の購買層が多いアパレル業界で、カミシェルの名刺を採用する企業が増えました。環境に対する取り組みを怠ると、選ばれない時代が来ています。
企業間の取引も同様です。温室効果ガス排出削減に関する国際認証にSBT認定があります。これが対象とするのは、自社のみならず、原材料の生産や配送時といった、サプライチェーン全体の温室効果ガス排出量です。今後、SBT認定の企業は増えていくと考えられます。環境問題に取り組んでいないと、こうした企業とは、取引すらできなくなるでしょう。
日本はまだまだ遅れています。世界に追いつくには、環境に正しいことをしていく必要がある。プラスチックなどの代わりに卵の殻を使うことも、そのための一つのアイデアでした。循環型社会の実現のためには、もっと新しい発想と挑戦が必要です。
SDGsの認知度も高まり、人々の環境に対する意識も大きく変わってきています。例えば、若い世代の購買層が多いアパレル業界で、カミシェルの名刺を採用する企業が増えました。環境に対する取り組みを怠ると、選ばれない時代が来ています。
企業間の取引も同様です。温室効果ガス排出削減に関する国際認証にSBT認定があります。これが対象とするのは、自社のみならず、原材料の生産や配送時といった、サプライチェーン全体の温室効果ガス排出量です。今後、SBT認定の企業は増えていくと考えられます。環境問題に取り組んでいないと、こうした企業とは、取引すらできなくなるでしょう。
日本はまだまだ遅れています。世界に追いつくには、環境に正しいことをしていく必要がある。プラスチックなどの代わりに卵の殻を使うことも、そのための一つのアイデアでした。循環型社会の実現のためには、もっと新しい発想と挑戦が必要です。
この取り組みに関わるSDGsの主な目標
この取り組みに関わるSDGsの主な目標
●ご感想をお寄せください
https://www.seikyoonline.com/intro/form/kansou-input-sdgs.html
●聖教電子版の「SDGs」特集ページが、以下のリンクから閲覧できます。
https://www.seikyoonline.com/summarize/sdgs_seikyo.html
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