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〈SDGs×SEIKYO〉 最近、話題の「クラウドファンディング」、知っていますか。 2024年3月9日

  • For Good代表・小松航大さん(株式会社ボーダレス・ジャパン)

 最近、話題の「クラウドファンディング(クラファン)」、知っていますか。資金を集めているのは聞いたことあるけれど、何だかよく分からない……。そう思っている方も多いはず。社会課題の解決を目指すクラウドファンディング「For Good」の代表・小松航大さん(株式会社ボーダレス・ジャパン)に、その仕組みや歴史、方法などについて聞きました。
 

〈プロフィル〉
 こまつ・こうだい 1998年、香川県生まれ。高校時代にヒッチハイクを始め、大学進学後は、中東、アフリカ、南米を中心に27カ国・地域を訪れた。海外の貧困地域でボランティア活動をする中で、不条理な社会の仕組みを是正したいと思うように。帰国後、23歳で株式会社ボーダレス・ジャパンに入社。24歳で同社の新規事業としてクラウドファンディング「For Good」を設立。25歳で代表に就任した。Instagramは@codykomatsu、X(旧Twitter)は@Jam_Obasan__
 
〈プロフィル〉  こまつ・こうだい 1998年、香川県生まれ。高校時代にヒッチハイクを始め、大学進学後は、中東、アフリカ、南米を中心に27カ国・地域を訪れた。海外の貧困地域でボランティア活動をする中で、不条理な社会の仕組みを是正したいと思うように。帰国後、23歳で株式会社ボーダレス・ジャパンに入社。24歳で同社の新規事業としてクラウドファンディング「For Good」を設立。25歳で代表に就任した。Instagramは@codykomatsu、X(旧Twitter)は@Jam_Obasan__  
 
 
今回のテーマは「パートナーシップで目標を達成しよう」

 
 ――そもそもクラファンって、よく分からないという人も多いです。

 クラウドファンディング(クラファン)とは、群衆(クラウド)と資金調達(ファンディング)を組み合わせた言葉です。簡単にいうと、実現したいことがある人々や会社、各種団体(プロジェクト実行者)が、インターネットを通し、不特定多数の人々(支援者)から資金を募ることを指します。

 その特徴は、銀行融資や投資といった従来の資金調達の方法と違い、「このプロジェクトをサポートしたい!」「この人を応援したい!」という、プロジェクトや実行者に対する「共感」をベースに資金が集まること。そして、リターンの内容がお金ではなく、モノや体験、サービス、お礼、報告などになることです。

 私たち「For Good」をはじめとするクラファンのサービス提供者(プラットフォーム)は、そうした「プロジェクト実行者」と「支援者」の双方の間を取り持っています。これまでにない仕組みなので、とっつきにくさがあるのかもしれません。
 

クラウドファンディングの仕組み(画像提供:株式会社ボーダレス・ジャパン)
クラウドファンディングの仕組み(画像提供:株式会社ボーダレス・ジャパン)

 
 ――なるほど。そもそも、クラファンはどのようにして生まれたのですか。

 不特定多数の人々から資金を募ること自体、古くからあったものですが、現在の形のクラファンは21世紀以降、アメリカで生まれたといわれています。インターネットの普及により、手軽かつスピーディーに資金が調達できる環境が整えられたためです。

 日本では、2011年の東日本大震災をきっかけに、クラファンが広がったといわれています。震災に直面した当事者への支援をスピーディーに進めなければならない。しかし、従来の資金調達の方法では、行政や企業内での決裁のあり方などの問題で遅くなってしまう。そこで、当事者自らが声をあげ、寄付を直接募ることができるクラファンに注目が集まりました。

 今年の元日に発生した能登半島地震でも、クラファンが活用されています。私たち「For Good」も緊急支援チームをつくり、翌日には緊急支援を募るプロジェクトをホームページに掲載しました。
 

「For Good」のホームページにはプロジェクトが数多く掲載されている(本人提供)
「For Good」のホームページにはプロジェクトが数多く掲載されている(本人提供)

 
 ――自分もやってみたいと思いましたが、どうすればできますか。

 支援者であれ、プロジェクト実行者であれ、まずは、クラファンのプラットフォームのホームページにアクセスし、「知ること」が第一歩になります。

 では、「For Good」のプラットフォームを用いて説明します。支援したい方はまず、興味のある分野や課題をホームページで検索してみてください。

 例えば、「地域」と検索すると、
「『耕作放棄地を公園であり農園に』子どもと一緒につくる遊び場へ」
「令和6年能登半島地震に対する緊急支援」
など、プロジェクトの目標・目的が表示されます。

 とともに、「支援総額」や「達成率」「残り時間」も閲覧可能です。

 そして、ニュースメディアのように記事と写真で構成された「課題の現状」を確認することができます。

 その上で、賛同できるプロジェクトに対し、1000円、2000円といった少額から支援することができます。

 一方、プロジェクトを実行したい方は、過去の事例を参考にしたり、私たちのようなクラファンのプラットフォームに相談したりすることをおすすめします。
 

世界を旅していた頃の小松さん(本人提供)
世界を旅していた頃の小松さん(本人提供)

 
 ――小松さんが社会課題の解決に関心を持つようになったきっかけは何ですか。

 私は、幼い頃からサッカーと読書が好きだったんですが、ある日、国語の教科書を読んでいて、「ハゲワシと少女」という写真に目がくぎ付けになりました。

 内戦が続くアフリカのスーダンで、うずくまっている痩せこけた少女を、背後からハゲワシが狙っている瞬間をとらえたものでした。

 “自分は何不自由なく育っている一方で、世界では、こんなことが起こっているのか”と、子どもながらにショックを受けたのをよく覚えています。その場では何もできませんでしたが、いつか世界で起こっていることを自分の目で見て、何とかしたいと思うようになりました。

 実際に、スラム街を中心に世界一周の旅をしたのは大学在学中、20歳の時です。世界は、不条理な出来事がまかり通っていました。出会う人、出会う人、全く裕福ではありませんでした。それでも、私を自宅に泊めてくれたり、ご飯をごちそうしてくれたりしました。

 私の中で段々と“自分に関わってくれた人たちに何か恩返しがしたい”、さらには、“不条理な社会の仕組みを是正したい”という気持ちが沸き起こってくるのを感じました。

 特に、エチオピアでの首絞め強盗事件が、私の人生を決定的にしたと思っています。
 事件に巻き込まれた私は、財布もパスポートも全て失うとともに、人生で初めて「死」を強く実感しました。“後悔のないように生きたい”と身に染みて感じました。
 

エチオピアで出会った子どもたち(本人提供)
エチオピアで出会った子どもたち(本人提供)

 
 ――小松さんが設立した「For Good」は、社会課題の解決を目指すプロジェクトに特化し、「掲載手数料0円」のクラファンとして知られています。目指していることは?

 これまで、社会課題の解決は、一部の限られた人のもののように思われていました。たとえ、「社会のために何かをしたい」という思いがあっても、どうしたらいいのかが分からず、結局、何も行動を起こせずに終わってしまうことが多くあります。

 私たちは、誰でも世界をより良く変えられる未来をつくりたいと思っています。目指すは、クラファンという「共助」の仕組みによって、たくさんの人に課題解決の実践者として関わってもらうことです。

 そうやって多くの人に関わってもらうことで、可視化されていなかった社会の課題をあぶり出せる。いわば、ジャーナリズムの役割を果たすこともできると期待しています。

 「For Good」は、まだ設立1年半です。ですが、ありがたくも750個のプロジェクトに7万人もの方々に関わっていただき、8億円近くの支援金額が集まっています。
 

小松さん(後列左端)が「For Good」の皆さんと(本人提供)
小松さん(後列左端)が「For Good」の皆さんと(本人提供)

 
 ――クラファン自体、SDGsの17番目の目標「パートナーシップで目標を達成しよう」の達成に深く関わっていると思いました。

 そうですね。

 解決すべき社会課題は、まだまだたくさんあります。私たちには、無限の可能性と共に、大きな責任があります。これからも、仲間と一緒に、もっと大きなインパクトを与えられるように努力をしていきます。
 

(本人提供)
(本人提供)

 
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