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「心理的安全性」--率直に意見を交わせる組織づくり 2021年9月17日

  • 電子版連載【駒崎弘樹の「半径5メートルから社会を変える」】〈12〉

 連載「駒崎弘樹の『半径5メートルから社会を変える』」では、認定NPO法人フローレンス代表理事の駒崎弘樹さんに、さまざまな社会課題について聞きます。
  
 今回のテーマは、「『心理的安全性』――率直に意見を交わせる組織づくり」です。皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
  
 ※今後、取り上げてほしいテーマを募集します。記事の最後に記載したメールアドレス宛てにお送りください。

■コロナ禍の今こそ求められている

 ――近年、「心理的安全性」という言葉が着目されています。フローレンスでも社内で心理的安全性に関する研修を行ったそうですね。

 駒崎 つい最近ですが、ベストセラー『心理的安全性のつくりかた』(日本能率協会マネジメントセンター)の著者である石井遼介さんを講師に迎えて、心理的安全性についての社内研修を行いました。

 ――「心理的安全性」が着目されるようになった経緯は?

 駒崎 「心理的安全性」という言葉は、最近登場したバズワードなのかと思いきや、実は1965年から提唱されている概念で、意外と骨太な研究テーマなんです。
 心理的安全性がビジネスシーンに登場したのは2016年。その頃、グーグルでは、「プロジェクト・アリストテレス」と題し、「社内でパフォーマンスを効果的に発揮しているチームとはどんなチームか」について調べていました。

 サイエンティストが膨大なデータを分析した結果、真にパフォーマンスを発揮するチームの重要な要因として挙げられたのが、心理的安全性でした。

 ――「心理的安全性」について教えてください。

 駒崎 詳しい説明は専門家に譲りますが、一言で言えば、心理的安全性とは「役職や地位にかかわらず、誰もが率直な意見や素朴な疑問を交わすことができる環境のこと」だと理解しています。そしてそれは変化の激しい今の時代にこそ必要なものだと思います。

 かつて、日本社会では、米国や英国に追い付くために必死に頑張ることが「正解」とされていました。それが今は変化の激しい時代となり、「正解」は固定的なものではなくなりました。
 しかも今は、われわれの社会は、コロナ禍のもとで方針や、「それまで良しとされていたこと」が月単位、週単位で変化しています。

 そんな中で、あたふたしながらも暫定解を模索しては、その都度、意思決定を行っているのです。そんな状況下で求められるのは、「チームの柔軟性」です。

 変わりゆく「正解」に対して、チームで学びながら暫定解を導き出す。そして、それをアンラーン(意識的に学んだことを手放す)し、新たに学びながら次なる暫定解を示していく――こうした学習のサイクルを促進するのが心理的安全性です。

■そこは異論を挟める空間?

 ――「誰もが率直な意見や素朴な疑問を交わすことができる」。とても理想的な考えですが、日本人は実践しにくい人が多い気もします。

 駒崎 確かに日本人は率直に意見を伝えること、特に反論を示すことが苦手かもしれません。“健全な衝突”によって学びと成長が生まれ、高いパフォーマンスにつながることを各々で理解、経験できるといいのでしょうね。

 NASAは1986年1月、スペースシャトル「チャレンジャー号」を打ち上げ、爆発事故を起こしました。事故後、検証してみると、現場の技術者の間では、技術的な問題に気付き、その危険性を認識したものの、上司の反発を恐れて会議で指摘できなかったことが分かりました。もし、心理的安全性が高ければ、乗組員が命を落とすような事故は防げたのかもしれません。

 大韓航空では事故率を下げるために、機長と副機長の関係をフラットにし、異論を言いやすくするために、韓国語ではなく英語で会話するそうです。

■まだまだ「伸びしろ」はある

 ――弱みも含めて「自分らしさ」として、さらけ出していくようなリーダーシップも注目されています。これも心理的安全性とつながるような気がします。

 駒崎 僕自身、起業した頃は、「強いリーダー」を目指していたのですが、ある時から「それは無理だな」と思えるようになって、完璧なリーダーを手放すことにしたんです。
 そうすると足りないところは周囲が自主的に埋めてくれるようになりました。
 弱みを見せる方が、相手も親近感を持ってくれて手を差し伸べやすくなるのかもしれません。そのことに気付かされてからは、自分の足りない部分もどんどん出していこうと思うようになったんです。

 それとともに学んだことは、相手の立ち位置を踏まえた振る舞いです。
 社員に対して、こちらが軽く意見を言っただけであっても、言われた社員にとっては、「組織のトップから言われた」と受け止めます。そんなつもりはなくても「それは命令ですか?」と言われてしまうことがあるんです(笑い)。
 そのようにポジションパワーが発生してしまうことに無頓着でいると、心理的安全性を低下させてしまうでしょう。

 「心理的安全性を高められる部分はまだまだある」と感じていますが、それは、「まだまだチームに成長の伸びしろがある」ということでもあるのだと思います。

 
 
 ●最後までお読みいただき、ありがとうございます。ご感想、取り上げてほしいテーマなど、ぜひお寄せください。
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