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〈健康PLUS〉 季節の変わり目 心身を整える 2022年3月22日

医学博士 貝谷久宣さん
〈ポイント〉

 ① 朝日と朝食で体内時計リセット
 ② 行動を記録し、自分を客観視
 ③ セルフタッチで安心・癒やしを
 
 

 季節の変わり目は、調子が崩れやすい時期。寝ても疲れが取れない、気分が落ち込む……。そんな時こそ、自分をいたわる工夫が必要です。医学博士の貝谷久宣さんに、心身のバランスが乱れる理由と、その対策について聞きました。
 
 

寒暖差が疲労の原因

 季節の変わり目は、どうして心身が不安定になりやすいのでしょうか。
 大きな原因の一つは、寒暖差をはじめとした気候の変化です。気温や湿度などが急激に変化すると、心身のホメオスタシス(生体の恒常性維持機構)をつかさどる自律神経のバランスが崩れ、疲れやすくなります。
 自律神経には、体を“活動モード”にする交感神経と、“休息モード”にする副交感神経があり、通常は両方がバランスよく保たれています。ところが、気候の変化に体を順応させようと自律神経の働きが活発になり過ぎ、普段以上にエネルギーを消費し、疲労が蓄積してしまうのです。
 自律神経を整えるために必要不可欠なのが、良質な睡眠です。就寝1、2時間前にぬるい湯にゆっくり漬かったり、寝る直前は食事や明るい光を避けたりするなど、体をリラックスさせ、よく眠れるようにします。
 

人間関係によるストレスも

 春は進学や就職など、人との出会いの多い季節でもあります。しっかり休んでいるものの、どこか気分が晴れない、やる気が起きないという人は、新たな人間関係による不安や緊張などのストレスで、心が休まっていないのかもしれません。
 ストレスに抵抗するため、「コルチゾール」というホルモンが分泌されます。コルチゾールは、血糖値や脈拍を上げて体を活動状態にしますが、増え過ぎると、睡眠ホルモンが減り、眠りを妨げてしまうことも。睡眠不足になれば、免疫力が低下したり、血流が悪くなったりして、体調が崩れてしまいます。
 人間関係のストレスを軽減する方法の一つに「アサーション」があります。自分を適切に表現し、相手の気持ちも大切にする自他尊重のコミュニケーション方法です。具体的には、相手の話をよく聞き、自分の気持ちを柔らかに伝える努力をすることです。状況に応じて、言葉でなくても表情や行動で表現する工夫も大切です。
 

規則正しい生活リズムを

 心身の調子を整えるために大切なのが、規則正しい生活リズム。睡眠や食事が不規則では、どうしても体調が崩れやすくなるものです。
 生活リズムを整えるポイントは、朝の体内時計のリセットと、三度の食事です。
 毎朝、同じ時間に起きて朝日を浴び、朝食を取ることで、体内時計がリセットされます。雨や曇りの日でも、日光は届いています。カーテンを開けて、光を取り入れるようにしましょう。その後の食事も、可能な限り、同じ時間に、ゆっくり腹八分目に取ることで、生活リズムがつくられていきます。
 また、適度な運動は、幸せホルモンと呼ばれるセロトニンを増やし、脳を活性化させます。毎日続かなかったり、やる気が起きなかったりすることもありますが、そのような場合は、部屋の掃除から始めてみましょう。部屋をきれいにすることで気持ちも前向きになり、適度な運動にもなります。
 

自己評価してプラス思考に

 ストレスを抱えると、行動が鈍くなり、さらに落ち込むという負の連鎖にはまってしまうことがあります。それを断ち切るためにオススメしたいのが、毎日の自分の行動を記録することです。
 ノートに、起床時間や就寝時間、食事や仕事、運動など、自分の行動を書き出し、行動に対しての心の状態に点数を付けてみてください。例えば、「仕事が終わらず、2時間残業(30点)」「ジムで40分トレーニング(80点)」というように。
 自己評価(セルフレーティング)をして、憂鬱さや不安など、ストレスになっている行動パターンに気付くことが大切です。その上で、気分が晴れる行動を増やしていきましょう。
 生活と感情を客観視することで、自身をプラス思考にするヒントになるはずです。
 

体に触れてリラックス

 自己肯定感を高める方法として期待されるのが「手当て」です。体に触れたり、なでたりすることで心身に良い効果をもたらす可能性があるとされます。おなかが痛い時に、手で腹部をなでたり、不安や緊張を感じた時に信頼できる人に触れて気持ちを落ち着かせたりするように、人は自然に手を当てて、自分自身を癒やしているものです。自分自身で触れるセルフタッチでも効果があることが分かっています。
 服の上から手で自分の足やおなか、腕や頭・顔を手当て(擦る)するだけでも効果があるでしょう。ポイントは、意識を触っている体の隅々に向け、優しくゆっくり体をいたわること。緊張や疲れがほぐれ、休まっていくのを感じられると思います。
 また、昔ながらの「乾布摩擦」もオススメです。乾いた手拭いやタオルで皮膚を擦り、体の抵抗力を高める健康法です。自律神経が整い、免疫力を高め、睡眠の改善になるともいわれています。
 

「今」への集中が休息に

 心を休めるには、意識を過去や未来ではなく、「今」に向けることが効果的です。
 今この瞬間の自分の体や心に意識を向けることを「マインドフルネス」と呼びます。例えば、体操で指先まで神経を研ぎ澄ませることや、食べ物を一口一口味わうこと、睡眠時に布団の重さ、体温の変化を感じることです。これにより集中とリラックスを得られます。
 今回は、マインドフルネスの基本である「呼吸法」を紹介します(別掲)。心身をうまく休め、いたわりながら、すがすがしい春を過ごしていただけたらと思います。
 

●マインドフルネス呼吸法●

○呼吸の準備
 ・椅子に浅く座り、背筋を伸ばし、足をそろえて、足底部をどっしりと床の上に置く
 ・肩の力を抜く
 ・顎は突き出さず、軽く引く
 ・両手は太ももの上に軽く乗せる
 ・目は開いても、閉じてもよい
 ・下腹部をやや前に出すと、呼吸しやすい
 
○呼吸を整える
 自然な鼻呼吸から始める
  →
 無理にコントロールせず、いつも通りに息をする
  →
 呼吸に意識を向け、出入りする空気を感じる
 
※次第に深まり、おなかまで空気を入れて出す腹式呼吸に変化していくのを感じる
 
〈ポイント〉
 ・感情や思考が浮かんでもよい。それに気付いてただ眺めるイメージ
 ・形にとらわれず呼吸する
 ・最初は5分でもよい。慣れたら10~20分試してみよう
 ・椅子ではなく、床に座ってもOK
 
 

 かいや・ひさのぶ 医療法人和楽会理事長。パニック障害研究センター所長。京都府立医科大学客員教授。岐阜大学病院教授。名古屋市立大学医学部卒業。マックス・プランク精神医学研究所(ミュンヘン)留学。岐阜大学医学部助教授、自衛隊中央病院神経科部長を歴任。日本におけるパニック症の治療と研究の先駆者。著書、メディア出演多数。
 

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 dokusha@seikyo-np.jp

 イメージ写真:PIXTA

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