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〈Seikyo Gift〉 フルタイム勤務と「ワンオペ育児」〈スマイル自分らしく 信仰体験〉 2023年6月4日

  • 私の願い…働く同世代の女性と希望を分かち合いたい
  • “あるべき姿”を変えていく
朝、長女・理子さん㊧、次女・知華さん㊨と出発する末原さん
朝、長女・理子さん㊧、次女・知華さん㊨と出発する末原さん

 米国コロンビア大学を卒業後、国内の大学院を修了し、大手建設コンサルタント会社に就職――そんな華々しいキャリアをもつ、東京都文京区の末原美智子さん(45)=副白ゆり長=には、ある悩みがあった。
  
 「ワンオペ育児(ほぼ全ての家事や育児を一人で担う)の大変さ」
  
 夫・大幹さん(43)=地区幹事(先駆長〈ブロック長〉兼任)=は福岡の大学で教壇に立ち、単身赴任中。
 美智子さんは両親や地域の女性部の支えを得ながら、長女・理子さん(9)=小学4年=と次女・知華さん(7)=小学2年=を懸命に育ててきた。(4月20日付)

嵐のような日々 ワンオペ育児

 夫は福岡で単身赴任。私はフルタイムの仕事をしながら、2人の娘の育児と家事をしている。
  
 ワンオペがスタートした当時、理子は3歳半、知華は1歳半。
 自分で選んだことだけど、仕事をしながらのワンオペは想像以上に大変だった。
  
 毎朝5時半からの勤行・唱題で生命力をチャージ。
 洗濯物をたたみ、朝ご飯を食べさせ、子どもたちを着替えさせたら、やっと家の玄関にたどり着く。
  
 

 理子とは手をつないで、知華は抱っこして、保育園の着替えやらシーツやらを詰め込んだ大きなバッグを持ったら、いざ出発。
  
 娘を預けたら、始業に間に合うように出勤し、終業の鐘と同時に帰り支度をする。
 「末原さん、もう帰っちゃうんですか」と泣きそうな部下を尻目に保育園へ。
  
 夕飯、お風呂、寝かしつけ、私も吸い込まれるように就寝……と、嵐のような日々が、ほぼ毎日繰り返されていく。

会社の課長として 娘の母親として

 忙しい日々の中でも、“いい親になりたい”と、モンテッソーリの教育講座を受けたり、アドラー心理学を学んだりと、どこか心の余裕はあったように思う。
  
 でも、2018年(平成30年)に、私が会社で課長になってからは、職場環境も私の心の中も激変してしまった。
  
 翌年、会社として初めての顧客で従事者が100人を超す大型案件のマネジメント責任者に、私が任命された。
  
 自信が全くなく、実際の仕事でも、自分の無力さを思い知らされ、終わりの見えないトンネルを走っているようだった。
  
 自分を振り返ってよく考えたり、落ち込んで泣いたりする時間さえなくて、心はずっと張り詰めたまま。
  

 そんな私を心配し、アドバイスをしてくださる方もいたけれど、“もうこれ以上、頑張れない”と思った。
  
 「とにかく体に気を付けてね」という励ましの言葉さえ、“私は体調を崩すことさえ許されていないのか”と捉えてしまうほどだった。
  
 一日一日やるべきことをこなすだけで精いっぱいで、娘たちの目を見て話す余裕すらなかったと思う。
  
 どうしても会社の会議に遅れられなくて、時間通りに保育園に連れて行かないといけないのに、そんな時に限って、娘たちは、モタモタ準備している。
 「もう時間だって言ってるじゃん! 毎日同じことをしてるんだから、ちゃんとやってよ!」
  
 特にお姉ちゃんの理子には厳しく当たってしまった。
 当時まだ5歳だったのに、○○はできて当たり前、○○もしてほしい、と過剰な要求をしていたと思う。
  
 そんな状態が2カ月続いた頃、保育士さんから声をかけられた。
 「理子ちゃんは今、集団保育ができない状態です」。丸一日、園長先生と過ごす日もあった。

マルチタスク型 シングルタスク型

 時々、保育園のお迎えを手伝ってくれていたお義母さんですら、理子との接し方に悩むようになった。
  
 ある日、お義母さんが「これ読んでみて」と、私に聖教新聞を見せてくれた。
 教育評論家の石田勝紀さんの記事。そこに私にピッタリのアドバイスがあった。
  
 ママが「マルチタスク型(一度にさまざまなことをこなそうとする)」で、子どもが「シングルタスク型(興味・関心を持った一つのことに意識が集中する)」の場合、効率性を重視するママと、好き嫌いを重視する子どもの価値観が合わない。だからイライラが募ってしまう。
  
 「問題が起きた時に、聞き分けがない子と思うのではなく、自分とはタイプが違うのだと認識することが大事」。その言葉にハッとした。
  

女性部の友と
女性部の友と

 私と知華はマルチタスク型で、理子はシングルタスク型。
 タイプが合わなかったから、理子にきつく当たってしまっていたのかもしれない。
  
 石田さんの本を読んでみると、子どもの自己肯定感を壊す「3つの呪いの言葉」として、「早くしなさい」「ちゃんとしなさい」「勉強しなさい」が挙げられていた。
 “まずい。私、全部言っちゃってる……”
  
 その時初めて、私の言葉が、どれだけ娘たちの心を傷つけてしまっていたかに気付いた。
 子育てより仕事のことを考える時間が長くなり、「絶対に遅刻できない」と、職場での“あるべき自分”を追い求めた結果、娘を追い詰めてしまった。
  
 保育園とお義母さんが発してくれたシグナルのおかげで、久しぶりに「母親としての自分自身」と向き合うことができた。
  
 本当に大事なものを守るために、今、優先すべきことは何か。そこに合わせて“あるべき自分”も変えていこうと思った。

パパと過ごせる貴重な時間
パパと過ごせる貴重な時間
職場でも生きる 子育ての視点と経験

 それからは、“多少出社が遅れてもいい”と割り切って、娘たちのペースを尊重するようにした。
  
 「3つの呪いの言葉」もなるべく言わないように心がけて、シングルタスク型の理子に合わせて、やることを順序立てて伝えるようにした。
  
 求められたらいつでもどこでも、ギュッとハグ。理子と知華のことを何よりも大切に思っていることを、言葉で伝えるようにもした。
  
 「心こそ大切なれ」(新1623・全1192)との御聖訓の通り、私の心が変わり、娘たちへの祈りが深まると、すぐに変化が。
 保育園にいた頃はおとなしい性格と思っていた娘たちがどんどん明るく活発に。元気に歌い、ケラケラ笑う二人を見ていて、“これが、この子たちの本来の姿だったんだ”と気付けた。
  
 

 子育てで学んだことは職場でも生きている。その一つが、部下とのコミュニケーション。
  
 “この子たちにも親御さんがいるんだ”と思うと多様性を受け止め、生かしてあげたいと思える。
 ミスをしても“求めすぎちゃったな”とか、“途中で声をかけてあげれば良かったな”と、常に自分を見つめるようにもなった。
  
 悩みにぶつかるたび、池田先生の『新・人間革命』を開き、リーダー像を学ぶ中で、任された案件も軌道に乗り、今は東南アジアの鉄道事業プロジェクトを推進している。
  
 私と同じように、心が限界まで追い詰められながらも、一生懸命働く同世代の女性たちがたくさんいると思う。
 そんな皆さんと希望を分かち合い、人生を強く、豊かに勝ち開いていきたい――そう決意している。

この間、娘にキャラ弁を作ったら、「ママ、本当に作ってくれたの!」ってすごく喜んでくれた。毎朝、職場の会議では、前日にどんな難しい問題が起こっても「グッドモーニング エブリワン!」と明るい声であいさつするようにしている。家庭でも職場でも心を通わせながら、祈りと真心を込めて、笑顔の輪を広げていきたい
この間、娘にキャラ弁を作ったら、「ママ、本当に作ってくれたの!」ってすごく喜んでくれた。毎朝、職場の会議では、前日にどんな難しい問題が起こっても「グッドモーニング エブリワン!」と明るい声であいさつするようにしている。家庭でも職場でも心を通わせながら、祈りと真心を込めて、笑顔の輪を広げていきたい
長女・理子さんが撮影しました
長女・理子さんが撮影しました
次女・知華さんが撮影しました
次女・知華さんが撮影しました

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