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Z世代の学生記者がつくる職業図鑑「JOB INDEX」 2021年10月15日

  • FILE.2 花火師の世界

 電子版オリジナル連載「職業図鑑『JOB INDEX』」では、本社所属のスチューデントリポーター(学生記者)がインタビューを通し、さまざまな職業の世界を紹介していきます。第2回は「花火師」の八鍬正男さんです。
 

仕事内容

 花火師の仕事は、「花火の製造」「花火大会のための準備」「花火の打ち上げ」「大会後の片付け」など。このうち、花火の製造は危険物である火薬類を扱うため、専門知識や技術を身に付ける必要がある。同じ種類の花火でも、火薬の詰め方や打ち上げ方によってさまざまな違いが生まれる。職人たちの技術力や精神力が華やかな花火を支えているのだ。
 

 ――花火といえば、コロナ禍で見る機会が少なくなったように感じます。今、仕事はどのような状況ですか。
 
 八鍬 確かに花火大会が減り、大きな影響を受けているのは事実です。大会には、単に経済的な側面だけではなく、そこを目指して磨いた花火の技術を披露したり、そこでの反省点をもとに次なる技術向上に励んだりと、花火師にとって欠かせない側面もあったので、事態はより深刻といえます。
 
 しかし、手をこまねいているだけではなく、私たちの会社でも新しい挑戦を始めています。
 
 例えば、花火をより身近に感じてもらうための「プライベート花火」です。
 
 一人一人のニーズに合わせて花火を打ち上げるというもので、先日は、解散が発表された音楽グループのファンたちが、プライベート花火の打ち上げを依頼してきてくれました。
 
 目の前の花火を見たファンたちは、涙を流して感動していました。グループのメンバーもSNSを通してそのことを知って喜んでくれました。
 
 それ以外にも、私自身、有名なユーチューバーの企画にも出演させていただきました。
 
 ――ピンチをチャンスと捉え、変化に対応しているんですね。
 
 八鍬 新型コロナウイルスの感染拡大以前から、ニーズに合わせた「花火師」としての仕事の変化はありました。
 
 例えば、打ち上げ方法の一つに、電気点火方式というのがありますが、最近は、点火のための電気を流すタイミングを、事前にパソコンでプログラミングしています。
 
 有名アーティストのコンサートなどで、曲のサビに合わせて花火が打ち上がるパフォーマンスを見たことはありますかね?
 
 パソコン上でコンサート会場をつくり出し、実際の打ち上げのシミュレーションをしながら、打ち上げ角度や高さを自由に操ることもできるんです。
 
 そういった意味で、花火業界は長年継承されてきた伝統技術に最新技術を融合させ、変化してきた業界でもあります。
 

 ――八鍬さんが、花火師になろうと思ったきっかけを教えてください。
 
 八鍬 大学の学祭でたまたま見た花火ですね。ハッキリと覚えています。それまで将来やりたいこともなかったのですが、花火を見た瞬間、「これだ!」って直感したんです。
 
 ――「これだ!」とは、具体的にどう感じたのでしょうか。
 
 八鍬 こんなにも人を幸せな気持ちにする花火って、本当にすごいという感動とでもいうんでしょうか。花火師になりたいと思った瞬間でした。
 
 その後は、夏休みに知り合いの花火師のもとでアルバイトをするなど、“花火漬け”の生活が始まりました。就活真っ最中の同期からは、「お前、何しているんだ?」って思われていたと思います。
 
 ――その後、どうやって花火師になったのでしょうか。
 
 八鍬 花火師になるために、特別な学歴や資格が求められるわけではありません。しかし、職人の世界ですので、先輩や上司と共に作業しながら専門知識や技術を習得していく必要があります。
 
 私の場合、大学卒業後、いわゆる「花火大学院」として知られる研究室がある別の大学に進み、危険物取扱者などの資格を取得してから、花火会社に就職しました。
 
 最初の会社は、特殊効果花火を扱った花火製造や花火の点火機を取り扱っていました。外注した花火をプログラミングしてイベントで打ち上げるんですけど、だんだんと“自分で花火を作りたい”という気持ちが強くなり、現在の会社に転職しました。
 
 ――花火師になって良かったなと思ったのは、どんな瞬間ですか。
 
 八鍬 まずは、やっぱり自分が作った花火を通し、人に喜んでもらえることですよね。
 
 深く印象に残っているのは、自分が学生の頃に感動した大学祭の花火を、自分で打ち上げた瞬間ですね。学生時代の友人や先生も来てくれて、みんなに喜んでもらえた時はグッときました。
 
 今は、自分が花火師でいることで、「夢はかなうんだ」と思ってもらえる存在になれていることに、やりがいを感じています。
 

 ――花火の唯一無二の魅力は何ですか。
 
 八鍬 この世に一つしかない“究極の一発”を目指すところにあると思います。
 
 花火師は、常に、その完成形を求めて腕を磨いていると言ってもいいと思います。ベテランの人であってもです。私にとって、“究極の一発”は、まだまだ先の話ですかね。
 
 ――最後に、将来に悩む学生に一言お願いします。
 
 八鍬 花火師の世界にいるからかもしれませんが、人に教わる謙虚さを持つことが大事だなと思います。さまざまな人の話を聞き、まずは実践してみること。コロナ禍でリアルな経験をするのは難しくなっているかもしれないけれど、常にアンテナを張って、まずは挑戦してみるといいと思います。
 
 何をしたいのかハッキリしていない時って、案外「何もしていない」と悩んでしまうんですよね。とにかく、何か興味あることから取り組み始めればいいと思いますね。
 

取材後記

 取材を通し、強く感じたのは八鍬さんの花火愛。自分の「好き」を職業にする難しさと、それを乗り越えた先にある楽しさを教わった気がしました。また、八鍬さんが今の職業に就くきっかけが、学生時代にあったことを考えると、常にアンテナを張り、自分の中でピンと感じたら、すぐに飛び込むくらいの積極性を持っていたいと思いました。(ツクシ)

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