• ルビ
  • シェア
  • メール
  • CLOSE

ポスト待機児童時代の保育園の在り方 2021年10月15日

  • 電子版連載【駒崎弘樹の「半径5メートルから社会を変える」】〈14〉

 連載「駒崎弘樹の『半径5メートルから社会を変える』」では、認定NPO法人フローレンス代表理事の駒崎弘樹さんに、さまざまな社会課題について聞きます。
  
 今回のテーマは、「ポスト待機児童時代の保育園の在り方」です。待機児童が解消されてきた現在、新たに保育園に求められることとは――。皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
  
 ※今後、取り上げてほしいテーマを募集します。記事の最後に記載したメールアドレス宛てにお送りください。

■保育園を誰でもいつでも通える場所に

 ――子どもを産み育てやすい社会にしていく上で、大事なことは何でしょうか。
  
 駒崎 今は待機児童の解消が進んで、ポスト待機児童の状況になってきています。そこで必要なのは、「保育園の在り方」を変えること。保育園をさらに有効的に活用するための転換が必要です。

 ――具体的には、どのような変化が求められるでしょうか。
  
 駒崎 今までの保育園は、“働いている人が子どもを預ける”ところでした。そこのハードルを下げて、“誰もがいつでも子どもを預けられる”保育園に変えていくのです。
 平日は毎日預けるということでなくてもいいし、週に一度だけ預けるでもいい。給食だけ一緒に食べるでもいい。あるいは、子育てにおいて困りごとが生じた時に、相談に行くというのもありですね。
  
 子どもが生まれた時から、保育園と共に子育ての道を歩んでいく。そうした“ゆるいつながり”を一緒につくっていく保育園の形ができないかと考えています。

■保育園のアイデンティティーを新しくする

 ――まさに全ての子育てに寄り添う保育園の在り方ですね。
  
 駒崎 そうなんです。そうなれば前回触れた「親ガチャ」問題にも効果を発揮します。子どもが生まれたからといって、必ずしも誰もがすぐに立派な親になれるわけではありません。
 むしろ、多くの人がたくさんの不安を抱きながら、周囲に助けてもらうことで何とか親になっていけるのだと思います。
  
 そういった助けがないことで孤立してしまい、結果として痛ましい事件に至ってしまうケースが後を絶ちません。
 例えば、16歳で子どもを産むことになった場合なども、自分は高校に通いながら、保育園に預けられる。そんなふうに、全ての子育てに伴走するような保育園に変わっていったら、すごくいいと思うのです。

 ――保育園の側が変わったとしても、「子育てを他人の手に任せたくない」などの理由から、保育園に通わせないという親御さんもいます。
  
 駒崎 確かに、在宅での子育てを選択している人の中には、自分の手で育てたいという人もいます。もちろん、そういう考えがあってもいいですが、その中でも、例えば美容院に行きたい、体調が悪くて病院に行きたい、という時もあるでしょう。そうした時に、わずかな時間でも利用できる保育園があれば助かると思うんです。
  
 ――従来の保育園とは違った存在になっていきますね。
  
 駒崎 ポイントはそこです。従来のように、親が働いている家庭の子どもを保育するためだけの施設ではなく、子育て支援、親子支援の施設へと、保育園のアイデンティティーを変えていけたらいいなと思います。
 僕自身が保育事業で掲げているビジョンも、まさにそのことです。これからの保育園がそのような場所になっていくことを強く願っています。

■法改正と制度の変革が必要

 ――保育園の変革のために、必要な条件は何でしょうか。
  
 駒崎 「保育の必要性認定」制度を変えることが求められます。これは保育園や認定こども園、地域型保育事業などを利用する場合に必要な手続きで、これにより保育の必要性や必要量が判定されるという制度です。
 現状では保育サービスは、働いていたり、親が要介護であったりなど、保育が必要とされる人にだけ提供されています。
 ここを変えていくためにも、児童福祉法を改正して、保育園は全ての子どもたちに開かれていると高らかに宣言してほしいと期待します。

 ――海外では、どのような形になっているのでしょうか。
  
 駒崎 フランスでは、3歳からほぼ義務教育になっていますし、他の先進諸国でもおおむね5歳からになっているところが多いです。現実として「親ガチャ」と言われるような問題があり、社会で子どもを育むほうが安全だからという考えがあるからだと思います。
 日本も「こども庁」創設の議論とともに「全ての子どもたちのための保育園へ」という方向へと、変革を進めてほしいと思います。
  
  
 ●最後までお読みいただき、ありがとうございます。ご感想、取り上げてほしいテーマなど、ぜひお寄せください。
 youth@seikyo-np.jp
  

動画

連載まとめ

連載まとめ

デジタル特集

DIGITAL FEATURE ARTICLES デジタル特集

YOUTH

劇画

劇画
  • HUMAN REVOLUTION 人間革命検索
  • CLIP クリップ
  • VOICE SERVICE 音声
  • HOW TO USE 聖教電子版の使い方
PAGE TOP