〈インタビュー〉　松本幸四郎さん　劇場版「鬼平犯科帳　血闘」 〈インタビュー〉　松本幸四郎さん　劇場版「鬼平犯科帳　血闘」 2024年5月9日

• 5月10日（金）から全国公開
• 5月10日（金）から全国公開

　時代小説の大家・池波正太郎さん原作の人気シリーズ「鬼平犯科帳」が新たなキャストで帰ってきた！――歌舞伎俳優の松本幸四郎さんが主演する劇場版「鬼平犯科帳　血闘」が、あす10日（金）から全国公開される。約28年にわたり主人公・長谷川平蔵を演じた叔父の故・中村吉右衛門さんから役を受け継いだ幸四郎さんに、作品の見どころなどを聞いた。

　時代小説の大家・池波正太郎さん原作の人気シリーズ「鬼平犯科帳」が新たなキャストで帰ってきた！――歌舞伎俳優の松本幸四郎さんが主演する劇場版「鬼平犯科帳　血（けっ）闘（とう）」が、あす10日（金）から全国公開される。約28年にわたり主人公・長谷川平蔵を演じた叔（お）父（じ）の故・中村吉右衛門さんから役を受け継いだ幸四郎さんに、作品の見どころなどを聞いた。

松本幸四郎さん＝ヘアメーク/林摩規子　スタイリスト/川田真梨子＝

松本幸四郎さん＝ヘアメーク/林摩規子　スタイリスト/川田真梨子＝

　「ようやく皆さんにお届けできる時が来て、とてもうれしく思っています。過去のシリーズから携わっている職人さんたちと共に作り上げた作品なので、楽しんでいただけると確信しています」
　
　幸四郎さん主演の新シリーズは、本年1月、テレビスペシャル“本所・桜屋敷”編を皮切りにスタート。今作は、その第2弾。江戸市中内外の凶悪犯罪を取り締まる火付盗賊改方長官の平蔵が、なぜ“鬼平”と呼ばれるようになったのか。その原点が描かれる。
　
　「平蔵が怒りの感情をあらわにするのは作品全体の中でも珍しいことなので、注目してほしい。派手な殺陣シーンも多く、見どころです。また、美しく再現された江戸の風景や、照明技術を駆使した“暗闇”など、細部にまでこだわった“職人芸”には、こちらも驚かされました」

　「ようやく皆さんにお届けできる時が来て、とてもうれしく思っています。過去のシリーズから携（たずさ）わっている職人さんたちと共に作り上げた作品なので、楽しんでいただけると確信しています」
　
　幸四郎さん主演の新シリーズは、本年1月、テレビスペシャル“本所・桜屋敷”編を皮切りにスタート。今作は、その第2弾。江戸市中内外の凶悪犯罪を取（と）り締（し）まる火付盗賊改方（あらためかた）長官の平蔵が、なぜ“鬼平”と呼ばれるようになったのか。その原点が描かれる。
　
　「平蔵が怒（いか）りの感情をあらわにするのは作品全体の中でも珍（めずら）しいことなので、注目してほしい。派手な殺（た）陣（て）シーンも多く、見どころです。また、美しく再現された江戸の風景や、照明技術を駆（く）使（し）した“暗（くら）闇（やみ）”など、細部にまでこだわった“職人芸”には、こちらも驚（おどろ）かされました」

©「鬼平犯科帳　血闘」時代劇パートナーズ

©「鬼平犯科帳　血闘」時代劇パートナーズ

　作中には、吉右衛門さんが以前に使用していた小道具も登場しているという。

　「使わせていただいた、きせる（喫煙具の一種）や刀のつばには、“叔父の魂”が宿っていると感じます。もし出演の報告ができるとしたら、『これが今の鬼平ですよ』と少し偉そうに言いたいですね。まあ、怒られると思いますが（笑）」

　“鬼平の襲名”へ、長い準備期間を経て、「変に気張らず、安心して撮影に入れた」と語る幸四郎さん。“新たな鬼平”を演じる上で心がけたこととは。

　「平蔵は年下でも年上でも、善人でも悪人でも、どんな人と相対しても真正面から向き合い、自身の信念を貫きます。やんちゃな少年期から大人になるまで、そのブレないところが彼の強さであり、魅力だと思うので、その気持ちを保ちながら演じました」

　新シリーズは、池波さんの生誕100年を記念して企画されたもの。彼が生み出した数々の名作については、「人と人のつながりの中で生まれる“人間ドラマ”。人間にはそれぞれの過去があり、現在があるという風情のようなものを感じます」と述べる。

　作中には、吉右衛門さんが以前に使用していた小道具も登場しているという。

　「使わせていただいた、きせる（喫煙具の一種）や刀（かたな）のつばには、“叔父の魂（たましい）”が宿（やど）っていると感じます。もし出演の報告ができるとしたら、『これが今の鬼平ですよ』と少し偉（えら）そうに言いたいですね。まあ、怒（おこ）られると思いますが（笑）」

　“鬼平の襲（しゅう）名（めい）”へ、長い準備期間を経（へ）て、「変に気張らず、安心して撮影に入れた」と語る幸四郎さん。“新たな鬼平”を演じる上で心がけたこととは。

　「平蔵は年下でも年上でも、善人でも悪人でも、どんな人と相（あい）対（たい）しても真正面から向き合い、自身の信念を貫（つらぬ）きます。やんちゃな少年期から大人になるまで、そのブレないところが彼の強さであり、魅（み）力（りょく）だと思うので、その気持ちを保（たも）ちながら演じました」

　新シリーズは、池波さんの生誕100年を記念して企画されたもの。彼が生み出した数々の名作については、「人と人のつながりの中で生まれる“人間ドラマ”。人間にはそれぞれの過去があり、現在があるという風（ふ）情（ぜい）のようなものを感じます」と述べる。

©「鬼平犯科帳　血闘」時代劇パートナーズ

©「鬼平犯科帳　血闘」時代劇パートナーズ

　今作では、平蔵の青春時代である銕三郎役を、幸四郎さんの長男・市川染五郎さんが担う。

　「染五郎には、どんなことも恐れずに飛び込んでほしいし、舞台や映像の芝居もたくさん経験してほしい。まだまだ始まったばかりなので、自身の限界を、限りなく遠くに設けられるよう挑戦を続けてもらいたいです」

　最後に、映画を楽しみに待つ“鬼平ファン”へメッセージを寄せた。

　「江戸時代に生まれた方がいない現代は“江戸をつくれる時代”だと思いますし、それができるのは時代劇だけ。池波先生の傑作を通して、エンターテインメントとしての時代劇、そして“新たな鬼平”を、ぜひお楽しみください」

　今作では、平蔵の青春時代である銕（てつ）三（さぶ）郎（ろう）役を、幸四郎さんの長男・市川染五郎さんが担（にな）う。

　「染五郎には、どんなことも恐（おそ）れずに飛び込んでほしいし、舞台や映像の芝（しば）居（い）もたくさん経験してほしい。まだまだ始まったばかりなので、自身の限界を、限りなく遠くに設（もう）けられるよう挑戦を続けてもらいたいです」

　最後に、映画を楽しみに待つ“鬼平ファン”へメッセージを寄せた。

　「江戸時代に生まれた方がいない現代は“江戸をつくれる時代”だと思いますし、それができるのは時代劇だけ。池波先生の傑（けっ）作（さく）を通して、エンターテインメントとしての時代劇、そして“新たな鬼平”を、ぜひお楽しみください」

©「鬼平犯科帳　血闘」時代劇パートナーズ

©「鬼平犯科帳　血闘」時代劇パートナーズ

　まつもと・こうしろう　1973年1月8日生まれ、東京都出身。79年、歌舞伎座で三代目松本金太郎を名乗り初舞台。81年に七代目市川染五郎、2018年に十代目松本幸四郎を襲名。古典から復活狂言、新作歌舞伎にまで取り組む。舞台やテレビ、映画にも多数出演。映画「蟬しぐれ」（05年）で日本アカデミー賞優秀主演男優賞に輝く。

　まつもと・こうしろう　1973年1月8日生まれ、東京都出身。79年、歌舞伎座で三代目松本金太郎を名乗り初舞台。81年に七代目市川染五郎、2018年に十代目松本幸四郎を襲名。古典から復活狂言、新作歌舞伎にまで取り組む。舞台やテレビ、映画にも多数出演。映画「蟬しぐれ」（05年）で日本アカデミー賞優秀主演男優賞に輝く。

　【記事】鈴木政己　【写真】宮田孝一

　【記事】鈴木政己　【写真】宮田孝一

　松本幸四郎さんの直筆サイン入り色紙を、3人の読者にプレゼント。応募方法は紙面でご確認ください。

　松本幸四郎さんの直筆サイン入り色紙を、3人の読者にプレゼント。応募方法は紙面でご確認ください。

　平蔵（幸四郎）が若き日に世話になった居酒屋の娘・おまさ（中村ゆり）が、密偵になりたいと申し出て来る。平蔵はその願いを退けるが、おまさは、平蔵が鷺原の九平（柄本明）を捜していることを知り、独断で捜索に乗り出す。実は、九平は“芋酒屋”の主人と盗賊の二つの顔を持っていた。
　九平を捜すうちに兇賊・網切の甚五郎（北村有起哉）の企みを知ったおまさは、網切一味の中へ入り込む。しかし、彼女は絶体絶命の危機に陥り……。

　平蔵（幸四郎）が若き日に世話になった居酒屋の娘・おまさ（中村ゆり）が、密（みっ）偵（てい）になりたいと申し出て来る。平蔵はその願いを退（しりぞ）けるが、おまさは、平蔵が鷺（さぎ）原（はら）の九平（柄本明）を捜（さが）していることを知り、独断で捜（そう）索（さく）に乗り出す。実は、九平は“芋酒屋”の主人と盗賊の二つの顔を持っていた。
　九平を捜すうちに兇（きょう）賊（ぞく）・網（あみ）切（きり）の甚（じん）五（ご）郎（ろう）（北村有起哉）の企（たくら）みを知ったおまさは、網切一味の中へ入り込む。しかし、彼女は絶体絶命の危機に陥（おちい）り……。

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