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〈信仰体験 能登は美し〉 出張朝市の梅干し、万博で完売 2025年9月1日

朝市仲間とバスで駆け付けた柿さん
朝市仲間とバスで駆け付けた柿さん

 【石川県輪島市】この人がいると、不思議に空気が丸くなる。
 
 「昔ながらの酸っぱい梅干し、買うてくだあ」
 
 人懐こい輪島弁。柿美幸さん(75)=地区副女性部長=の和む声に、お客さんがつい足を止める。
 
 「昔、母が漬けてくれたのにそっくり」
 「夫の弁当に一個ずつ入れようかな」
 
 やり取りの末、一つまた一つと売れていく。そんな光景が、在りし日のにぎわう朝市と重なって見えた。
 

 大阪・関西万博では8月27日から5日間、「石川の日」と銘打ったブースが設置された。
 
 昨年の能登半島地震からの歩みを伝えるほか、伝統文化を発信する機会に。「出張輪島朝市」もまた、1日限定でテントを構えた。
 
 柿さんは仮設住宅で暮らしている。毎日、畑に出た。酷暑で野菜の生育は良くなかったが、友人から託されたウメを収穫して漬けた。18%の塩分濃度は「常温で置けるギリギリ」だそう。
 
 朝市に店を出し始めたのは、20数年前。
 後縦靭帯骨化症で働けなくなった夫・貞雄さん(78)=地区幹事=に代わり、孫と手作りの漬物を台車に乗せ、朝市通りを行ったり来たり。
 「池田先生に恥ずかしくない姿で」と苦衷を隠し、笑顔で売り歩いた。「陰徳あれば陽報あり」(新1613・全1178)の御文を疑わなかった。

 味と信頼が評判を呼び、震災後も柿さんの作った野菜や漬物を心待ちにする人たちがいる。
 
 55年前の大阪万博には、輪島の洋裁店に勤めた頃に同僚たちと参加している。
 
 「まさか2回も来られるなんて。生きてみるもんや」
 
 復興への祈りを込めた梅干しは完売。
 最後の一袋が売れた際は、場内に温かい拍手が響いた。
 「涙が出るほど楽しい」。まだまだ現役だ。

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