〈健康PLUS〉 デスクワークの腰痛を改善
〈健康PLUS〉 デスクワークの腰痛を改善
2024年11月2日
柔道整復師 高子大樹さん
柔道整復師 高子大樹さん
長時間のデスクワークによる腰痛で、悩んでいる人は多いのではないでしょうか。柔道整復師で『座りすぎ腰痛は1分で治る!』(さくら舎)の著者である高子大樹さんに、デスクワークによる腰痛の仕組みや、改善が期待できる体操について教えてもらいました。
長時間のデスクワークによる腰痛で、悩んでいる人は多いのではないでしょうか。柔道整復師で『座りすぎ腰痛は1分で治る!』(さくら舎)の著者である高子大樹さんに、デスクワークによる腰痛の仕組みや、改善が期待できる体操について教えてもらいました。
◆座り過ぎの影響
◆座り過ぎの影響
腰が痛いと、つい強い力でグイグイともんだり、たたいたりしがちです。しかし、腰だけをやみくもに強い力でマッサージすると、余計に痛みが増す可能性があります。
同じ姿勢で座っている状態が続くと、筋肉や筋肉を覆う筋膜が、古いゴムのように硬くなります。そこに強い力が加わると、ゴムがブチッと切れるように、かえって筋肉を痛めてしまう危険性があるのです。
デスクワークによる腰痛の場合、体に負担をかけない体操を推奨しています。
長時間座ることで特に硬くなりやすいのが、腰回りにある「腸腰筋」です。腸腰筋は、腰椎(腰の骨)と太ももの付け根を結ぶ三つの筋肉(大腰筋、小腰筋、腸骨筋)の総称です。
腰痛の9割は、腸腰筋が関係しているといわれています。下の「シェー体操」を実践することで、腸腰筋の柔軟性を取り戻すことができます。
近年は、パソコンやスマホを操作する時間が増え、猫背になることで起こる腰痛も増えています。猫背の状態が続くと、首の骨の湾曲のない「ストレートネック」になり、腰痛だけでなく、頭痛や肩凝り、手足のしびれなどを引き起こします。
猫背で悩んでいる方は、胸椎(胸の骨)を伸ばし、背骨のしなりを取り戻す「カベのび体操」を行ってみましょう(下に掲載)。仕事の休憩時間にオフィスでもできます。
なお腰痛は、内臓疾患が原因のケースもあります。発熱や倦怠感があるなど、腰痛以外に気になる症状がある場合は、まず病院を受診することをオススメします。
腰が痛いと、つい強い力でグイグイともんだり、たたいたりしがちです。しかし、腰だけをやみくもに強い力でマッサージすると、余計に痛みが増す可能性があります。
同じ姿勢で座っている状態が続くと、筋肉や筋肉を覆う筋膜が、古いゴムのように硬くなります。そこに強い力が加わると、ゴムがブチッと切れるように、かえって筋肉を痛めてしまう危険性があるのです。
デスクワークによる腰痛の場合、体に負担をかけない体操を推奨しています。
長時間座ることで特に硬くなりやすいのが、腰回りにある「腸腰筋」です。腸腰筋は、腰椎(腰の骨)と太ももの付け根を結ぶ三つの筋肉(大腰筋、小腰筋、腸骨筋)の総称です。
腰痛の9割は、腸腰筋が関係しているといわれています。下の「シェー体操」を実践することで、腸腰筋の柔軟性を取り戻すことができます。
近年は、パソコンやスマホを操作する時間が増え、猫背になることで起こる腰痛も増えています。猫背の状態が続くと、首の骨の湾曲のない「ストレートネック」になり、腰痛だけでなく、頭痛や肩凝り、手足のしびれなどを引き起こします。
猫背で悩んでいる方は、胸椎(胸の骨)を伸ばし、背骨のしなりを取り戻す「カベのび体操」を行ってみましょう(下に掲載)。仕事の休憩時間にオフィスでもできます。
なお腰痛は、内臓疾患が原因のケースもあります。発熱や倦怠感があるなど、腰痛以外に気になる症状がある場合は、まず病院を受診することをオススメします。
【体操の方法】
【体操の方法】
〈シェー体操〉
〈シェー体操〉
①あおむけに寝て、両脚を肩幅くらいに開いて両膝を立てます。左右の手のひらは、下に向けて腰の両側に置きます。
①あおむけに寝て、両脚を肩幅くらいに開いて両膝を立てます。左右の手のひらは、下に向けて腰の両側に置きます。
②両脚を右に倒し、ゆっくりと鼻からおなかに息を吸い込み、口から吐く腹式呼吸をします。
②両脚を右に倒し、ゆっくりと鼻からおなかに息を吸い込み、口から吐く腹式呼吸をします。
③右足裏を左膝の上に軽く乗せます。右足で左膝を押さないように気を付けましょう。
③右足裏を左膝の上に軽く乗せます。右足で左膝を押さないように気を付けましょう。
④左手を頭の上方に移動し、脇の肋骨ラインを伸ばし、右腕をおなかの上に乗せて、「シェー」のポーズをします。腹式呼吸を続けながら、左脇腹からお尻までしっかり伸ばし、30秒間キープします。その後、①に戻り、反対側も同じようにします。1分間で左右1セットを行います。
④左手を頭の上方に移動し、脇の肋骨ラインを伸ばし、右腕をおなかの上に乗せて、「シェー」のポーズをします。腹式呼吸を続けながら、左脇腹からお尻までしっかり伸ばし、30秒間キープします。その後、①に戻り、反対側も同じようにします。1分間で左右1セットを行います。
〈カベのび体操〉
〈カベのび体操〉
①壁から30センチほど離れた所で、脚を肩幅に広げ、背筋を伸ばして、壁に向かって立ちます。息を吸いながら、両腕を伸ばしてバンザイをします。
①壁から30センチほど離れた所で、脚を肩幅に広げ、背筋を伸ばして、壁に向かって立ちます。息を吸いながら、両腕を伸ばしてバンザイをします。
②背筋を伸ばしたまま、息を吐きながら腰を前に倒し、手のひらを壁につけます。額や顎が壁につく人は、さらにストレッチ効果が高くなります。そのまま30秒間、呼吸をして背中の伸びを感じるようにしましょう。上記の動作を2回1セットで行います。
②背筋を伸ばしたまま、息を吐きながら腰を前に倒し、手のひらを壁につけます。額や顎が壁につく人は、さらにストレッチ効果が高くなります。そのまま30秒間、呼吸をして背中の伸びを感じるようにしましょう。上記の動作を2回1セットで行います。
◆「継続」が大切
◆「継続」が大切
腰痛改善の体操を行う上で大切なのは、継続することです。
続けるためのポイントの一つは、「頑張らない」ことです。
「これから体操を頑張るぞ」と、ストイック(厳格)に自分を追い込むと、結果的に続かなくなります。頑張り過ぎず、肩の力を抜いて行うようにしましょう。
二つ目は、「ながら感覚」です。
普段の生活の中で、“音楽を聞きながら”“テレビを見ながら”実践してもらって構いません。何かをしながらの方が、体操が無理なく続きます。
最後は、「目的をもつこと」です。
旅行に出かけたい、孫と遊ぶため等、何でもいいと思います。その人にとっての“スイッチ”が入ると、継続しやすくなります。特に、自分のためよりも、特定の人のためとの目的があった方が、モチベーションが高まっていくことでしょう。
腰痛の改善や予防のためにスポーツを始めたいという方は、運動の種目に注意しましょう。
ゴルフやサイクリング、ジョギングは腰に負担がかかり、腰痛が悪化しかねません。
オススメしているのは、「ピラティス」と「水中運動」です。
ピラティスは、呼吸をしながら体幹のバランスを整えられるため、腰痛時に実践しやすいでしょう。腰痛の原因にもなるインナーマッスルをやわらかくしてくれます。
また水中での体操や歩行は、水中の浮力と抵抗によって筋肉が鍛えられるだけでなく、デスクワークで硬くなった関節を緩めてくれます。
どの運動も、行う際は激しい動きで腰に強い負荷をかけないよう、注意しましょう。
腰痛改善の体操を行う上で大切なのは、継続することです。
続けるためのポイントの一つは、「頑張らない」ことです。
「これから体操を頑張るぞ」と、ストイック(厳格)に自分を追い込むと、結果的に続かなくなります。頑張り過ぎず、肩の力を抜いて行うようにしましょう。
二つ目は、「ながら感覚」です。
普段の生活の中で、“音楽を聞きながら”“テレビを見ながら”実践してもらって構いません。何かをしながらの方が、体操が無理なく続きます。
最後は、「目的をもつこと」です。
旅行に出かけたい、孫と遊ぶため等、何でもいいと思います。その人にとっての“スイッチ”が入ると、継続しやすくなります。特に、自分のためよりも、特定の人のためとの目的があった方が、モチベーションが高まっていくことでしょう。
腰痛の改善や予防のためにスポーツを始めたいという方は、運動の種目に注意しましょう。
ゴルフやサイクリング、ジョギングは腰に負担がかかり、腰痛が悪化しかねません。
オススメしているのは、「ピラティス」と「水中運動」です。
ピラティスは、呼吸をしながら体幹のバランスを整えられるため、腰痛時に実践しやすいでしょう。腰痛の原因にもなるインナーマッスルをやわらかくしてくれます。
また水中での体操や歩行は、水中の浮力と抵抗によって筋肉が鍛えられるだけでなく、デスクワークで硬くなった関節を緩めてくれます。
どの運動も、行う際は激しい動きで腰に強い負荷をかけないよう、注意しましょう。
★腰に優しい座り方
★腰に優しい座り方
正面から見た姿勢
正面から見た姿勢
横から見た姿勢
横から見た姿勢
デスクワークをしていると、ついつい座る姿勢が崩れます。
誤った座り方は、腰痛の一因になります。腰に負担をかけずに座るためには、イラストのように、「骨盤を真っすぐに立てる」「座骨に体重を乗せて座る」ことを意識するようにしましょう。
なお、背もたれが90度に近い角度のいすに座ると、自然に骨盤を立てることができます。後ろに大きく傾いた背もたれだと、なかなか骨盤を立てにくくなります。
座骨というのは、骨盤の一番下にある左右の骨です。この座骨に上半身の体重が左右均等にかかるのが、理想的な座り方です。
座骨に体重を乗せるコツがあります。
①いすに座り、上半身を後ろに少し傾ける
②呼吸をしながらゆっくりと上体を起こす
この流れで確認してみるとよいでしょう。
座骨に上半身が乗ると、おなかと背中の筋肉を軽く使うだけで、上半身を楽に支えることができ、呼吸もしやすくなります。
デスクワークをしていると、ついつい座る姿勢が崩れます。
誤った座り方は、腰痛の一因になります。腰に負担をかけずに座るためには、イラストのように、「骨盤を真っすぐに立てる」「座骨に体重を乗せて座る」ことを意識するようにしましょう。
なお、背もたれが90度に近い角度のいすに座ると、自然に骨盤を立てることができます。後ろに大きく傾いた背もたれだと、なかなか骨盤を立てにくくなります。
座骨というのは、骨盤の一番下にある左右の骨です。この座骨に上半身の体重が左右均等にかかるのが、理想的な座り方です。
座骨に体重を乗せるコツがあります。
①いすに座り、上半身を後ろに少し傾ける
②呼吸をしながらゆっくりと上体を起こす
この流れで確認してみるとよいでしょう。
座骨に上半身が乗ると、おなかと背中の筋肉を軽く使うだけで、上半身を楽に支えることができ、呼吸もしやすくなります。
たかこ・ひろき 柔道整復師。「たかこ整骨院」「くろまく整骨院」(横浜市)の総院長。2006年FIFAクラブワールドカップトレーナー。野球、サッカー、格闘技等、プロスポーツ選手のサポートも行っている。著書に『足腰は1分で強くなる』(自由国民社)など。
たかこ・ひろき 柔道整復師。「たかこ整骨院」「くろまく整骨院」(横浜市)の総院長。2006年FIFAクラブワールドカップトレーナー。野球、サッカー、格闘技等、プロスポーツ選手のサポートも行っている。著書に『足腰は1分で強くなる』(自由国民社)など。
高子さんの新著
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取り上げてほしいテーマなど、ご意見・ご要望をお寄せください。
dokusha@seikyo-np.jp
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