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〈教育〉 子どもと歩む――“育自”日記 ポエム編 2024年9月13日

 子どもと家族をテーマにした読者からの詩を「子どもと歩む――“育自”日記 ポエム編」として紹介します。併せて、詩人・エッセイストの浜文子さんのコメントも掲載します。

◆「大丈夫だよ」

 「子育てキ・ラ・イ!」
 と娘は言う
 疲れてきたんだねと私
 障害のある双子の男の子を
 一人で育ててるんだもの
 疲れるよね
  
 でもね 朝4時に起きて
 二人の好きな物入れた
 キャラ弁作ったり
 学校の送り迎え
 アルバム作りは
 一冊ずつコメントを添えて
 作ってるよね
 嫌いな人はできないよ
  
 みんなで出掛けても
 二人はママと手をつなぐ
 後ろから見てると
 ママ大好きなの見えるよ
 必ず 二人は
 ママのチカラになる日が
 来るから 待ってようね
  
 作・前田美那子
 (福井市 パート・71歳)
 

◆「実母です」

 「イチニ イチニッ」
 両手を引き
 私は後ろに下がる
 君は片足ずつ
 一歩二歩前に進む
  
 実母を知らない君
 今 何を思い 行動し
 笑みを浮かべるのか
 子供返りをしている君
 穏やかな
 お地蔵様の顔でいる
  
 幸せでいてね
 この瞬間だけは
 母親に誘われた心持ちで
 君(夫)は今 私の息子
  
 作・畠中房子
 (東京都練馬区 72歳)

◆「孫にありがとう」

 「ばあば 元気?」
 久し振りに 仕事の帰りに
 顔を見せてくれました
 「困った事ない?」
 「お金も大丈夫?」
 「ママに言いにくい時は
 私に言ってね」
  
 社会人になり
 色々な人と会い
 成長した姿に
 涙が出ました
 小さい頃からやさしく
 年のはなれた弟にも
 小さいママをしていたね
 じいじに報告しましたよ
 感謝の日々を
 元気で送っています
 ありがとう あいこちゃん
  
 作・藤井照子
 (神戸市西区 主婦・80歳)

◆「よりくんの歯みがき隊」

 歯みがきが嫌いな よりくん
 毎晩イヤイヤ
 全力で泣き叫ぶのが切なくて
 よしわかった
 パパが助っ人連れてきたよ
 クマが5匹にカエル1匹
 総勢6匹のぬいぐるみ
 パパの実家からお引越しです
  
 歯みがき隊を引き連れて
 いざや出陣のとき
 まずは大きなクマさんを
 パパの膝にごろん
 歯ブラシ当てて
 シャッシャッシャ
 よりくん眉間にしわ寄せて
 不思議そうに見てる
 お次のクマさんも
 シャッシャッシャ
 よりくん 笑顔になってきた
 さあさあ次の患者さんもどうぞ
 3匹4匹どんどん続くよ
 シャッシャッシャ
 よりくん もう身を乗り出して
 笑って見てるね
 大盛況の歯医者さん
 カエルくんまで終了です
  
 さあ ついに緊張の瞬間
 なんと よりくん
 自分からパパの膝にごろん
 歯みがき隊に囲まれて
 お口をあーんと開けられた
 偉い 偉いぞ その調子
 歯ブラシ当てて
 シャッシャッシャ
 時々顔をしかめるけれど
 仲間たちも応援してるよ
  
 作・中尾光晴
 (東京都品川区 公務員・35歳)
 

〈私の感想〉 詩人・エッセイスト 浜文子さん
「待とうね」の一言に人生の深さ

 「大丈夫だよ」。一人で育児に全力投球の娘さんから、時々ストレスが押し寄せると電話やメールが届くそう。頑張っている日々の悲鳴を作者は丸ごと受け止めます。「疲れてきたんだね」「疲れるよね」と。そして続けます。「大丈夫だよ」と。「必ず二人はママの力になる日が来るから待ってようね」と。一行の無駄もなく、育児の真理を伝えるこの詩を、私は全国の“育児孤軍奮闘中”の親の方々に記憶してほしいと思います。人は、暮らしの中で逃れられない苦しさに向き合う時、安心して泣き言を訴えられる相手を持つことは、それだけで大きな恵みです。娘さんには辛い中でも、二人のお子さんの性格の美点や得意なこと、それぞれの良さに注目し、そこを大切に育ててほしいと思います。拙著の読者の中にも、障がいのある子の母として頑張ってきた方たちが多くいらっしゃり、20代だった彼女たちも今は50代に。そして皆さん、「この子で良かった」と。そこに、子どもと付き合いながら、自分たちの人生を育ててきた時間があります。この詩の作者の「待とうね」の一言が、心に染み入ります。なんと「生きることの深さ」を言い切った力に溢れていることでしょう。
 「実母です」。作者と夫との“歩行訓練”の一場面を描きながら、彼の生い立ちの一部を、そこに重ねてみる発想が、読む者の心に響きます。夫は病の急性期を過ぎ、落ち着きを得ているのでしょう。「穏やかなお地蔵様の顔」を見せる彼の姿は、そのまま作者の優しさを映したもの。人生の大変な情況の時、作者の豊かな想像力が現実を格別な風景に塗り替えた一編の哀切な美しさに心を摑まれます。
 「孫にありがとう」。この作品には、孫のあいこさんの優しさ、こまやかさがよく表れています。誰かを案じ、案じられることの幸せと、自分の幼児期からのことを知っている人のいる幸せと、この詩は二つの年代の幸せをそっと教えます。
 「よりくんの歯みがき隊」。なんと楽しい一編でしょう。タイトルごと絵本にできる光景です。作者の遊び心フル回転の姿は、よりくんの年齢の子どもに「イヤイヤ期到来!」と身構えがちな親の方々にも参考になりますね。パパの“知恵の育児”が輝くイクメンぶりに心から拍手。

★読者の詩を募集

 子どもとの関わりのなかで気付いたことなど、子育ての日常を詩にしてご投稿ください。募集要項は次の通り。
 ▼氏名、郵便番号、住所、年齢、職業、電話(ファクス)番号(※任意で携帯電話番号)を、明記してください。 
 ▼字数の目安は500字以内。短くても構いません。タイトルも記入してください。採用分には図書カードを進呈します。
 ▼原稿が当社のウェブサイトに掲載されることもご了承ください。
 ▼作品は返却しません。同内容のものを他紙誌へ送ることは、ご遠慮ください。
 ▼宛先 
 [郵送]〒160-8070 聖教新聞「子どもと歩む――“育自”日記」係
 [メール]dokusha@seikyo-np.jp 
 [ファクス]03(5360)9610

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