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〈SDGs×SEIKYO〉 未来につながる生き方――平和を発信するガーデンデザイナー 2023年12月7日

4:08

 佐藤麻貴子さん(53)=千葉県流山市、支部副女性部長=は、フリーランスのガーデンデザイナー。イギリス式の植栽を生かし、個人宅の庭から大規模な庭園の設計まで幅広く担っています。32歳で一念発起し海を渡った女性が、花と緑を通して実現したい「地球の未来」とは――。(今回はSDGsの16番目の目標「平和と公正をすべての人に」について考えます。取材=石塚哲也、野呂輝明)

この記事のテーマは「平和と公正をすべての人に」

 佐藤さんが手がける「イングリッシュガーデン」は、自然が本来持つ美と生命力に着目し、庭に生かそうとする試みから誕生した。庭をデザインする際はいつも、「優しい気持ちになってもらいたい」「自然に触れて笑顔になってほしい」との願いを込める。

 「“今だけ見栄えの良い”庭を目指してはいません。10年、20年、さらに先の庭の姿を考えます」

 ガーデニングの本場で、数多くの出会いによって育まれた“信念”が、彼女を突き動かしている。

「心地よい空間づくり」を心がけ、庭をデザインする佐藤さん
「心地よい空間づくり」を心がけ、庭をデザインする佐藤さん

 海を渡ったのは32歳。短大卒業後、都内の老舗ホテルに勤務して10年が過ぎた頃だった。かねてからガーデニングに興味があった佐藤さんは、イギリス国内にある大学の園芸学部に入学。一から園芸を学びつつ、個人で展覧会にも出展した。

 “実績のないアジア人”に対する周囲の反応は厳しかった。英語もままならない上に、人種も文化も異なる人と、どう接していいか分からない。そんな佐藤さんを鼓舞したのは、イギリスSGIの同志だった。

 いつも英語版の小説『新・人間革命』を携えていた婦人部副本部長は、「マキコがイギリスで信心していく使命は、本当に大きいのよ」と。そのエールに心打たれた。

 渡英して半年後には、地区婦人部長を担うことに。自らも毎日、英語版の小説『新・人間革命』を開いた。一人一人のメンバーの境遇を思い浮かべながら、英単語を調べ、各所に線を引き、付箋を貼り、励ましに歩くようになった。

 佐藤さんは信心に励む親の姿を見て育ち、日本の女子部(当時)の先輩にも恵まれたという。他方で「自ら師匠の存在を求めていたわけではなかった」。

 渡英し、ガーデンデザイナーとして出発してからは、何一つ思い描いたようにいかない。池田大作先生の著作の内容や指針は、メンバーへの励ましになると同時に、自らが踏ん張る支えともなった。

 そしてある時、イギリスSGIの一粒種として信仰を貫いてきた女性が、夫妻でイングランドから、故郷のアイルランドに戻ることになり、佐藤さんが新居の庭を造ることとなった。

 「マキコ。自分の可能性は自分で決めたらいけないの。池田先生は〈『師と共に』戦うから、小さな自分の壁を破れる〉って仰ってるのよ」

千葉県袖ケ浦市の「東京ドイツ村・ファイブセンスガーデン」は佐藤さんが手がけている
千葉県袖ケ浦市の「東京ドイツ村・ファイブセンスガーデン」は佐藤さんが手がけている

 背中を押し続けてくれた「私のイギリスでのお母さん」の庭。佐藤さんは、庭に集う人々の姿を思い浮かべた。「晴れた日には、庭の芝生の上で大人が寝転がって遊ぶような、お国柄」だ。

 “きっとこの庭で、ご夫妻は花と緑と共に生き、縁する人に仏法を語り、後継の青年を育てるに違いない”

 そのイメージが、映像として眼前に浮かんだ。歴史に名を残すことはない、個人の庭である。だが、その庭が、佐藤さんのデザイナーの一里塚となった。

 学会活動と園芸に全力を注いだ7年。英国王立園芸協会主催の「チェルシーフラワーショー」等での受賞に貢献するなど実績を上げ、活躍の場を広げた。その間に夫・伸毅さん=創価長(ブロック長)=と結婚。夫の転勤で日本に戻ってきた。

指導者の育成にも力を注ぐ佐藤さん(左)
指導者の育成にも力を注ぐ佐藤さん(左)

 日本でもフリーランスとして、私邸や民間のテーマパーク、公共施設の庭園を手がけてきた。現在は父の介護にも尽力しながら、仕事の質を追求する。

 「これまで、庭造りを通して花と緑が人の心を癒やす場面を目の当たりにしてきました。花と緑を愛でている時に争いは生まれない。平和が生まれていく。紛争地域に“花と緑のプラットホーム”をつくることが、私の人生の目標なんです」

 佐藤さんがまだ10代の頃、池田先生は、しばしば“未来は君たちに託す”との言葉を贈った。先生と直接の出会いを刻んだことはない。40年余りを経た今、その言葉を近くに感じずにはいられない。

 地球の未来につながる生き方。それは花と緑に触れ、尊重し、活力をもらいながら、自らの人生に挑むことだ。

【SDGs×SEIKYO特設HPはこちら】
※バックナンバーが無料で読めます※

●最後までお読みいただき、ありがとうございます。ぜひ、ご感想をお寄せください→ sdgs@seikyo-np.jp


※撮影協力=東京ドイツ村HP

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