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◆価値創造への挑戦 主体的な学びで社会福祉士を数多く輩出 2024年2月25日

  • 【創大・短大マガジン】
  • 地域の人々と触れ合い 暮らしを支える力を磨く
  • 文学部 岩川ゼミ

 少子高齢化が進む中、福祉分野の人材の需要と役割が増している。創価大学文学部の「社会福祉専修」は、毎年、多くの「社会福祉士国家試験」の合格者を輩出し、輝かしい実績を上げる。今回は、「地域福祉」が専門の岩川ゼミを特集。人々の暮らしを支える人材育成の現場を取材した。

私大2位の合格率

 「社会福祉士」という仕事をご存じだろうか。
    
 1987年に制度化された国家資格で、高齢者や障がい者、児童など、社会的弱者が抱える問題を的確にくみ取り、高度な専門知識と技術を用いて、受けられる支援やサービスを提案し援助する社会福祉の専門家だ。
    
 少子高齢化が加速し、子どもの貧困や高齢者の孤立などの問題が顕在化する中、ますます活躍の舞台が広がっている。
    
 そんな時代の要請に応えるため、創価大学では、2011年から文学部に「社会福祉専修」を設置し、人々の暮らしを支えるエキスパートを、毎年、数多く輩出してきた。
    
 昨年度行われた「社会福祉士国家試験」では、全体の合格率が44・2%の中、創大の現役合格率は92・9%。卒業生と合わせた総合の合格率でも84・2%と、10人以上が受験した205校の中で、私立大学として第2位の実績を残した。
    

学生主体で進められる岩川ゼミの授業を岩川准教授(右から2人目)が見守る
学生主体で進められる岩川ゼミの授業を岩川准教授(右から2人目)が見守る

    
 「社会とのつながりがつくりづらくなっていることは、現代の大きな課題です。先輩、後輩、同世代と、縦にも横にも広がるつながりをつくりながら、社会貢献の人材を育む創価大学の役割は、とても大きいと思います」
    
 そう語るのは、「地域福祉」が専門の岩川幸治准教授。
    
 岩川ゼミでは、「生活問題と福祉」をテーマに、誰もが幸せに生きていける社会をどのようにつくるかを学ぶ。
    

岩川幸司 准教授
岩川幸司 准教授

    
 岩川ゼミの特徴は、決まった課題やテキストがないこと。毎年、ゼミを受講する学生が、関心あるテーマを決め、分野ごとにグループで研究を開始する。岩川准教授は、学生が決めた研究分野に関連する地域の団体や施設を紹介。実際に学生が福祉の現場に出向き、実体験を通して学びを深めていく。
    

一人と向き合う

 「現場に飛び込み、実践する中で、福祉に対する考え方が大きく変化しました」
    
 障がい者福祉を学んできた国武純子さん(4年)が語る。
    

国武純子さん
国武純子さん

    
 国武さんは、ゼミの活動の中で、知的・精神障がい者が働くカフェやアートショップで、ボランティア活動を経験。当初は、「何か手助けをしたい」という気持ちで臨んでいたが、実際には、利用者に助けられることも多かった。「手伝う相手」ではなく、「互いに支え合う関係」を築き、感謝の言葉を伝えた時の利用者のうれしそうな顔が忘れられないという。
    
 「例えば、突然走りだす利用者さんがいた時に、職員の方が『走ってはダメ』と言うのではなく、『今日は元気だね! うれしいことでもあった?』と声をかけていたんです。自分の価値観を押し付けるのではなく、相手がどんな気持ちかを想像してコミュニケーションを取る大切さを、障がい者の方々と接する中で、改めて学びました」
    
 卒業後は、社会福祉法人での勤務が内定している国武さん。
    
 「地域に温かな居場所をつくり、共生社会を広げます」と瞳を輝かせる。
    

活発なディスカッションが行われる岩川ゼミの授業風景
活発なディスカッションが行われる岩川ゼミの授業風景

    
 ゼミで地域・社会に貢献し、自身も大きく成長する――これが岩川ゼミ生に共通する実感だ。
    
 「僕自身も、岩川ゼミで救われた一人です」
    
 高齢者福祉を学んできた、瀬谷歓多さん(4年)は言う。
    

瀬谷歓多さん
瀬谷歓多さん

    
 学生生活の開始とともに、コロナ禍が直撃した瀬谷さん。オンライン授業の期間が終わってからも大学になじめず、孤独感を抱いていた。
    
 「ある時、岩川先生に『一緒に高齢者サロンに行かないか』と誘っていただいたんです。ゼミの先輩とサロンを訪れた時、入学して初めて、人とのつながりを持てた気がしました」
    
 訪問すると、孤独を感じていたのは高齢者も同じだった。
    
 “自分にもできることがあるかもしれない”――研究として取り組むだけではなく、不安を感じている一人一人と向き合うことを意識して、高齢者サロンでの学生交流会の企画・運営や、高齢者への「スマホ講座」の講師などを務めた。瀬谷さんは、4月から地域の社会福祉協議会に勤務する予定だ。
    
 「人との関わりの中で、人生が豊かになっていく――そんな福祉の醍醐味を実感する一人として、地域の皆さんに信頼される存在に成長していきます」
    

苦労が生きる仕事

 昨年、卒業した菅原あすかさん(49期)は、社会福祉士として、都内の社会福祉法人に勤務。デイサービスの介護職員として、利用者の介助や、レクリエーションの進行を行う。
    
 「大勢の前で話すことの多いこうした仕事に就くなんて、以前は想像もできませんでした」
    
 高校時代、“将来は人の役に立つ仕事に”と、看護師を目指し、進学校で理系を専攻。しかし、体調を崩して授業についていけなくなり、通信制の高校に転入することになった。失意の中で菅原さんを支えたのは、「一番、苦労した人が、最後は一番、幸福を勝ち取れる」との池田先生の言葉だった。
    
 “先生が創立した創価大学で学びたい”と、猛勉強を重ね、創大文学部に進学。社会福祉専修を履修した。しかし、極度の“あがり症”で、人前で話すことが大の苦手だった菅原さん。そんな彼女を変えたのが、岩川ゼミでの学びだった。
    

    
 現場に触れる実践型の授業。失敗からも学べる学習環境。ありのままの自分を受け入れ、支えてくれる、教員や仲間――。
    
 いつしか、人前で話すことが怖くなくなり、あるイベントでは、研究成果を発表。専門家から高い評価を得た。
    
 現在、職場では、フロアのサブリーダーを務める菅原さん。
    
 「福祉の世界は、自分が経験した苦労が、全て生きる分野だと実感しています。この道に進むきっかけをくれた岩川ゼミに、心から感謝しています」
    

高齢者サロンを訪問し工作を実施。体験を通して福祉の現場を学ぶ
高齢者サロンを訪問し工作を実施。体験を通して福祉の現場を学ぶ

    
 藤林沙織さん(47期)は、都内の在宅医療(訪問診療)を行う診療所に務める社会福祉士。
    
 「ゼミで多くの高齢者と接した経験が、患者さんとのコミュニケーションに生きています」
    
 医療業界を志したのは大学2年の頃。長年、がんと闘った父が他界した時だった。治療が施せなくなった父と家族を支えたのは、最期まで寄り添い、話を聞いてくれた看護師だった。
    
 「病気の治療は医師の仕事ですが、人が幸せな最期を迎えるためには、治療以外にもできることがあると実感したんです」
    
 そんな時、創立者・池田先生の言葉が目に飛び込んできた。
    
 「亡くなった人の生命も、使命も、願いも、自分が受け継いで、その分、強くなり、その分、大きくなって、その分、長生きして、社会のために行動していくのである」
    
 この言葉を胸に、社会福祉士となって、医療の道に進んだ藤林さん。現在、患者や家族、医師やスタッフがチームとなって病気に立ち向かうプロジェクトを立ち上げ、一人一人の幸福な人生のために力を尽くす。
    

 学生たちの成長を見守り続けてきた岩川准教授は語る。
    
 「研究は重要ですが、研究が先行しすぎると、そこに人を当てはめるようになってしまう。あくまでも、人を知り、地域の暮らしを知ることが根本です。人が幸せに暮らすための手段として、研究を使う。そんな人材を一人でも多く輩出するために、学生と共に、さらに成長していきたいと思います」

◆NEWS&TOPICS
創大・短大オープンキャンパス
3月20日(水・祝)開催!  

 創価大学、創価女子短期大学では、3月20日(水・祝)に、オープンキャンパスを開催する。詳細は、各ホームページを参照。問い合わせは「創大アドミッションズセンター」〈042(691)4617〉、「創価女子短期大学入試事務室」〈042(691)9480〉まで。
   
 創大HP
   
 短大HP

PASCAL入試チャレンジプログラム締め切り迫る!
高校生向け 3月5日(火)まで

 創大では、今秋に総合型選抜「PASCAL入試」を受験予定の高校生らに向けた育成型プログラム「PASCAL入試チャレンジプログラム」の受講生を募集している。対象は、2025年3月の高校等卒業予定者。原則オンラインで行われ、受講は無料。修了者は、同入試の出願資格である学習成績の状況(評定平均値)が、「3.2以上」から「3.0以上」に緩和(全学科対象)される。
 【募集期間】3月5日(火)まで。
 【募集人員】200人(先着順)。
 問い合わせは「創大アドミッションズセンター」〈042(691)4617〉まで。
   
 プログラムの詳細はこちらのホームページへ。

   
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