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僕が田舎で花屋を始めた理由 連載〈Color My Days〉 2022年10月11日

 自分らしく生きる若者を紹介する電子版連載「Color My Days」。第3回は、「FLOWER SHOP MANiMANi」代表の大上宗人さん=総京都、男子部地区副リーダー=です。

■町唯一のお花屋さん

 京都駅から車で1時間半。自然豊かな美山町に今年、お店をオープンした“むねちゃん”に会いに行ってきた。FLOWER SHOP MANiMANiは町唯一のお花屋さん。

 「遠いところから、ありがとうございます」。穏やかな笑顔で迎えてくれた。祖母が以前住んでいた家を間借りしたという店内は、どこか懐かしい雰囲気。ヒマワリなどポピュラーな花から、あまり馴染みのないものまで、色鮮やかな花が並んでいた。

 店名のMANiMANiは万葉集に出てくる「まにまに(~のままに)」から取った。どんな環境であっても、それに合わせて強くしなやかに生きる花の生き方になぞらえて、この名前をつけた。

 花の魅力について、むねちゃんに聞いてみると、「花って、しなやかで強いんです」。おのおのにカーブした茎を見ていると、風雨にさらされても、開花を目指して愚直に、また、しなやかに伸びてきた様子がうかがえて、ほほ笑ましくなる。花の美しさは精いっぱいの努力を尽くす中で表現できるもの。

 「花屋さんも同じで、見た目以上に実はめっちゃハード。覚悟はしていたんだけど、想像以上に超大変で!」。朝早くから市場で仕入れ、花束づくりやアレンジメント、販売、配達と全部一人でやらなくてはいけない。それでも実家に戻って、花屋を開こうと思ったきっかけは何なのだろうか。

■生き方が変わった高校時代

 むねちゃんは、小さい頃から言葉遣いや、しぐさが周囲の男の子と違っていた。遊ぶのもいつも女の子とばかりだったので、クラスメイトからいじられることがあった。
 小学校になると「おまえ、おかまやんなー」と言われるように。けれど、むねちゃんはいつも笑顔で、「おかまやけど、なんやねん」と返したと。別に気にもならなかったという。

 その理由をむねちゃんに聞いてみた。
 「家族や地域の学会の皆さんは、このキャラクターを“むねちゃんはむねちゃんらしくていい”と受け入れてくれていたんです。だから、自己肯定感が高いのか、周囲のいじりも『はい、はい』って流せたんですよね。自由にのびのびと育ててもらえて、ほんま感謝やわーって感じです」

 “励ましや思いやり”という“心の栄養”が得られる環境では、人は苦難に遭っても、自分を信じ、強く生きていくことができる。そう、むねちゃんが確信するのは、高校時代の経験が大きい。実家を離れ、関西創価高校で寮生活をして出会った友は、どんな自分も受け止め、寄り添い、励ましてくれた。そうした姿に触れて、「自分も人のために役に立ちたい。生きていきたい」と強く思うようになった。

 幼少期から、むねちゃんは花が大好きだった。祖父が家の庭先で育てる花に興味を持つようになり、いつしか、「お花屋さん」が夢になった。「四季折々に咲く花で、たくさんの人に元気が送れるんじゃないか」。高校、大学の寮生活でもベランダなどで花を育てていた。創価大学卒業後は4年半、東京・南青山の花屋で働いた。次第に「両親に恩返ししたい」「地元に愛され、役に立つお店を作りたい」という思いを持つようになった。

■未完成でも、挑戦したほうがいい

 しかし、この決断には勇気がいった。コロナ禍になり、タイミングが計りづらくなった。独立するにも準備が完璧に整ってからの方が良いのか。それとも……考えている間も時間はどんどん進んでいく。そんな時、大事にしてきた池田先生の言葉を思い出した。

『青春対話2(普及版)』P14
『青春対話2(普及版)』P14

 (※上記の画像をダウンロードしたい場合はこちら
 
 
 「“やってみたい!”と思った時に動き出さないと後悔する。そう思って、オープンさせました」

 まだまだ、夢への一歩を踏み出したばかり。Instagramで発信したり、地元の人たちには新聞の折り込みチラシを入れたり、毎日がトライ&エラーの繰り返し。でも後悔はしていない。この地域は人口も少なく、高齢化が進んでいるため、より多くの人にお花を身近に感じてもらえるよう、お花の定期便もスタートさせ、オンラインレッスンも準備中だ。

 京都に戻ってからの姿を見た友達からは、“むねちゃんらしさ倍増で生き生きしてる!”と言われた。
「僕は男性・女性のどちらの良さも取り入れられるから“ラッキー”な存在なんです。自分にしかできない、自分らしい、めっちゃおしゃれな花屋を大都会じゃなくて、こんな田舎でもできる。なんか僕らしいでしょ!」

 これからは、お花の魅力を広げていくのと同じように、堂々と創価学会の魅力を友達に語っていきたい。社会の悩んでいる人の中にもっと飛び込んで伝えていきたい。

【編集後記】
 取材中も新聞の折り込みチラシを見て注文したという、地元のお客さんがお花を受け取りに来ていた。「お店まで遠くなかったですか?」と声をかけながら丁寧に接客する姿に花のような、しなやかさを感じつつ、信念の強さを感じました。「がんばれ、むねちゃん!」

 
■お店情報
FLOWER SHOP MANiMANi
【HP】https://manimani-flower.square.site
【Instagram】manimani_hana

【女性大工の記事はこちら】

【女子プロボクサーの記事はこちら】

●最後までお読みいただき、ありがとうございます。ご感想、取り上げてほしいテーマなど、ぜひお寄せください→ youth@seikyo-np.jp

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