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〈Seikyo Gift〉 核兵器禁止条約の発効に寄せて 期待の声 2021年3月7日

 製造から使用、保有に至るまで、核兵器を全面的に禁止する「核兵器禁止条約」が本年1月22日に発効した。その前後で行った国内外の識者へのインタビュー(抜粋)と、SGIが同条約の普及のために制作した各種ツールを紹介する。

ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン) フィン事務局長
SGIは主導的役割果たした 地域で行動し世界に潮流起こす皆さんの活動は理想形

 昨年10月24日、50カ国目の批准国となったホンジュラスから、批准書を国連に提出して受理されたとの連絡を聞いた瞬間は、言いようのない感慨が込み上げてきました。
 
 “まだ50カ国が批准したにすぎない”という見方もありますが、条約が発効した事実には重要な意義があります。
 
 核兵器保有国が猛烈な圧力をかけていたにもかかわらず、保有国と良好な関係を築いている国も含めた多くの国々が、批准への歩みを止めませんでした。小国が大国に立ち向かうことは、容易ではありません。
 
 それでも現在51もの国(=掲載時点)が批准を断行した事実は、核兵器がそうした国々にとって極めて重要な問題であることの証左であり、この条約が現状を変える力になると彼らが信じている証しです。
 
 ◇ 
 
 大半の人は核兵器に嫌悪感を抱き、身近に存在してほしくないと思っています。しかし、自分に何かできるとは考えていない。事実は逆で、できることはたくさんあります。ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)や核禁条約自体、一般の市民が知恵を出し合い政府とも協働する中で生まれたものです。
 
 国や地域レベルでできることを考えながら、それが世界的な潮流にどうつながるかを見ていく――その素晴らしい具体例が、SGIの運動です。皆さんはそれぞれの地域で活動しながら、同時にSGIとしてグローバルな運動を行っている。地域の視点を持ち、グローバルにつながる理想の形だと思います。
 
 SGIはICANが誕生して間もない頃から苦楽を共にしてきた重要なパートナーであり、皆さんと深い交流を結んでこられたことを大変光栄に思います。幅広い分野で深い協力を重ねてきましたし、私たちのキャンペーンにおいてSGIは主導的な役割を果たしてきました。核兵器廃絶は短距離走ではなく長距離走ですから、引き続きSGIと協力を深め、さまざまな活動に取り組んでいきたいと願っています。
 (1月22日付)

ドゥアルテ 元国連軍縮担当上級代表
人類に破滅をもたらす兵器 維持することは許されない

 核兵器を違法と認める初の条約が誕生することに、強く励まされる思いです。50カ国の批准という発効要件を満たした事実自体が、この条約こそ希望の未来への道であることを、多くの国々が理解したことの表れです。
 
 NPT(核不拡散条約)をはじめとするこれまでの条約は、核保有国あるいは非保有国が遵守すべき義務等々を定めていますが、それらは核兵器そのものよりも、保有国か非保有国かなど、現状の「国」のあり方に焦点を当てる色合いが強いものでした。一方の禁止条約は、核兵器の存在自体を問い直す初の枠組みです。特定の国を名指しして何かを要求するのではなく、世界中の国々に対して一様に、核兵器は違法であり、禁止されたと認めているのです。
 
 禁止条約を手にしたことで、私たちは今、全ての国にこう問うことができるのです。「なぜ核兵器を保有するのか?」「正当な理由はあるのか?」――と。これが、条約の発効がもたらす重要な議論の変化でしょう。

アメリカ・ニューヨークの国連本部で行われた核兵器禁止条約の交渉会議(2017年7月7日)
アメリカ・ニューヨークの国連本部で行われた核兵器禁止条約の交渉会議(2017年7月7日)

 引き続き、条約に署名し、批准する国々を増やしていくことは、目下の課題です。署名しながらも批准していない35の国々(=掲載時点)を促すとともに、署名にすら達していない、他の多くの国々に働きかけねばなりません。そして、世界を破滅へと追いやる兵器を維持し続けることは、許されないのだという大衆の声を高め、核保有国に突き付けていかねばなりません。世界の破滅からは、彼ら自身も逃れられないのですから。
 (1月15日付)

IPPNW(核戦争防止国際医師会議) ラフ共同会長
人と関わり希望を送る創価の友 大きな広がりもつ運動に感銘

 かねて私は、池田大作SGI会長がIPPNW共同創設者のバーナード・ラウン博士、ミハイル・クジン博士と相次いで会見されたこと、また長年、SGIとIPPNWが協力関係にあることを存じ上げていました。
 
 ゆえに(IPPNWから生まれた)ICANの発展のためにも、いち早くSGIとパートナーシップを結びたいと切望していたのです。
 
 創価学会は1950年代から、核兵器が「悪」であると指摘し、その廃絶に向け先駆的な運動を続けてきました。核兵器禁止条約制定への戦略を話し合う大事な会議でも、SGIは世界の人たちのネットワークをつくり、準備を進める上で不可欠の協力をしてくださいました。SGIとの長きにわたる緊密な関係を、とても誇りに思います。

IPPNWの世界大会。SGIも協力団体として参加した(2017年9月、イギリスで)
IPPNWの世界大会。SGIも協力団体として参加した(2017年9月、イギリスで)

 感銘を受けるのは、見る人の心を動かす展示内容もさることながら、SGIの皆さんが展示を通し、「地域のつながり」を築かれている点です。人と関わりを結び、教育の機会を提供し、希望を送る。こうしたSGIの取り組みは単なる展示活動ではなく、大きな広がりをもつ平和運動です。
 
 SGIとICANが共に制作した「核兵器なき世界への連帯」展では、私も医師の立場で準備に関わりました。こうした展示が、ヨーロッパやアメリカ、東南アジア、オセアニア、中東、南米など世界各国で、また数々の国際行事の場で開催されたことは特筆に値します。核兵器廃絶への機運を高めることができたと自負しています。
 (1月20日付)

日赤長崎原爆病院名誉院長 朝長万左男氏
核なき世界への新たな出発点 根気よくこの条約を育てたい

 これまでの75年は、いわば「第1ステージ」でした。被爆者たちが、一生涯続く被爆の影響を世界に証言することを通して、核兵器の非人道性を自らの体で証明してきたわけです。そこに科学的な知見が加わり、核禁条約ができた。これからは、核兵器のない世界に到達するための「第2ステージ」に入ると思っています。
 
 「将来的に核兵器をなくさねばならない」という合意は、核保有国も含めて既に存在しています。しかし、「今の国際情勢ではなくせない」という状態にある。そうした核兵器を取り巻く全体の構造を理解した上で、根気よく、この条約を育てていかねばなりません。

長崎原爆資料館で行われた「核兵器なき世界への連帯」展。開幕式には朝長氏が出席し、あいさつした(2018年11月)
長崎原爆資料館で行われた「核兵器なき世界への連帯」展。開幕式には朝長氏が出席し、あいさつした(2018年11月)

 今は倫理面での一種の“戦争状態”といっていいと思う。非人道性という議論から核禁条約が出てきたという事実は、そうしたエゴを克服すべき段階に人類が到達していることの象徴でもあると思います。

 人類が平和に共存していくために今、何が一番大事なのかという決断が求められています。そう考えた時、行き着くところは倫理、宗教の問題ではないでしょうか。人間の決断を促す根源の力は、やはり倫理であり、宗教です。人間は最初に考えてから決断します。決断して初めて、核兵器の生産を止めるといった行動にもつながるのです。
 (1月28日付)

映像作家 田邊雅章氏
あの日の出来事を忘れまい 私たちを“最後の被爆者”に

 私は還暦を迎えるまで、原爆から背を向けて生きてきました。過酷な被爆体験を思い出したくなかったからです。1996年、原爆ドームが世界遺産に登録されたことを機に、自分にしかできない仕事として、町並みの記憶をCG(コンピューターグラフィックス)で復元する映像製作に取り掛かりました。
 
 被爆から76年となる今でも、優しかった母の面影を夢に見ることがあります。当時、母は32歳。1歳の弟を背負い、朝食の片付けをしていたはずです。そこへ何の前触れもなく、原子爆弾が落とされました。想像を絶する灼熱と破壊的衝撃だったと思います。
 
 母と弟は今も爆心地で行方不明のままです。せめて2人が苦しまないで最期を迎えていてほしいと祈るばかりです。

CGで再現した被爆前の爆心地周辺の町並み。右奥が後の原爆ドームとなる広島県産業奨励館(映画「知られざるヒロシマの真実と原爆の実態」から)
CGで再現した被爆前の爆心地周辺の町並み。右奥が後の原爆ドームとなる広島県産業奨励館(映画「知られざるヒロシマの真実と原爆の実態」から)

 「あの日の出来事を忘れた時、再び、あの日が繰り返される」――私が常に肝に銘じていることです。被爆前には、普通の人々が普段通りの日常を送っていたのです。原爆投下をただ単に、“歴史上の一こま”と捉えないでください。
 
 若い世代の方々には、①真実を知る②自分のこととして考える③身近な人に語り伝える、ということを実践してほしい。その輪が大きく広がれば、「核兵器なき世界」の実現へ近づきます。“最後の被爆者”として、そう信じてやみません。
 (1月28日付)

SGIが各種ツールを制作
スライドストーリー「『核兵器禁止条約』発効編」
スライドストーリー「『核兵器禁止条約』発効編」
ハンドブック「『核兵器禁止条約』発効」
ハンドブック「『核兵器禁止条約』発効」

 核禁条約の発効にあわせて、SGIは同条約の内容や意義を分かりやすく紹介する各種ツールを制作した。
 
 ICANと共同制作したのは、スマートフォン等で閲覧できるスライドストーリー「『核兵器禁止条約』発効編」(日本語版・英語版)。
 
 もう一つは、条約の概要や成立の背景、今後の展望などをまとめた、SGI制作のハンドブック「『核兵器禁止条約』発効」(日本語版・英語版)。
 
 こちらから、それぞれのツールを閲覧できます。
 
 https://www.sokanet.jp/hbk/heiwa.html#no02

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