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〈幸齢社会〉 「お金の整理ノート」で、不安と向き合う 2026年5月6日
老後の生活費は足りるだろうか――そんな不安が、頭をよぎることはありませんか。漠然とした不安は、考えるほどに大きくなるものです。その不安を、意外とシンプルな方法で和らげることができます。シニア世代のお金管理について、一般社団法人相続診断協会の顧問・武藤頼胡さんに聞きました。
武藤頼胡さん
老後のお金に不安を感じている方は少なくありません。多くの方に共通する不安の原因は、資産を把握していないことにあります。自分の状況を知らないのは、暗闇で歩くようなものです。見えない足元に恐怖を感じます。逆にいえば、どこに立っているかを知るだけで、やるべきことは見えてきます。資産を把握し、今後の出費を予想する。一番の問題は、資産の多寡ではありません。
相談を受けていると、驚くほど多くの方が資産を把握できていません。ある方は、相談に来た時「資産は500万円ほど」と言われていました。しかし、洗い出してみると、実際は2千万円以上ありました。もちろん思っていたより少ない場合もありますが、大切なことは、思い込みと現状は異なるということです。
紹介する「お金の整理ノート」は、資産の全体像をつかむ道具です。1円単位で記入する必要はありません。これから紹介する項目を、大学ノート等に書き込んでみてください。
▶人生の充実度グラフ
まずは「人生の充実度グラフ」を記入します。横軸を「年齢」、縦軸を「人生の充実度」とし、自分の軌跡を線グラフで描いていきます。横軸は100歳まで書いてください。「あの頃は仕事が楽しかった」「この時期はお金に苦労した」と浮かんできた記憶も、グラフに書き入れます。
▶私の「お金」人生エピソード
ここからの項目は1年に1度更新してください。まずは、グラフを手がかりに、お金にまつわる自分の歴史を振り返ります。「夢中になると全部使ってしまう癖がある」「家族のためばかりで、自分のためには使ってこなかった」。お金にまつわるエピソードを自由に書いていきます。この棚卸しが、お金の使い方を決める土台になります。お金は、持っているだけでは充実感を得ることはできません。自分の満足や不満の価値観を振り返ります。1年たったら、その年を振り返り、また書き出します。
▶お金の守りごと3カ条
エピソードから「お金の守りごと3カ条」を決めます。大きい買い物をすぐしてしまう場合は「10万円以上の買い物は誰かに相談する」とか。または「自分が喜ぶことに月1回お金を使う」など、自分にルールを課すことで、使い方の軸ができます。たくさん書き出してから、三つに絞るのがオススメです。
▶これからやりたい10のこと
やりたいことを列挙します。「仙台のお墓参りに行きたい」「土日だけコーヒーの店を開きたい」。各項目に大まかな予算をつけます。それが「そのために今月はいくらためよう」という具体的な行動につながります。
▶今後予想される特別支出メモ
将来かかりそうな特別支出(介護費、医療費、住居費などその他)を書き出します。この作業には、実は、かかる予算を把握すること以上に大事なポイントがあります。それは、公的な制度を把握し、もらえるお金を確認することです。制度が充実していても、申請しないと支給がされません。介護や医療制度について、ネットなどで調べてみてください。いざという時に損をせずに済みます。
▶収入・資産の記録。支出の記録
収入は、年金の年間額などを記入します。支出は、月の金額が分かる方は12倍して年間額を出してください。分からない方は、1週間の支出を50倍するだけでもOKです。
▶未来の収支予測
100歳-あなたの年齢=E
(年間収支×E+貯蓄の合計)-(年間の支出×E+特別支出予想)=今後使用できるお金の残高
お金を整理することは、自分の人生を整理することにつながります。このノートを開いた時、あなたの100年人生が動き始めます。どうか、お金に振り回されることなく、お金を使って、自分らしく生きてもらえればと思います。
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