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〈古川智映子の負けない人生〉第14回 次々襲う病気の宿業 2022年8月24日

 広岡浅子の本を出版した後、私は次の小説執筆の準備にかかった。有意義な生き方をした女性勤王家・松尾多勢子のことを書きたいと思い、取材を始めた。
 
 松尾多勢子も広岡浅子と同様、あまり知られていない女性である。
 
 幕末、信濃の下伊那から尊王派と佐幕派が争う京に上り、華々しい尊王活動を繰り広げている。子育てをなし終えた後、家族の承諾を得て52歳で上京し、国事に奔走した。
 
 多勢子の働きにより、天皇の命が救われたとさえ言われている。そのために孝明天皇に拝謁を賜っている。
 
 多勢子が残した日記「都の苞」のコピーを手に入れ、多勢子が京へ上った山中をタクシーで辿ってみたりした。今は懐かしい思い出になっている。
 
 さらに女性シリーズ3作目として、ふるさと津軽の弘前城を舞台にした小説を書いた。主人公は弘前城満天姫、津軽藩2代目・信枚に嫁した徳川家康の養女である。満天姫の背景には徳川家康や福島正則など歴史上の大人物がおり、また信枚の側室は石田三成の娘であった。
 
 家康の娘対三成の娘、陸奥の小藩で女の関ケ原合戦が繰り広げられる。満天姫は、津軽藩が幕府からの国替え沙汰を免れるほどの働きをしている。
 
 かなり時間がかかったが、弘前城満天姫の小説も完成した。どの小説も、まず資料を探すことから始めなければならなかった。
 
 しかもその資料がなかなか見つからない。資料が揃い、読み込んでからも、歴史的背景を調べたり、現地に赴いて実地踏査をしたりで大変に時間と手間がかかった。でも書くことはやめなかった。遅々としていたが、書く努力は続けようと思った。
 
 出版した本の数は少しずつ積み重なっていった。
 
 何十年、祈ったことであろう。結果は出ず、出るものは病気の宿業ばかり、股関節手術の後には大きな胆石が見つかって、今度は胆囊全摘の手術を受けねばならなかった。

 〈次回は29日付の予定〉

 ふるかわ・ちえこ 青森県生まれ。高校教諭を経て、執筆活動に入る。著書にNHK連続テレビ小説「あさが来た」の原案本『小説 土佐堀川』のほか、『きっと幸せの朝がくる 幸福とは負けないこと』など。日本文芸家協会会員。

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