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#学校へ行けない 無理しなくても、大丈夫。夢のマンガ家デビュー 2020年9月19日

06:26

 
 
 
 不登校の時、髪をバッサリ切って、金髪に染めた。外で誰かに会っても、気付かれたくなかったから。
 あんなに苦しかったけど、今では、不登校だった時間は「プラスでしかない」と思うようになった。あの頃に描き続けたマンガ、あの時に出あった信心。それが、今の自分の全てになってるから――。
 
 

やまぐち・あすか 岐阜県美濃加茂市在住。アルバイトの傍らマンガを執筆し、2018年、大手少女マンガ誌でデビュー。女子地区リーダー
やまぐち・あすか 岐阜県美濃加茂市在住。アルバイトの傍らマンガを執筆し、2018年、大手少女マンガ誌でデビュー。女子地区リーダー

 
 中学3年のクラス替え。仲の良かった友達と離れてしまい、世界が一変した。
 友人だと思っていた子には、それぞれの仲良しグループがあり、輪に入れない。1日が信じられないほど長く感じた。校内をウロウロし、何度も手を洗って、忙しいフリ。でも、1週間が限界だった。ある夜、立てないほどの頭痛に襲われ、そのまま学校を休んだ。
 
 行かなきゃ。けど行けない。母に「無理して行かなくても大丈夫だよ」と言われ、心が楽になった。
 母は女手一つで3人の子を育ててくれていた。姉と弟が学校に行くと、ずっと1人。絵が好きな私に、母は画材を買ってくれた。何もやることがないから、ひたすらマンガを描き続けた。SNSのサイトにイラストを投稿すると、ネットの中だけは友達ができた。
  

 
 でも、今日も昨日と全く同じ。明日も、きっと今日と何も変わらない。生きる意味なんてない。夜中に何度も家出した。母は必ず追い掛けて来たけど、“今夜こそ死のう”と決めた夜だけは違った。背中越しに「帰ってくるって分かってるよ」と聞こえた。
 
 線路を見つめ、飛び込もうと電車を待った。けど、何分たっても来ない。田舎の夜の静けさに心が折れ、泣きながら帰ると、母が御本尊の前で祈っていた。
 
 その日から、自分も題目をあげるようになった。思い切り声が出せて、スッキリする。カラオケに行ったような爽快感。何だか得した気分だった。
 
 

 
 夏休みに同じ卓球部の子から練習に誘われたけど、やっぱり無理で「じゃあ、一緒にサボろう」って。冬休みにもその子と長電話。だんだん不安が小さくなって、3学期の途中から別室登校するようになった。
 題目って不思議。前の夜に、思い浮かべて祈っていた子が「一緒に給食、食べよう」って来てくれた。
 
 通信制高校に進むと、不登校だった子も多くて、打ち解けた。「プリントに必ず絵を描く」が自分ルール。先生もコメントをくれた。アニメつながりで友達もできた。マンガが夢になっていった。卒業後は、コンビニでバイトしながら、出版社の賞に応募した。
 母はいつもマンガを「うまい」と言ってくれた。「何でも褒めるから参考にならん」って言ったけど、本当はすごくうれしかった。
  

  
 そんな母に3年前、がんが見つかった。3カ月後、母は旅立った。突然の別れ。姉も弟も独立していたから、バイトから帰ると、真っ暗な部屋で独りぼっち。心から安心して帰ってこられる場所がなくなった。
 
 その頃、初めて女子部の会合に参加した。ひたすら話を聞いてくれて、最後に「頑張ってるね」って。全部、自分で抱え込んでいたんだ。「そっか、私は頑張れてるんだ」って、気持ちがふっと軽くなった。
 
 白蓮グループにも入った。最初は、先輩たちが「人のため」って言う意味が分からなかったけど、誰かのために祈って行動すると、自分も相手も一緒に幸せになっていけるんだ。学会活動は、家でぼーっとしてるより、ずっと価値的だった。
 

  
 女子部の先輩にも、母親を亡くしている人がいた。会合帰りの車中で、一緒に思い切り涙を流せた。“心の居場所”って、こういうことなのかもしれない。
 去年、大手少女マンガ誌で準入選になった。夢だったデビュー。それまで何度も壁にぶつかった。大変だったけど、好きなものからは逃げないって決めたから、ストーリーに悩むたびに何時間も祈った。
 
 少女マンガは“五感で読む”もの。派手な戦闘シーンがない分、心情を丁寧に描かないと。だから、あの時の涙も、心の痛みも全部、無駄じゃなかった。私にしか描けない物語がある。
 
 いつか自分のマンガが、誰かの生きる夢につながったらいいな。ねぇ、お母さん。私、頑張ってるでしょ。母の声が聞こえる気がする。「大丈夫、無理しなくてもいいんだよ」って。
 
 

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