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〈SDGs×SEIKYO〉 お母さんは、スゴイ!――マザージャーナリスト 2024年3月7日

3:57

 孤立した子育てをなくすために、福岡県内で「マザージャーナリスト」として活動する池田彩さん=白ゆり長。世界中のお母さんたちが「ママになれて良かった!」と心から思える社会の実現に向けて、彼女がペンを握り続ける理由に迫りました。(今回はSDGsの5番目の目標「ジェンダー平等を実現しよう」について考えます。取材=石塚哲也、石井和夫)

この記事のテーマは「ジェンダー平等を実現しよう」

 2006年、池田さんは長女を出産。半年後に夫の実家のある久留米市に移住した。土地勘もなく、知り合いもいない中での初めての子育て。夫・祐二さん=地区部長=も家事や育児を行ってくれるものの、仕事が多忙で帰りが遅かった。

 一番かわいい時期なのに、娘と2人きりになるのが怖かった。夜になると「早く朝が来てほしい」と何度も思った。

 泣きやまないわが子を車に乗せてあやした。

 「正直、このままどこかに置いてしまいたいと考えたり、子どもに感情をぶつけてしまったりもした」

 SNSを見ると、キラキラ輝く友達の姿ばかりが目に付いた。自分だけが社会から取り残されていくような感覚。

 “早く社会復帰したい”
 “早く仕事を始めて稼ぎたい”

 目の前のわが子はいとおしいのに、お母さんという“仕事”から逃げ出してしまいたかった。

 ある日、部屋の片隅に積まれていた聖教新聞が目に留まった。

 池田さんは結婚を機に創価学会に入会したものの、活動には消極的だった。

 「積んどく(読)だけだった聖教を久しぶりに開いたんです」

 7面にあった見出しに心奪われた。
 「お母さんはスゴイのです」

 「お母さん業界新聞」編集長・藤本裕子氏の連載コラム。一気に読んだ。せきを切ったようにあふれる涙。感謝を伝えたくて、筆者にメールを送った。

 すると後日、返信が。
 「お母さんを感じて、ペンを持ってみてください」

全国の「マザージャーナリスト」で制作する「お母さん業界新聞」
全国の「マザージャーナリスト」で制作する「お母さん業界新聞」

 08年、池田さんは「お母さん業界新聞」の「マザージャーナリスト」として活動を始めた。

 ブログも日記も書いたことはない。ただ母としての日常の“ありのまま”をつづった。

 イライラしたこと、うれしかったこと、目の前で起きる出来事と自身の感情を文字にすると、子育てを客観的に見られるようになった。

 「子育てが楽しくなったんです。この経験を多くの人に伝えたくて」

 出会ったお母さんにペンを握る楽しさを訴え、一人また一人とお母さん記者を増やしていった。10年前からは「お母さん業界新聞ちっご(筑後)版」を発行。その間、たくさんの壁にもぶつかった。

空き家をリノベーションした一室は、お母さんたちの居場所になっている
空き家をリノベーションした一室は、お母さんたちの居場所になっている

 そんな時に支えてくれたのが、創価学会の先輩。温かい励ましが心に染みた。

 勧められて本紙の配達を始めた。

 「それが転機になって」

 朝一番に起きて配達。家事の前に本紙を読み、夫婦で勤行を。

 「信心根本の生活になると、池田先生の行動と自分を重ね、思索するようになりました」

 先生は一人立ち上がり、世界中に学会を広げてきた。だから「強い一念があれば、不可能なことはないと思った」。

 その後、20社を超える企業などの協賛を得ることができ、40人の「マザージャーナリスト」も誕生。“ちっご版”は、毎月約1万部を発行するまでになり、7年もの間、地域で親しまれた。

「半径3メートル以内で起きる子育て中の出来事って、すべてネタになるんですよ」と語りながら取材に歩く池田さん
「半径3メートル以内で起きる子育て中の出来事って、すべてネタになるんですよ」と語りながら取材に歩く池田さん

 SDGsの目標「ジェンダー平等を実現しよう」の中で、家事や育児などは、報酬労働と同等の「仕事」とされる。

 池田さんは「女性の活躍も大事。男性の育児参加も当たり前。その上で、どうしても私のように職場で働くことが“活躍”で“お母さん業”を社会から遠い存在だと感じてしまう人はいると思う」。

 池田さんは、空き家を活用して“地域づくり”をしている人と、お母さんたちの居場所をつくった。不登校の子どもたちが職場体験できる活動も始めた。

 池田さんの高校生の長女と中学生の長男も不登校だ。

 「本当に悩んだし、苦しんだ」

 そんな中、母子家庭を支援するママ友が長女に寄り添ってくれた。

 「私に代わって、ママ友が3者面談に行ってくれています」

 子育ては人の助けを借りてもいい。子育てに社会全体で取り組めるようになれば、さらに“お母さんの力”を再発見でき、お父さんも一緒に、地域へ、社会へと、その力を還元できる。

 「食事の支度や洗濯をしてくれる夫の応援あっての活動だと思っています。そして、子どもたちと女性の笑顔が広がっていけば、未来は必ず変えられる」

 だから「お母さんはスゴイ!」を伝える活動を池田さんは続けていく。

●最後までお読みいただき、ありがとうございます。ぜひ、ご感想をお寄せください→ sdgs@seikyo-np.jp

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