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電子版連載〈WITH あなたと〉 #Z世代と孤独 入会4年 心の変化 2024年1月12日

 連載「WITH あなたと」では、Z世代(1996年から2010年ごろに生まれた世代)について特集しています。第6回は、2019年、創価学会に入会した池田華陽会のメンバーを紹介します。「ずっと寂しさを感じて生きてきました。でも今は、これからの人生が楽しみでしかたないんです」――そう語る、島田莉奈さん(東京都調布市、華陽リーダー)の歩みを追いました。(取材=深山美香子、中野香峯子)

 莉奈さんは、高校時代の同窓生から折伏を受け、入会した。
 「その友人から『自分の外に幸せを求めても、本物の幸せは手に入らないよ』と言われ、自分の心を見抜かれた気がしたんです」

 幼い頃から親の不仲と経済苦の中で育った。学校から帰って来たら、両親は仕事でほぼいない。年の離れた弟の面倒も見てきた。
 「両親ともに、弟のことでいっぱいいっぱいで、自分は愛情に飢えていたんだと思う」

 高校卒業後は、実家を離れ、スポーツ用品店に就職。店舗の従業員として働いた。運動部出身で体を動かすことが好きというのが就職した理由だが、“勉強に興味はないし、家族に経済的に依存して進学するくらいなら、一刻も早く家を出たい”という思いが強かった。

 “これから先は、家族に頼らず、全て自分で決めていこう”

 しかし、一人になってみて気が付いた。「どうしても寂しさが埋まらなくて、安心感や居場所を求める自分がいる」ということに――。

 寂しさを埋めたかった。そして、自分の全てを認めてくれ、安心できる人と、やっと出会えた。彼氏が隣に居てくれればいい。甘えることも、わがままも受け止めてくれた。しかし、数年後、突然、別れ話を切り出された。寂しさとショックを埋めるために、毎日のように友達と出かけた。でも、心の穴は埋まらない。そこで相談した相手が創価学会員である、さとみちゃんだった。

 さとみちゃんには、以前から自分の生い立ちや家族への思いを話してきた。どんな自分も受け入れ、理解してくれた人。
 “新しい彼氏ができたら、また幸せになれるかな”。そんな話を、さとみちゃんは、じっと聞いてくれ、ストレートな一言を放ってきた。

 「自分の外に幸せを求めても、本物の幸せは手に入らないよ」

 衝撃を受けた。“私の弱い部分を、全部、見抜かれた”
 恥ずかしさでも、怒りでもなく、すがすがしい気持ちになった。これ以上ないほどに、的確な言葉だったから。

“この状況から抜け出して、幸せになりたい。でも、どうしたらいいの?”

 さとみちゃんは言った。
 「相手や環境を変えようとするんじゃなくて、題目を唱えれば、自分の心を変えていくことができるよ」
 そして、「題目を、一遍でも唱えてみない? 寝る前に心の中でもいいから」と。心の中なら、誰にも聞かれないし、いいかなと思い、唱えてみた。

 翌日、「どうだった?」と聞かれ、「劇的な変化はなかったけれど、心がとても平和になったように感じたよ」と伝えた。
 次第に、声に出して唱題を重ねるようになり、心が安定することを実感した。2019年10月に入会。入会記念勤行会に行くと、「おめでとう!」と、たくさんの人が祝福に駆けつけてくれた。
 “人に祝ってもらうなんて、今までの人生でなかった”。不思議な感覚だったが、心からうれしく、幸せを感じた。

 入会してからは、座談会や池田華陽会の「華陽カレッジ」に参加してきた。

 「会合に参加するたびに『よく来たね』と皆さんが声をかけてくれて。家族ではないのに、家族みたいだなと思ったんです」

 自分も、そんなふうに人のことを思えたらいいなと思った。先輩や仲間たちは、池田先生の指針を心に刻んで頑張っていた。自身も、聖教新聞や学会の書籍を学ぶように。そして、池田先生の言葉と出合った。

 「希望も、喜びも、人から与えられるのを、待つものではない。自分でつくり出し、皆に広げていくものだ。そう決めた青春は強い。苦労している父母にも、自分から親孝行するのだ。悩んでいる友人にも、自分から励ましてあげるのだ」(『華陽の誓い』25ページ)

 “自分でつくり出す”。そう決意して、御本尊に向かう中で、これまで深く関わることを避けてきた家族のことを祈ろうと思えた。

 特に祈ったのは、離れて暮らす母のこと。働きづめで、年の離れた莉奈さんの弟を育てていた。信心に励んでいくにつれ、「母の目線」に立って、その気持ちを想像できるようになっていた。
 “苦労が絶えない母に、幸せになってもらいたい”と伝えた。
 母は「あなたが最近、前向きに変わってきていることを感じていたのよ」と昨年の10月、自分が入会した同じ日に晴れて入会。地域の創価家族に支えられながら、もう一度、一緒に人生を歩めることがうれしい。

 入会してから4年。今でも、悩みや、つらいことはある。でも入会前と変わったこと。それは、悩みの捉え方。仲間と励まし合いながら、教学を学び、昨年は青年部教学試験3級に合格した。

 「悩みにぶつかると、逆に燃えるんです。成長のチャンスが来たなって。悩みがないことほど、退屈なものもないし、試されてるなって」

 現在は、フィットネスジムの会社で正社員として働きつつ、昨年は、色彩検定1級に挑み、ウェブデザインのスクールに通うなど、新たな分野にもチャレンジした。

 「勉強に関心のなかった私が、こうして学び続けているなんて、昔の私からは想像もできないです。何よりも、自分の周りは、温かな人たちであふれている。この景色を与えてくれた親友、そして池田先生に感謝しています」

 自分自身もまだ知らない、自分の可能性を楽しみにして、信仰の実践に励んでいる。
 

 電子版連載「WITH あなたと」が書籍になりました。タイトルは『「生きづらさ」を抱えたあなたへ』(潮出版社)。メンタルヘルス、ひきこもり、発達障がい、性的マイノリティーをテーマに再構成し、当事者の体験、専門家へのインタビューを収録しています。

 同連載の第5回、NPO法人「あなたのいばしょ」理事長・大空幸星さんのインタビュー記事はこちら

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