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〈Seikyo Gift〉 健康PLUS 朝散歩で心身を整えよう 2021年5月2日

精神科医 樺沢紫苑さん

 新緑がまぶしい、爽やかな季節を迎えました。朝の時間を活用して「朝散歩」をしてみませんか。朝に散歩することは、運動不足を解消するだけでなく、心と体を整える効果があります。朝散歩の始め方や健康効果について、精神科医の樺沢紫苑さんに聞きました。(3月23日付)
 

〈ポイント〉

 ① 起きて1時間以内に15~30分歩く
 ② 行く前にコップ1杯の水を飲む
 ③ できるだけ速く、リズム良く歩く
 

早起きする必要はない

 朝はボーッとしてやる気が出ない、メンタルの調子が悪い、仕事のパフォーマンスを上げたい。そんな方には、朝散歩をお勧めします。朝散歩には、心身の健康を整えるメリットが多くあるからです(別掲)。
 私が提唱する朝散歩とは、起きてから1時間以内に15~30分の散歩をすることです。ポイントは、早起きする必要はないということ。自分が起きてから1時間以内を目安に、午前中であればOK。朝は水分不足の状態のため、朝散歩の前に必ずコップ1杯の水分補給をしてください。
 メンタルが疲れている方は15~30分、運動不足解消を兼ねたい方は、1日の最低限の運動量である20分を目安にしてください。30分以上の朝散歩は健康効果が頭打ちになるので、長く歩く必要はありません。15分が難しい人は、最初は5分からでも効果があります。
 高齢の方や朝の調子が悪くて歩けない方は、日なたぼっこから始めましょう。リビングの窓の前、ベランダや庭などの日当たりが良い場所で、椅子などに腰掛け、本や新聞を読みながら15~30分過ごすだけでも健康効果は得られます。
 

始めてみることが大切

 歩く際には、「マインドフルネス」をお勧めします。マインドフルネスとは、過去や未来ではなく、今この瞬間に意識を向けることで、ストレス発散や脳を休める効果があります。朝散歩でいうと、余計なことを考えずに、「空がきれいだな」「鳥のさえずりが聞こえる」「風が気持ちいいな」「桜が咲いてきた」など、目に入ってきたものや感じたことを、そのまま受け止めながら歩くことです。
 また、「毎日行かなくては」と気負う必要はありません。当然、やった分だけ効果はありますが、週に3、4回でも十分だと思います。私は、週5日ぐらいで、行かない日もあります。週1回でもいいので、まず始めてみることです。外出する機会が減りがちな今、朝の時間を活用し、健康ですがすがしい一日一日を過ごしてほしいと願っています。
 

〈こんなメリットが〉

 朝散歩の健康効果は、セロトニンの活性化、体内時計のリセット、ビタミンDの生成など、多岐にわたります。

●セロトニンの活性化

 セロトニンは、気分の安定や、ストレスの発散に関係する脳内物質です。不足すると感情が不安定になったり、朝起きられなくなったりして、自律神経の乱れやメンタル疾患などの体調不良を引き起こします。
 体内の“セロトニン工場”は、太陽の光を浴びたり、歩行や咀嚼(ご飯をよくかむ)などのリズム運動をしたりすると、スイッチがオンになります。朝散歩をしていて、「気持ちが良いな」「今日も頑張ろう」と感じたら、セロトニン工場が動きだした証拠です。主に朝から日中につくられ、夕方以降は下がります。
 セロトニンは、集中力にも関与しています。在宅ワークの方は、通勤の代わりに朝散歩をすると、集中力が高まり、仕事のパフォーマンスが向上します。また、食欲をコントロールする働きもあるので、夜中にドカ食いをしてしまう人などは、朝散歩を試してみてください。
 

●体内時計のリセット

 私たちの脳や臓器には、「体内時計」があります。この体内時計は、一日24時間より10分ほど長くなっており、毎朝、太陽の光を浴びることで、体内時計のずれはリセットされます。
 この体内時計を基準にして、数え切れないほどのホルモンや脳内物質が働き、心身を健康に保っています。
 私たちが仕事をする時に時計がずれていたら大変なことになりますよね。それと同じように、体内時計が狂うと、変な時間にホルモンが出てしまい、マイナスの効果になってしまうのです。例えば、コルチゾールというホルモンは、朝起きた時に出て全身の活力を高める働きをしますが、夜に出ると不眠につながります。
 体内時計の乱れは、あらゆる体調不良、特に生活習慣病、自律神経失調症、メンタル疾患に大きく影響します。また、引きこもりや不登校の原因にもなります。
 

●ビタミンDの生成

 ビタミンDは、体内でカルシウムを吸収して骨を作るのに必要不可欠な栄養素です。免疫力を高める働きがあり、ビタミンDが多い人は新型コロナウイルスが重症化しづらいという報告もあります。しかし、日本人の約8割が不足気味と言われており、欠乏すると骨粗しょう症が進みます。
 ビタミンDは、魚類やキノコ類などの食べ物から摂取できますが、自分の体内でも生成することができます。その方法は、皮膚を紫外線に当てること。美容の観点から日焼けを気にする方もいますが、紫外線に全く当たらないのも体に良くありません。どうしても気になる場合は、顔ぐらいには日焼け止めを塗ってもいいですが、できるだけ「太陽の光」を浴びる機会をつくってほしいと思います。
 

〈Q&A〉

 Q 雨の日でも効果はある?
 曇りや雨の日でも、十分な照度があり、朝散歩の効果は得られます。ただ、雨風が強い日は、無理して行かなくていいと思います。

 Q サングラスはかけてもいい?
 効果を考えると、サングラスはNGです。太陽の光が目の網膜を刺激することで、セロトニンの活性化がスタートするからです。

 Q 通勤やペットの散歩は含まれる?
 含めていいと思います。ただし、だらだら歩かず、「イチ、ニ、イチ、ニ」とリズム良く歩きましょう。また、日なたの道を歩くようにしましょう。

 Q 音楽は聴いてもいい?
 歩くことに集中した方がいいと思います。慣れてきたら、音楽を聴いてもいいと思いますが、ラジオや英会話などの情報量が多いものはNGです。

 Q 夜勤の場合は?
 休日や日勤の日など、朝起きられる日に行くことをお勧めします。週1回でも朝散歩をすれば、その日の晩はぐっすり眠れるでしょう。

 Q 朝食のタイミングは?
 朝散歩の後に食べるのがいいと思います。咀嚼がセロトニンの活性化を促すからです。お薦めはバナナ。セロトニンの合成を助けるトリプトファンが多く含まれています。

 Q 朝起きるのが苦手です。
 私たちの体は、朝日を浴びてから15~16時間後に眠気が出るようになっています。朝7時ごろに朝日を浴びると、夜11時ぐらいに眠くなり、その時間に寝ると、朝起きられます。朝が苦手な人ほど、朝散歩をすると睡眠と覚醒のリズムが整います。
 

 『ブレインメンタル強化大全』(サンクチュアリ出版)

かばさわ・しおん 1965年、札幌生まれ。91年、札幌医科大学医学部卒。2004年シカゴのイリノイ大学に留学。帰国後、樺沢心理学研究所を設立。「情報発信を通してメンタル疾患、自殺を予防する」をビジョンとし、YouTubeや本を通じて精神医学や心理学、脳科学の知識・情報を伝える、「日本一アウトプットする精神科医」として活動。著書に『精神科医が見つけた 3つの幸福 最新科学から最高の人生をつくる方法』(飛鳥新社)など。
 

イメージ写真:PIXTA

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