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〈信仰体験〉 グラウンド・ゴルフ歴40年 2024年7月11日

  • 幸せのホールインワン
  • 悪性リンパ腫ステージ4と闘って
幾つもの病を乗り越えた森田さん。かろうじて見える左目で、ホールインワンに挑む
幾つもの病を乗り越えた森田さん。かろうじて見える左目で、ホールインワンに挑む

 【横浜市都筑区】狙うのは、皆がアッと驚くホールインワン! グラウンド・ゴルフ歴約40年の大ベテラン。森田昭さん(81)=副支部長=は、愛用のクラブをフルスイング。あらゆる病魔を打ち返してきた力強さが、そこにある。

いつも夫婦で、前へ前へ。信心を深め合う妻・紀美子さん㊨と
いつも夫婦で、前へ前へ。信心を深め合う妻・紀美子さん㊨と

 実は「視力は右が0で、左が0・15くらいかな」。4年前、かなり進行した、加齢黄斑変性症と診断された。右目を失明し距離感がつかみにくい。
 1ラウンドで8ホール回り、それぞれの距離は15~50メートル。長い所ほど、ボールを入れるホールポストの旗が、ぼやけて見える。
 「でも、やめようとは思わない。旗に向けて打てば、ホールインワンも狙えるんです」

ホールポストの輪に入る瞬間
ホールポストの輪に入る瞬間

 勝負の1打目。先に打つ人を観察し、旗の方向を見極める。自分が最初に打つ時は「この向きで合ってる?」と仲間に確認も。練習ならではの一こま。
 長年の経験で培った力加減で、コース状況に応じたショットを。見事、ホールポスト内の鈴に当たると、心地よい音が鳴り響く。
 「カチーン♪」
 打ち終わると耳を澄ますのは、そのため。鈴の音が聞けるように「見えなくなった分、“心の目”で打つようになりました」。
 その目には、かつて肩に手をかけて励ましてくれた、池田先生の姿が焼き付いている。

 1979年(昭和54年)5月22日。その日は妻・紀美子さん(80)=支部副女性部長=と横浜市内の中華街へ。
 第3代会長を辞任した池田先生が何度も訪れる、神奈川文化会館の近く。“先生、いらしてるかな?”
 会館前を通ると、不意に声をかけられた。「そこのご夫婦、いらっしゃい」
 師の姿に気付くや否や、紀美子さんは小走りで。胸元のペンダントが揺れる。森田さんからの贈り物だ。
 “本当は、ダイヤモンドの付いたペンダントをあげたかったけど……”
 紀美子さんは、そんな夫の優しさを喜びつつ、池田先生に紹介した。
 師は二人の肩に手をかけ、励ましを込めて森田さんに言った。
 「男は力だよ」
 この一言が、人生の道しるべに。「力」とは何か、紀美子さんと何度も話し合った。

紀美子さんに贈ったダイヤの指輪
紀美子さんに贈ったダイヤの指輪

 20代の頃、「お金に困らない境涯になるよ」と励まされ、創価学会に入会。すでに10年余りたち、貧しくても幸せを感じるようになっていた。
 やがて会社で昇進・昇給し、50代で初めてダイヤモンドの指輪を贈ることもできた。
 だが、確信した。
 「力とは、富や名声ではない。地域に貢献し、社会で実証を示すことで得られる、広布のための信頼です」
 “第三の人生”を歩み始めた、60歳。森田さんは当時住んでいた横浜市鶴見区で、老人会のグラウンド・ゴルフを立ち上げた。

 元来、グラウンド・ゴルフは、子どもから高齢者まで楽しめる生涯スポーツ。森田さんが始めたのは40代で、すぐに魅了された。
 「ゲートボールは団体戦だけど、グラウンド・ゴルフは個人戦。ミスしても、気が楽だからね(笑)」
 立ち上げでは当初、資金不足で道具がそろわず、森田さんが自前で用意することに。新たな地域活動を始める「0を1にする難しさ」を痛感した。
 メンバーは口コミで増え、今では50人以上に。多くの人を育み、“地域のお父さん”と慕われてきた。

50年近く続けている趣味の茶道
50年近く続けている趣味の茶道

 一方、第三の人生は病との闘いでもあった。60代で狭心症、70代で膀胱がんに。それぞれ手術を受け、病魔をねじ伏せた。だが……。
 2020年(令和2年)に見つかった、ステージ4の悪性リンパ腫は当初、抗がん剤が効かなかった。
 余命3カ月。「湿れる木より火を出だし、乾ける土より水を儲けんがごとく、強盛に申すなり」(新1539・全1132)
 「命懸けの題目。命を懸けた題目を始めたんです」。確信を心肝に染め直す。強い抗がん剤の副作用に耐え、御本尊はもちろん、グラウンド・ゴルフからも離れなかった。
 死魔を打ち返す、力強い祈り。師との原点が力をくれた。「男は力だよ」。命の期限といわれた3カ月。血液の数値は、正常に戻っていた。「まさに、更賜寿命。題目の力を示し切るため、これからもクラブを振ります」
 応援の祈りをささげてくれる、妻と同志には感謝しかない。

 闘病中、自ら決めたルールがある。「ホールインワンを出したら貯金箱に100円玉を入れるんです」
 今も一年に100回ほどホールインワンを出す森田さん。満杯になったら「妻に旅行をプレゼントする」と。
 ただ、目が不自由で銀色と銅色の区別もつきにくい。貯金箱の前では、夫が10円玉と間違えないよう、紀美子さんがニコニコ顔で。
 ――今日も、いつもの公園で練習が始まった。幸せの鈴が鳴る。
 「カチーン♪」

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