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電子版連載〈WITH あなたと〉#Z世代 海外支援に携わる学生団体の代表 2023年11月11日

 連載「WITH あなたと」では、Z世代(1996年から2010年ごろに生まれた世代)について特集しています。第4回は、学生団体「Switch My Angle(スイッチ・マイ・アングル)」の代表として海外支援に携わる学生部員を紹介します。「いろんな人と関わることは刺激的で楽しい。その感情を大切に動いたら、生きるのが楽しくなった」。そう語る彼女の歩みを追いました。(取材=深山美香子、松岡孝伸)

 谷川望美さん(兵庫県尼崎市、華陽リーダー)が代表を務める学生団体は、フィリピン・セブの地で貧困に苦しむ人々の雇用創出のため、生活の自立を支援している。日本の学生がデザインした雑貨の作り方を現地の人々に伝えて製作を依頼。日本で販売し、その利益を還元する。現地のNPO法人と連携しながら取り組んでいる。

 「現地の人たちはもちろんのこと、とにかく、いろいろな人と関わりを持てることが楽しくて」

 中学・高校と関西創価学園で学んだ。高校生の時には、核兵器廃絶や環境問題、人権をテーマに、学校をあげての学習に取り組んだ。さらに、3年生の時に行われた、「模擬国連総会」を通して、世界へ目を向けるようになった。

 「他人の不幸の上に自分の幸福を築くことはしない」

 創立者である池田先生の指針を皆で学び、世界平和への決意を深めた。一方で、学校生活での身近な人たちとの関わりでは、人知れず悩んだ。

 “みんなで一緒にトイレに行くとか、食堂に行くとか、私はそういうのが無理だなあ。合わせる合わせないって、好きにすればいいやん”

 そう思いながら、真面目すぎて、相手の言葉や行動を、注意ばかりしてしまう自分がいる。

 「人の意見を受け止めたり、合わせたりするのも、なかなかできなくて……」

 心のどこかでモヤモヤ。学校のカウンセリング室で話を聞いてもらったこともある。アドバイスがほしいわけではなくて、“人に合わせられない。でも変わりたい”――そんな思いをただ聞いてほしかった。

 学校では、友達の輪にも居づらくて、行動するグループも転々としたり、一人で行動していたり。いじめられていたわけではないけど、学校で気を張っていた分、家に帰ってきたら、学校のことをいったん忘れたくて、革靴を自分で、見えないところに隠したこともあった。「きっと無理をしていたんだと思う」

 “大学生になったら、自分の目で、広い世界を見てみたいな”

 そう考えて、国際ボランティアの留学制度がある関西学院大学に進んだ。
 けれど、期待に胸を膨らませて入学した年は、世界が新型コロナウイルスのパンデミックに襲われていた2020年。世界どころか大学のキャンパスに行くこともできなかった。オンラインで学生団体の説明会に参加して魅力を感じ、所属することに。さらに、同じ頃、オンラインで参加したのが創価学会の女子部(当時)の会合だった。
 学会の先輩たちは、谷川さんはじめ、参加した一人一人の生活の状況を聞き、励ましを送っていた。未来部の時から会合に行ってはいたけれど、あらためて、学会の人のこまやかさを感じて、すごいなと思った。

華陽姉妹と共に(左から2番目が谷川さん)
華陽姉妹と共に(左から2番目が谷川さん)

 2022年、大学3年次に海外へ渡航できるようになった。学生団体の活動と並行して、大学の国際ボランティアの制度を活用し、カンボジアに留学。自分の目で世界を見た。良い意味で、価値観を壊された!

 「現地の人がパジャマみたいな格好で外を歩いていたり、メークが薄かったり。好きなところでご飯を食べていたり、道端で急にダンスを踊り出したり。何というか、自然体で生きていた」

 もちろん、貧困の中で懸命に生きている人が少なくない。しかし、その悩みを吹き飛ばすくらいに、楽しそうに笑っている。その姿に触れて“周りの人の目って、過度に気にする必要はないんやな”と思った。日本に帰ってきてからは、身なりから考え方、行動まで変わった。“楽しいと思える”ことを選んで、チャンスがあれば逃さずつかんでいくことが、自分のポリシーになった。

 大学4年になり、卒業も間近に迫ってきた今、周りから「バランスが取れるようになってきたね」と言われることが増えたという。例えば学生団体で行っている「海外支援」もそう。知識として学んでいるうちは“本当に現地の人の自立につながるのか”“上から目線の支援の押しつけではないか”などの難しさに悩んだ。

 それは忘れてはならない側面だけれど、支援を喜んでくれる人がいる。そしてシンプルに「私がそれをやりたい」。“やりたい”と“人のために”が一致するところを探して、たどり着くことが大切なんだと思う。それが学園の創立者である池田先生の指針から、自分が肌感覚でたどり着いた答え。

 コロナの感染が落ち着いてきた頃から、学会の会合も対面開催が増えた。学生団体の活動で海外に居て、女子学生部の先輩に「会合に参加できなくて、すみません」と連絡したことがあった。先輩は「社会で活躍することも、学会活動につながっているんやで」と快く送り出してくれた。その言葉で、なんだか気持ちが楽になった。学会活動だけじゃなくて、諸活動にも挑戦している自分の生き方を応援してくれた先輩って、やっぱりすごいなと思った。

 来春から、建設機械メーカーで働く予定だ。多くの機材を海外に輸出しているが、どんな業務に就くかはまだ分からない。今と比べたら、海外支援という意味での直接の関係は、少し薄くなるかもしれない。「でも、無駄な経験なんて一つもない。全ての経験、全ての自分を楽しんで、自分なりに、世界平和に尽くしたい」。そう決意している。

 【電子版オリジナルインタビューはこちら】

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