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〈東日本大震災9年〉 一歩一歩 明日へ 2020年3月11日

  
  
 相楽聡美さん(30)=婦人部員=は、福島県郡山市に家族3人で暮らす。岩手県・山田町に住んでいた母の千賀子さんは津波にのまれ、今も行方が分からない。翌年、頼りの父も病で逝った。聡美さんは一人っ子だった。
  
 寂しさのそばには励ましがあった。女子部の友と御書をひもといた。「とにかくに法華経に身をまかせ信ぜさせ給へ」(1557ページ)。つらくても笑顔でいられたのは「池田先生が見てくれてるから」と素直に言えた。そんな一歩一歩を、明日へ刻んできた。
  
 聡美さんは新しい命を抱いた。母の笑顔が浮かんだ。
 「母ちゃんへの感謝がもっと深くなった気がします」
 あれから9年。日々の暮らしに笑顔が増えた。
  
  

 ◇◆◇
  
 母ちゃん、報告があります。3年前に結婚したんだ。ウエディングドレスを着て、正義さん(34)=圏男子部長=と拍手の中を歩くのは少し照れたけど、岩手から、おんちゃんとおばちゃんが来てくれた。母ちゃんと父ちゃんの席には、写真を置いたよ。
 その暮れに、2784グラムの男の子の顔を見た時は、じーんときた。母親になったんだなあって。悠守(2)っていうんだ。
  
 職場復帰したよ。保育園のお迎えはいつも最後。外が暗くなっても、悠守は泣かずに待っててくれる。今は走って飛びついてくるから、ぎゅーってする。
 家に一緒に帰るでしょ。窓の明かりがついていて、正義さんがご飯を炊いてくれてたり、お風呂を掃除してくれてたりするんだ。
 「おかえりー」
 「ただいまー」
 大きな靴に小さな靴が挟まれてると、家族だなーって。
  
  

  
  
 ねえ母ちゃん、正義さんが私の料理を褒めてくれたよ。ひっつみと芋煮がおいしいって。母ちゃんの肩越しに料理を見てて、ほんとよかったー。
 ちなみに夫婦げんかは、いつも私がガミガミ言ってます。
  
 子育てって大変だね。おもちゃで部屋が散らかるし、いろんなペンで白い壁に落書きされるし……。
 悠守を叱った後、私、ちょっとへこむんだ。
 それって悠守に伝わるのかな。一緒に横になってると、小さい手で私の頭をなでてくれる。子育ての苦労を味わうたびに、母ちゃんへの「ありがとう」が増えていく。そんな気がします。
  
 私ね、ずっと見てたんだ。母ちゃんが、父ちゃんから信心を反対されても、陰で一生懸命に唱題してたこと。幸せになる、って祈ってたんだよね。
 その祈り、かなったよ。
 正義さんの後ろに座って、私の膝の上で悠守が大きな瞳で御本尊様を見つめてる。私ね、家族3人で勤行してる時が、一番幸せなんだ。
  
  

  
  
 ばあちゃんが言ってた「題目の貯金」だね。ばあちゃんのお題目、母ちゃんのお題目、正義さんのお題目。みんなのお題目に包まれて、今があると思う。きっと、父ちゃんも喜んでるよね。
  
 母ちゃんと会えなくなって9年です。長かったような短かったような……。
 3月が近づくと、やっぱりつらいよ。
 だけど、そばに正義さんがいるし、悠守が手をつないでくれる。つらいことにも、3人で向き合えてる。それがうれしいです。
 私は今まで助けてもらうことが多かったから、これからは母ちゃんのような強い母親になりたいな。
 私はすごく元気だよ。とっても幸せ。
 だから母ちゃん、安心してね。
  

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