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大河 336~339ページ 【小説「新・人間革命」】第14巻 2024年7月29日

 「宇宙に行きたい」と言った少女は、興味深そうに、山本伸一の話を聞いていた。「つまり、自分自身が一つの宇宙であり、自分の生命のなかに幸福の大宮殿もあるんだよ。そのなかに入っていくための信心なんだ」
 また、彼は、花火を見ながら、周りの子どもたちに言った。
 「花火はきれいだね。でも、華やかだけど、一瞬で終わってしまう。
 マスコミや芸能界で、もてはやされている人を見ると、“いいな”と思うかもしれないが、それは花火みたいに、一瞬にすぎないものだよ。大事なことは、何があっても崩れない、自分自身をつくりあげていくことだ。それが信心をすることの意味でもある」
 小・中学生のなかには「探検」だと言って、庭の向こうまで行き、姿が見えなくなってしまった子どももいた。担当の幹部が、慌てて捜しに行く一幕もあった。
 さらに、蛙を捕まえてきた男の子もいた。
 大人たちは顔をしかめたが、伸一は微笑みながら言った。
 「君は勇気があるね。ほかの人も、都会で暮らしているんだから、こういう時に、うんと自然に触れておくんだよ。そのために、ここに呼んだんだから、いろいろな体験をしておきなさい」

 花火を終えてからも、伸一は、食堂などでくつろぐメンバーを励ました。学校生活の悩みや、進路についての相談にものった。彼は、一人ひとりと言葉を交わし、皆のことを生命に刻印しておきたかった。
 夜更けて、伸一は、研修所のロビーで、メンバーを引率してきた担当幹部と懇談した。
 「みんな、いい子たちだね。学会の未来を託す大事な後継ぎだ。全力で育てなければ……。
 ところで、今回の参加者を、『未来会』と命名したいと思う。『未来』は、英語だとなんと言ったかな」
 「『フューチャー』になります」
 幹部の一人が答えた。
 「そうか。正式な名称は『未来会』、別名『フューチャー・グループ』としよう。これで二十一世紀の、勝利の流れは開かれた」

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