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〈世界の体験〉 インド 森林保護補佐官として活躍 2026年4月10日

  • 〈TOMORROW 明日へ向かって〉
インド創価学会 アニタ・セティさん

 インドの大地に朝の光が降り注ぐ。生い茂る木々を横目に、アニタ・セティは職場へと車を走らせる。

 ここは、ベンガル湾に面する同国東部のオディシャ州。全長800キロを超えるマハナディ川が流れ、多様な自然と野生動物を保護する二つの国立公園がある。水と緑が豊かなこの地で、アニタは森林保護補佐官として働いている。

 「森林と野生動物の保全、それが私の仕事です」

 かつては今の職に就くことなど、思ってもみなかった。きっかけは、信心との出合いだった――。

 幼い頃から医師を目指してきたアニタ。大学受験では見事、医学部に合格。しかし、経済的な事情で医学部への進学を断念せざるを得なかった。代わりに大学では地質学を学び、大学院へと進んだ。

 だが悶々としていた。医師の夢が消え、成績も振るわず、卒業後の未来が思い描けない。そんな中で、アニタが気になる友人がいた。頭脳明晰で、いつも生き生きとしている。彼女はインド創価学会のメンバーだった。

 アニタは興味を持った。「あなたが信仰している仏法は、私にも実践できるの?」

 友人は声を弾ませた。「もちろん! この題目を唱えると、誰もが幸せな人生を切り開いていくことができる。どんな悩みも解決できるよ」

 アニタは早速、唱題を試してみることにした。すると驚いた。

 「祈ると、心が明るくなり、自信が湧いてくるのを感じたんです」

 やがてアニタは、インド創価学会の一員となった。

 そんな中、生まれ故郷のオディシャ州が、森林地区管理官を募集していることを知る。試験を受けると、地質学で得た知識が大いに生きた。結果は、上位の好成績。思いがけず、森林地区管理官としてのキャリアがスタートした。

 「信心のおかげで手にした、使命の仕事だと確信しています」

女子部の仲間たちと。セティさん(左端)は女子部本部長を務める
女子部の仲間たちと。セティさん(左端)は女子部本部長を務める
信心の功徳

 一方で、多くの苦難にも直面した。2016年、父が動脈硬化により心臓発作を起こし、緊急手術を受けた。

 父が無事に回復するよう、アニタは必死に祈り、積極的に学会活動に駆けた。

 題目を唱え、友を励ませば励ますほど、勇気の炎が燃え上がった。そして、父の病状も快方に向かっていく。

 アニタは感謝を胸に、10人の同僚と仏法対話。信心のスクラムが広がり、所属していたブロックは地区へと成長を遂げた。

 21年には、最愛の婚約者が、難病の全身性エリテマトーデスを発症。免疫システムが自身の正常な細胞を攻撃してしまう自己免疫疾患である。ステロイドの治療が始まり、彼は仕事を辞めることにした。

 アニタは決意した。「今こそ、私が信心で立つ時だ」

 日々、仏法対話に精を出す。夢もなく生きている多くの若者の姿が、かつての自分と重なった。アニタは力を込めた。「あなたも目標を掲げて祈っていけば、必ず可能性が開けます」

 熱心な対話の末、20人以上への弘教が実る。アニタの地区は支部へと発展した。

 やがて婚約者と結婚。夫は難病に打ち勝ち、有名な事務所に弁護士、税理士として就職することができた。

 また時を同じくして、以前にアニタの折伏で学会に入会した、いとこは、10年以上に及ぶ無職の期間を乗り越え、政府関係の仕事を手にすることができた。

 さらに、長らく経済苦に悩んでいた兄は、アメリカで高収入の職務に出合うことができた。

 アニタは感慨を込める。「信心の功徳は、一家一族にまで広がっていくのだと、大きな感動を覚えました」

信心の同志でもある、夫のアナンタさん㊧と
信心の同志でもある、夫のアナンタさん㊧と
25万本の植樹

 森林地区管理官は、24時間、気の抜けない仕事だという。当初は、夜のシフトも多く、深夜に森林をパトロールした。森がある一帯は、さまざまな鉱物資源が豊富で、違法採掘が行われていた。むやみに木が伐採され、環境破壊が進んでいた。

 さらに、象の密猟なども発生し、対処すべき課題となっていた。

 アニタは、池田先生の著作である『新・人間革命』、『若き日の日記』などを常にバッグに入れ、仕事の合間に読み深めてきた。

 「先生の指導を読み、目の前の課題に挑戦していく。その中で、師弟の絆を育んできました」

 ある日、アニタは池田先生の平和提言を手に取った。その中で、二酸化炭素の削減など、環境問題に触れている箇所が目に入った。そして「自分の立場で何かできないか」と祈るようになる。

 そうした中、いつしか植樹活動に力を注ごうと決心。同僚たちと協力し、広大な敷地に木の苗を植えていく。

 車では行けない、へき地にも足を運んだ。朝から晩まで植樹を行い、成長を観察する。時には雨に打たれながら、苗木を見守った。アニタの胸には、ほほ笑む師の姿が浮かんでいた。

 結果、これまでに25万本の植樹を達成。さらに120万本の苗木を育て、地域のコミュニティーに配布することもできた。

 こうした努力を経て、アニタが担当する区域の森林では、違法な伐採や象の密猟がゼロになり、大きな評価を得た。そして23年、現職の森林保護補佐官へと昇格。今では、森林地区管理官の採用なども担当するようになった。

 アニタには心に刻む御書の一節がある。

 「必ず三障四魔と申す障りいできたれば、賢者はよろこび愚者は退く、これなり」(新1488・全1091)

 彼女は語る。「前進しているからこそ試練に直面する。信心があれば、どんな困難も成長の追い風に変えられる。この御文を胸に、これからも未来の世代のため、ふるさとの豊かな自然を守り抜いていく決意です」

 木々を見つめるアニタの瞳は、深い愛情と熱意にあふれている。

  
※取材協力/インド「Value creation」誌

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