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〈20代のリアル ボクらのイマ。 信仰体験〉 学生時代に折伏した人、された人 2023年6月29日

  • 題目は思考の枠を超えていく(矢野さん)
  • 生き方を変える智慧があった(上江洲さん)
「適当なこと言いすぎ」と上江洲さん㊧が注意をすれば、「いつもより我慢してるから!」と矢野さんが返す。愉快な二人はこれからも、肩を組んで広布に走る
「適当なこと言いすぎ」と上江洲さん㊧が注意をすれば、「いつもより我慢してるから!」と矢野さんが返す。愉快な二人はこれからも、肩を組んで広布に走る

 今回の「20代のリアル」は特別編。学生時代に折伏を受けて入会した上江洲奏さん(26)=東京都新宿区、男子地区副リーダー=と、折伏をした矢野伸一郎さん(27)=福岡市南区、県学生部書記長=が登場。地元・福岡の中高一貫校で出会った二人は、信心を通してどのように変わっていったのか――。

 
 性格は真反対。上江洲さんは真面目な優等生で、矢野さんは終始おちゃらけている。共通するのは「当然のように東大を目指した」という“優秀さ”。二人は何でも語り合い、これから訪れる未来に心を躍らせた。
 
 しかし、矢野さんの身に思いがけないことが起きる。大学受験シーズン真っ最中の2015年(平成27年)2月のある日。突然、校内で動けなくなり、救急搬送された。若年性脳梗塞との診断。すぐに手術となった。麻酔から覚めると集中治療室にいた。医師からは、一生寝たきりの可能性もあり、再発すれば命の保証もないと告げられた。
 
 「人生、終わった……」
 
 そう何度もつぶやく矢野さんを、両親は確信をもって励ました。「絶対に治る。一番良い方向にいく信心だからね」
 これまでは疑い半分の題目。この時ばかりは真剣に祈った。
 懸命なリハビリの末、歩けるまでに回復。倒れる前に合格していた早稲田大学の入学式に自分の足で行くことができた。
 
 この体験を通し、矢野さんが感じたことは――。「そりゃ題目すごい!ってなりましたよ。でも、祈りでしか開けないって心から実感できたのは、ずっと後。折伏を通してのことなんです」
 
 矢野さんの信心を深めた折伏。その相手こそ上江洲さんだった。
 

 
 「数量的に定義できるの?」
 
 上江洲さんが疑わしい目を向けた。高校を卒業して半年後、矢野さんから初めて仏法の話を聞いた時のこと。「十界論」を意気揚々と語られたが、ピンとこなかった。
 
 「当時の僕は、科学万能主義者みたいな人間で。“生命状態が10個に分けられるって証明できなくない?”って思ったんです」
 
 理系専攻では、ずっと1番の成績。将来は宇宙飛行士を目指し、知識を吸収する毎日を送っていた。
 そんな中で聞いた、突然の“宗教の話”。「だからって矢野君に対して良くない印象をもつことはなかった。でも、特殊な世界の話だなと感じました」
 

 
 初めての折伏に挑戦した矢野さんは、とにかく先輩に褒められた。喜びは、次なる対話の原動力に。他の友人にも語る中で、自身も仏法の理解が深まっていく。
 
 そして迎えた、2回目の上江洲さんとの対話。大学2年の9月だった。
 今度は、先輩と共に語り切った。上江洲さんは、大学や寮の人間関係で悩んでいると打ち明けてくれた。題目の力は実践しなくては分からないことにも納得してくれた。
 しかし、「組織に入るのは……」など、さまざまな理由を付けて断られた。その後、いろんな人と会ってもらったが、何度、対話を重ねても結果は同じだった。
 
 “誰よりも論理的で頭の良い上江洲君が、信心をしている姿を想像できない。やっぱり無理かもしれない”
 
 諦めの心を打ち破ってくれたのは、壮年部の先輩の一言だった。「折伏は、とにかく自分の境涯です。あとは伸ちゃん、あなた次第です」
 

熱く、明るい矢野さん(左から2人目)を、福岡王者県学生部の皆が慕う
熱く、明るい矢野さん(左から2人目)を、福岡王者県学生部の皆が慕う
にぎやかな福岡王者県学生部
にぎやかな福岡王者県学生部

 矢野さんは時間の許す限り、題目を唱えるようになった。気付いたことがある。
 
 “結局は、自分の頭で考えていた。できる、できないも勝手に決めていた。自分が題目で変わるしかないんだ”
 
 一番大事なことを、上江洲さんに教わった思いがした。
 もう一度、上江洲さんに語り抜いた。最後に差し出した手を、握り返してくれた。16年12月、上江洲さんは入会した。
 

 
 上江洲さんに入会した理由を尋ねると、矢野さんから借りた牧口先生の『価値論』に共感したことや、入会のデメリット(不利益)がないこと、題目のメカニズムを解明したいなど、いかにも上江洲さんらしい。
 ただ、「断る理由はなくても、踏み出す勇気もなかったんです。矢野君が真っすぐ語ってくれたから、ようやく始められました」。
 
 入会後もしばらくは、科学的に仏法を理解したいという姿勢だった。変化が起きたのは2年前。学生部の部長に任命されてからだ。
 大学院の研究で悩み、進路を決めかねている時期だった。“題目の力は本当か、試そう”
 
 挑戦を決めると、学生部の仲間が全力で支えてくれた。ある先輩は、毎朝毎晩、同盟唱題を。そして、常に池田先生の心を語ってくれ、慣れないリーダーとしての活動を引っ張ってくれた。
 小説『新・人間革命』の研さんも始める。上江洲さんは教学の書籍は何冊も読んできたものの、池田先生の指導は読み進めてこなかった。それが、学会活動に全力で駆けるほどに、夢中になれた。1年間で『新・人間革命』を全巻読了した。
 

約2年前から上江洲さんが、本紙の記事や池田先生の言葉などを書き留めてきたノート
約2年前から上江洲さんが、本紙の記事や池田先生の言葉などを書き留めてきたノート
新宿男子部の友と。今月初旬には、上江洲さん(右端)の友人を招き、仏法対話を
新宿男子部の友と。今月初旬には、上江洲さん(右端)の友人を招き、仏法対話を

 
 「19歳の誓いのままに堂々と生きる池田先生を知り、心をつかまれました。そしたら、仏法の智慧は目の前の一人を変えていく哲学だったのかと、心から納得できたんです」
 
 知識の枠組みを超えた感動。上江洲さんの人生で初めてのことだった。題目を試す検証は、題目で勝つ決意に変わった。
 
 上江洲さんは今、国際宇宙ステーション日本実験棟の運用管制官の職に就く。淡い夢だった宇宙飛行士が目の前で働く環境だ。
 昨年、そんな上江洲さんの変化に共感した姉が入会した。
 
 「僕が“活動家”になるまで4年以上、何度、矢野君に面倒な質問をぶつけてきたか分かりません。それでも、ずっと辛抱強く寄り添ってくれたから、今の僕があるんです。折伏してくれたのが矢野君で本当に良かった」
 

 
 「池田先生とウィックラマシンゲ博士の対談集にさ……」
 上江洲さんが興奮気味に語る。矢野さんは、記憶をたどるのに一生懸命。最近では、上江洲さんの求道心に学ぶことも多い。
 
 社会人になった今、それぞれの地で奮闘する二人に“優秀さ”とは何か、聞いてみた。答えは同じだった。
 
 「知識とか以上に、現実を変えていく智慧であり、行動に移す勇気だと思います」
 続けて、「そのためにも絶えず自分を見つめ変革する、折伏の挑戦が必要」と。
 
 二人が活躍する本舞台は、いよいよこれから。学生時代の「学び」と「戦い」を基盤に、世界へ、宇宙へ――。

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