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〈もうひとコエ〉 “0.5ミリ”の勇気が友好広げる 2026年1月21日

  • 大阪府箕面市 安藤昌直さん
柔和な笑みで取材に応じる安藤さん。心には師への誓いの炎が燃えさかる
柔和な笑みで取材に応じる安藤さん。心には師への誓いの炎が燃えさかる

 「もうひと声、思いを伺いたい」「もうひと越え、深く知りたい」――「声」の欄の投稿者の元へ担当記者が訪れる「もうひとコエ」。今回は、大阪府箕面市の安藤昌直さん(92歳)=県主事=です。
 
 安藤さんは池田先生の指針を胸に、90歳を超えてから自治会、老人会に参加。また、自宅の庭のサクランボの木に実がなる5月には、それを見物する人に積極的に声かけを。それを自ら“サクランボ外交”と名付けるなど、軽快に新たな友情を広げる様子をつづりました(2025年6月27日付)。
 
 記者が「もっと知りたい」と思ったのは、90代でも友好拡大を続ける安藤さんの“軽やかさ”の秘訣。お話を伺いに箕面市に向かいました。
 
    ◇

昨年5月に大きく実ったサクランボ。鮮やかな実に多くの通行人が足を止めたという
昨年5月に大きく実ったサクランボ。鮮やかな実に多くの通行人が足を止めたという
にぎやかなシルバーの集い

 北大阪急行線が箕面萱野駅に近づき、地上に顔を出すと、赤黄に萌ゆる北摂山系が窓外に広がる。その雄大さに息をのむ。豊かな自然と都市が同居する街・箕面市。この地が安藤さんの挑戦の舞台だ。
 
 自宅を訪ねると「きょうは何を聞きに来たんやっけ?」と。
 とぼけた口調に、たじたじになって取材の要旨を伝えると、笑いながら手を揺らし、「僕はそんな大層なことは言われへんよ」と。明るい空気が室内に流れた。
 
 早速、“サクランボ外交”について伺うと、アルバムを開いて写真を見せてくれた。そこには、びっしりと実がなるサクランボの木が。
 安藤さんによれば、この地域ではサクランボの木を珍しがる人が多く、足を止める人たちもいるという。そうした人たちと、対話の花を咲かせてきた。
 
 最近は、地域の“シルバーの集い”に一番、力を入れているということで、記者も同行させてもらった。
 会場である地域のコミュニティーセンターまでの急勾配の上り坂も、“杖など無用”と何のその。徒歩5分ほどして到着すると、参加者が安藤さんをワイワイと囲む。
 安藤さんは飛び入りの記者を「招かれざる客や」と皆に紹介。一瞬、背筋が凍ったが、「そんな客が大きな変化をもたらしてくれるもんや」とニコリ。
 「安藤さんってどんな方ですか?」と聞けば、一同は声をそろえて「この会の“名誉会長”や」と。参加者の一人は「ほんまに話の引き出しが多いねん」と。慕われているのが見てとれた。

急坂をググッと踏み上る健脚の安藤さん。昨年行われた大阪・関西万博では2万歩以上歩いたそう
急坂をググッと踏み上る健脚の安藤さん。昨年行われた大阪・関西万博では2万歩以上歩いたそう
“0.5ミリ”の勇気を

 安藤さんは箕面広布の功労者である。
 1933年(昭和8年)5月、大阪市の天満で生まれ、5歳から箕面の地で育った。27歳の時、学会員だった妻・かほるさんの勧めで入会。当初は信心を続ける気がなかったが、先輩は「信心している顔してやってみい」と。
 どうもピントがずれたような励ましに思えた。「信心は“こうって決めたら、こう”。心を決めることの大切さを教えてくれたんやね」と振り返る。
 以来、父から継いだ婦人服製造会社を営みつつ、大ブロック長(現・地区部長)として学会の草創期を駆けた。
 
 同志に常々語ってきたのは“0.5ミリ”。「僕は本来、臆病者で勇気がなくて、取りえのない人間や」。だからこそ、「1ミリの半分でもええ。ほんのちょっとでも勇気を出して、考え方が変われば、人生が変わる」と。
 
 地域の中心者だった81年(同56年)には、池田先生と忘れ得ぬ出会いを結ぶ。第2次宗門事件以降は、衣の権威への怒りと会員厳護の誓いを胸に、500回以上の友人葬で儀典長を担った。
 

安藤さんの広布の舞台、大阪・箕面市。色づく北摂山系に目を奪われる
安藤さんの広布の舞台、大阪・箕面市。色づく北摂山系に目を奪われる
広布の思い出を残しておかなあかん

 今では軽やかに対話を広げる安藤さんだが、妻・かほるさんが2014年に亡くなってから数年は「抜け殻のようになっていた」。家にこもるようになった。「男ってのは弱いんよ」
 
 失意に沈む安藤さんだったが、家族ぐるみで付き合いのあった吉田美恵子さんの叱咤激励のおかげで、次第に外に出られるように。再び心に火がついたのは、友の訃報が続々と耳に届いたからだった。「このままじゃ、あかん。広布の思い出を残しておかな」
 
 思い起こしたのは師の指針。「一人が、十人の本当の友人をつくっていこう! そこに実質的な広宣流布がある」
 “今再び”との決意で、地域の人々の中へ。「とはいっても、しゃべっていることは、よもやま話よ」。それでも関わりを積み重ねていくと、一人また一人と友人が増えていった。
 「やっぱり、動かへんことには何も生まれん。人と会うことで人生は彩られる」
 
 “シルバーの集い”に通い始めて足かけ2年。深く対話できるようになった友人が新たに7人できた。旧知の友を含めると、目標の10人を優に超えた。
 「安藤さんと会うと元気が出るわ」――友人のそんな言葉がうれしくて仕方ない。
 先日は、地域の小学生から「おっちゃん、サクランボ、いつ赤くなるのー?」と呼び止められた。92歳の自分を“おじいちゃん”ではなく、“おっちゃん”と若々しく呼んでくれたのがうれしかった。

安藤さんを陰に陽に支える吉田さん㊧とサクランボの木の前で。対話に打って出る安藤さんの姿を誰よりも喜んでいる
安藤さんを陰に陽に支える吉田さん㊧とサクランボの木の前で。対話に打って出る安藤さんの姿を誰よりも喜んでいる
心軽やかに“ちょっとだけ”前へ

 記者が気になっていたことを聞いてみた。
 90歳を超えてから、新たに友人をつくるのは、気力・体力ともに大変では?
 安藤さんは、同じ調子で謙遜して一言。
 「いやいや、“シルバーの集い”も“サクランボ外交”も、そんな大層なもんじゃないのよ」
 
 “ほんのちょっと”と、軽やかに声をかけ続けてきた安藤さんの行動と言葉に、“0.5ミリ”前へ出るところから友好が広がり始めることをうかがい知った。
 
 取材を終えて、記者も心が軽くなった。“最近会っていなかったあの友人に、ちょっとだけ勇気を出して連絡してみよう”と、帰路の電車でスマホを取り出した。(記事・写真=舘崎空希、浅野一城)

◎掲載された投稿(2025年6月27日付)

 90歳超えてなお 新たな友人増え

 大阪府箕面市 安藤昌直(92歳)

 「一人が、十人の本当の友人をつくっていこう! そこに実質的な広宣流布がある」との池田先生の指針が、私の頭から離れたことはありません。

 現実は年齢とともに友人は他界し、減っていく一方ですが、まだまだ挑戦の心は衰えていません。

 90歳になった時、“よし、壁を破り、新しい友人をつくろう!”と決意。自治会、老人会、シルバー人材センターなどの集いに参加し、皆さんの仲間に入り、学会に入会してからの64年間で学んだことを伝えながら友人を増やしています。

 5月、久しぶりに、わが家の庭のサクランボの木にたくさんの実がなりました。

 これを見た方々が、立ち止まって写真を撮ったり、眺めたりと、すごいにぎわいに。本当に思いがけないところから友好が広がりました。私はこれを「サクランボ外交」と名付けました。

 さらに先日は、私たちと友好を深めたいと言ってくださる方や「あなたに会うと元気が湧いてくる」と言ってくださる新たな友人と出会うことができ、涼風が私の体を通り抜ける思いがする今日この頃です。

 今まで学んだ学会精神を支えに、地域に友情と信頼の輪を広げ、「学会の人は違うなあ!」と言っていただける人生を送りたいと思います。

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