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新しい時代を生きる新社会人へのエール 2021年4月6日

  • 電子版連載【駒崎弘樹の「半径5メートルから社会を変える」】〈1〉

  
 新型コロナウイルス感染症の影響が続く中で、新年度を迎えました。環境が大きく変わる中で、「新たな日常」を価値的に生きるために必要なことは何か――。
  
 新連載「駒崎弘樹の『半径5メートルから社会を変える』」では、認定NPO法人フローレンス代表理事の駒崎弘樹さんに、さまざまな社会課題の現状を聞いていきます。
 読者の皆さまと一緒に、身近なところから社会を変えていく方法を考えていきたいと思っています。
  
 初回のテーマは「新しい時代を生きる新社会人へのエール」。コロナ禍の中で、新たな環境に踏み出す皆さんへのアドバイスを聞きました。
  
 ※取り上げてほしいテーマを募集します。記事の最後に記載したメールアドレス宛てにお送りください。
  

■“すごい時代の新社会人”ですよ!

  
 ――昨年に引き続き、今年も新社会人の皆さんは、コロナ禍のもとで新たな出発を迎えることになりました。駒崎さんは今年の新社会人について、どのように見ていますか?
  
 駒崎 新型コロナウイルスによる激動の社会に飛び込んでいくわけですから、まず率直に“すごい時代の新社会人だな”と思います。
  
 特に、今はコロナによって社会の中でリモートワークが常態化しました。今年の新社会人の皆さんは、そのように企業文化が変化している中で、新たな働き方を通して仕事を覚えていくことになります。その意味では、今までの新社会人とは違う大変さがあると思います。
  

■「オンボーディング」って何!?

  
 ――具体的には、どのようなところが大変になってくるのでしょうか。
  
 駒崎 とりわけ難しいのは、「オンボーディング(on-boarding)」のところだと思います。
 オンボーディングとは、新卒や中途の新入社員が企業文化や組織にいち早く、なじんでもらうために、さまざまな知識や技術などを提供しながらサポートを行うプロセスのことをいいます。今までであれば、リアルに時間を共に過ごす中で、それが行われてきたわけですが、今はそれをリモートを通じて行わなければいけません。それはなかなか難しいことです。
  

  
 私どもフローレンスでもリモートワークによって、現在はリアル出勤を週1~2回に制限しています。
 リモートワークでも業務は問題なく回るのですが、雑談であったり、ちょっとした相談であったり、ある種の人間関係をつくるプロセスについては、リアルと比べてうまく回りにくく、心的負荷が高まってしまう部分があると感じています。
  

■新しい環境になじむためには?

  
 ――駒崎さんが代表理事を務める認定NPO法人フローレンスでは、新入社員への対応をどのように取り組んできたのでしょうか。
  
 駒崎 やはりオンボーディング施策には気を使ってきました。たとえば、新入社員と顔を合わせる機会をつくるために、なるべく他の社員の出勤日を新入社員の出勤に合わせたりしましたね。
 あとは「1on1(ワンオンワン)」といって、一対一で新入社員と話をする場(オンラインも含む)も設けています。
  
 ――新入社員が話しやすいように、雑談の雰囲気づくりなども心掛けているのでしょうか。
  
 駒崎 その通りです。たとえばフローレンスでは、ミーティングの際には、初めの5分間を雑談の時間にしています。そうやって、アイスブレイク(緊張をほぐす手法)の時間をあえて設けることで、新入社員の緊張がほぐれて話をしやすい雰囲気が生まれます。
 そういった雑談の場は、新入社員にとってだけでなく、他の社員にとっても心理的安全性の低下を防ぎ、ギスギスした雰囲気になることも防ぐことができます。だから、そういった形で雑談の場を意識的につくるようにしていますね。
  

■企業がコミュニケーションを「デザインする」ワケ

  
 ――そういった環境づくりはこれからの企業の採用競争力にも影響していくように感じます。
  
 駒崎 これからは「コミュニケーションを意識的にデザイン」していくことが、企業の採用競争力や定着競争力に関わっていくと思います。
 それはリモートワークなどのフレキシブル(柔軟)な働き方とともに、両面で取り組んでいくべき施策です。
  
 そういった取り組みが進んでいる企業として、たとえば、GoogleやYahoo!などがあります。こうした企業を見れば分かるように、まさに「コミュニケーションの質」にしっかりと投資できる会社が競争力を高めています。
  

■“新たな五月病”に備えるには?

  
 ――「コミュニケーションの質」と言われましたが、それがうまくできずに問題が生じるケースもあるようです。たとえば、リモートワーク中に上司から連絡が入り、その内容が成果を求められるものばかりであったことで精神的に負担を感じるようになった人もいたようです。
  
 駒崎 仕事とは切り離れた自宅という最も気が休まる場所に、業務に関することが入り込んでくるわけですから、切り替えができなくなって混乱が生じるということは実際にあると思います。だからこそ、よりメンタルの部分のセルフケアが非常に重要になってくるのです。
  

  
 ――ちなみに駒崎さんご自身は、そういったオンとオフの切り替えをどのようにしていますか?
  
 駒崎 僕は基本的に仲間と一緒に仕事をしたいと思っているので、週5日のフルリモートは正直つらいんです。感染防止の観点から、出社は制限しながらにはなりますが、一緒に仕事をする日も週に1、2回は設けています。
 最近は、インバウンド需要が激減したことによるホテルの空室を活用したデイユース利用を使って仕事をすることもあります。
 そのように自分でうまくセルフケアをしながらでないと、週5日出社が当たり前だった頃の五月病とは違う要因による、“新たな五月病”が生じることも心配です。ぜひ新入社員の方たちには、自身のセルフケアにも気を配りながら、社会人生活をスタートしていってほしいと思います。
  

■つらい時は、SOSを出していい

  
 ――メンタルケアの面で、新社会人にアドバイスすることがあれば、お聞かせください。
  
 駒崎 当たり前のことですが、自分の命より大切な会社などありません。ですから決して無理をせず、健康第一で社会人生活を送っていってほしいと思います。
 そして、もしつらいと感じることがあれば、SOSを出してください。「そんなことを言ったら“弱い”と評価されてしまうんじゃないか」と感じるかもしれませんが、そう思って無理をし続けることで心が壊れてしまうケースもあります。
 本当は、管理職側もちゃんとSOSを出してほしいと思っているはずですので、仕事を問題なく継続していくためにも、そのベースとなるセルフケアが重要なのです。
  

  
 ――そうしたことが求められる大変な時代である一方で、これからは何か新しい価値観が生まれるチャンスの時代のようにも感じます。
  
 駒崎 まさにそうだと思います。これからは今までにない新しい働き方が生まれるチャンスの時です。これまでは通勤する人にとって当たり前だった満員電車も、もはやそれを経験しない新入社員になっていくかもしれません。
 そのように既存のネガティブな価値観や事象を経験することなく、新たな価値観を生み出し、それとともに生きていくのが、これからの社会を生きる新入社員の人たちです。
 “新しい当たり前”はすでに始まっています。“新しい時代”は君たちとともにあるのです。その“新しい当たり前”“新しい時代”を享受しながら時代の先端を走れる。そのことを、ぜひ誇りに思いながら前進していってほしいと、心からエールを送りたいと思います。
  
  
 ●最後までお読みいただき、ありがとうございます。ご感想、取り上げてほしいテーマなど、ぜひお寄せください。
 youth@seikyo-np.jp
  

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かつて活躍した郵便自動車ミゼットのミニカー。日本の郵便制度は明治初期の1871年1月に導入されました(オフィスジュニア/共同通信イメージズ)

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