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〈防災――身を守る行動〉 震災に備える――家具固定の方法 2023年11月18日

 「防災――身を守る行動」の第4回。震災から身を守るために一人一人ができることは何か。今回は室内の安全対策に欠かせない家具固定の方法について紹介します。一般社団法人「危機管理教育研究所」代表の国崎信江さん、一般社団法人「防災機器検査協会」代表理事の内藤昌彦さんに話を聞きました。
  

背が高く重いタンスや本棚などは必ず対策を

 近年の地震の被災者で、負傷原因の3~5割が家具類の転倒・落下によるものだと分かっています(東京消防庁調べ)。だからこそ室内の安全対策は、重要な防災の一つです。家具類の転倒・落下を防ぐ第一は、“凶器を減らす”。それは室内の家具や物を減らすことです。次に家具が転倒しても、避難経路となるドアや玄関をふさがないレイアウトを考えます。最後に家具をしっかりと固定します。強度のある壁に、適切な固定器具、中でもL字金具にビス留めが最も強度ある固定方法です。
 こうした考え方が一般的で、有用な対策であることは間違いありません。
 ところが、私たちの経験上、これらを実践されている家庭が少ないというのが実態です。
 皆さんの声を聞くと、生活の利便性が損なわれる、家計に器具を購入する余裕がない、対策が面倒、体力がないという理由も明らかになっています。
 そこで、私たちがおすすめするのが、経済的な負担も小さく、一人でも実践できる家具の固定です。
 これだけはどの家庭も必ず行ってほしいという対策でもあります。
 具体的には、優先順位を付け、危険度が高い家具から対策を講じることです。特に背が高く重い家具は、逃げるための時間を稼ぐために必ず固定してください。2016年の熊本地震では、家具類の転倒の半数を占めたのが、タンスと本棚でした。18年の北海道胆振東部地震では、タンスや書棚の本の下敷きになって命を落とされた方がいらっしゃいました。
  

●今すぐできるイチオシ 段ボールの活用●

 誰もが簡単に実践できる固定方法が段ボールの活用です。背が高くて重いタンスや本棚におすすめです。
 家具の天板と天井の隙間をふさぐように段ボールを設置するだけです。ポイントは隙間がないように、段ボールを重ねておき、折り畳んだ段ボールを差し込み調整します。段ボールの形が崩れないよう、段ボールの中には、軽い衣類などを詰めておくといいでしょう。今の時季であれば、夏服を入れておくと、収納にもなり、一石二鳥です。揺れによる家具の落下を防ぐのに、段ボールがどれほどの効果があるのか。実際の実験動画もご覧ください。
  
 段ボール活用の実験動画
 ↓↓↓
 https://youtu.be/NPZGoDnSU4k
  
  

●正しいキャスターのロック●

 ラック、テレビ台やベッドなど、キャスター付きの家具を使用している家庭も少なくないはず。
 揺れに強いキャスターのロック方法は、4輪全てをロックするのではなく、対角の2輪をロックすることです。
  
 正しいキャスターのロックの実験動画
 ↓↓↓
 https://youtu.be/WSg3E1_XzLc
  

●意外に使えるS字フック●

 家具を固定していても収納物が飛び出すと、けがをしたり、避難する際の障害になったりします。特に両開き(観音開き)の家具には対策が必要で、安価な日用品で最も効果があるのがS字フック。ただ、S字フックを連結すると、少しの揺れでも外れる可能性が高いので、連結した場合の効果はあまりないとお考えください。
  
 S字フック活用の実験動画
 ↓↓↓
 https://youtu.be/dp5_xQI3uw4
  
  

 次に段ボールには見た目の抵抗があるという方や、お金や手間をかけても、しっかりと室内の安全対策に取り組みたい方のために、器具やグッズを使った固定方法を紹介します。
  

●L字金具●

 L字金具を使った固定は最も強度が高く、危険度が高いタンスや本棚におすすめです。ただ、電動ドライバーなどの工具が必要のほか、しっかり固定するには一定の技術が必要です。
 まずは、間柱など下地にしっかりとビスを打つこと。下地がない石こうボードのみの場所にビスを打つと強度が弱くなります。マンションなど軽量鉄骨の建物は、壁の下地が空洞になっているため、ビスが貫通し、強度が弱くなってしまいます。木造ではない建物に住んでいる方は、逃げるための時間を稼ぐ方法として、粘着系の器具がおすすめです。
  

●粘着系●

 賃貸住宅などで、自宅の壁に穴を開けられない方や開けたくない方、仏壇をはじめ、傷を付けたくない家具などには、粘着系の固定器具が有用です。
 中でも、震度7相当の揺れにも耐えられるといわれる「スーパータックフィット」シリーズがおすすめです。テレビ台とテレビの接着面や、2段式家具の上段と下段の接着面などには、ジェルマットなどを使用しましょう。
  

●突っ張り棒●

 壁や家具に傷を付けずに比較的、簡単に設置できるため、一般に普及しています。
 突っ張り棒は、壁際に寄せて、家具の両端に設置(左右とも端から5センチ程度)、突っ張る長さは30センチ以内にしてください。また半年に1度は締め直しましょう。
 天井や家具の天板に強度がない場合、それぞれ補強板を設置してください(揺れによって、突っ張り棒が天井や家具の天板を突き破る可能性があります)。 
  

●滑り止めシート●

 キッチンにある炊飯器や電子レンジ、オーブントースターなどの小型家電は、下敷きになるような被害の要因にはなりません。
 しかし、通電火災が起きたり、けがをしたりするリスクがあるため、落下の対策が大切です。
 小型で軽量のため、脚部の粘着固定に効果があります。ただし、ゴム脚は粘着材料との相性が悪いため、100円ショップ等で購入できる「滑り止めシート」を推奨します。
  

●ガラス飛散防止フィルム●

 窓などのガラスが飛び散るのを防ぐには、飛散防止フィルムが有用です。本棚や食器棚のガラス扉にも有効です。フィルムはガラス扉の内側に貼りましょう。近年は、遮光性や紫外線カットなど高機能素材のものもあり、一石二鳥のアイテムです。
  

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