• ルビ
  • シェア
  • メール
  • CLOSE

若者と政治との距離を縮めるには? 2022年6月20日

  • 一般社団法人日本若者協議会代表理事 室橋祐貴さん
  • 青年部と識者のトークイベント「Session2030」

 青年部の代表は、一般社団法人日本若者協議会代表理事の室橋祐貴さんを招いて、トークイベント「Session2030」を開催。若者と政治との距離を縮める方法についてディスカッションを行いました(6月9日、東京・信濃町で)。ここではその模様を、室橋さんの発言を中心に紹介します。
 

■山積する日本の課題の原因は正直○○に尽きる

 ――室橋さんは、若者の声を政治に届けるために日々精力的に活動しています。日本若者協議会設立に至った背景には、何があるのでしょうか。
  
 室橋 小学生の頃、よくテレビのドキュメンタリー番組を見ていました。そこで、戦争で命を落とす少年兵や、劣悪な衛生環境のせいで亡くなる赤ちゃんの姿を目の当たりにしました。それって、本人の努力で何とかする範疇を明らかに超えてしまっています。その環境をつくっているのは、現役世代の大人であることを漠然と思っていました。
  
 そうした問題意識のもと、発展途上国で働きたいと思っていて、実は、日本にあまり興味がなかったのですが、東日本大震災を契機に、改めて山積する日本の課題を目の当たりにしました。
  
 つい先日も話題になった少子化もそうですが、その原因は、将来世代の声が反映されていないというところに正直尽きるのかなと感じたんです。
  

むろはし・ゆうき 1988年、神奈川県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。2015年に一般社団法人「日本若者協議会」(Japan Youth Conference)を設立し、代表理事に就任。若者の声を政策に反映させるべく、政府や各政党、地方自治体などとの政策協議や提言を行っている
 
むろはし・ゆうき 1988年、神奈川県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。2015年に一般社団法人「日本若者協議会」(Japan Youth Conference)を設立し、代表理事に就任。若者の声を政策に反映させるべく、政府や各政党、地方自治体などとの政策協議や提言を行っている  

 ――たしかに、日本の政治は“シルバー民主主義”などといわれることがありますね。
  
 室橋 日本は政治家も非常に年齢が高く、政治家がコミュニケーションしている相手も高齢世代が多い。意思決定の場に若者がほとんどいません。
  
 一方、海外では、例えば、欧州の多くの国では、若者に関する政策を通す時に、若者に意見を聞かなくてはいけないという法律が整備されています。それを受け、若者協議会のようなものが公的に設置をされ、そこが各地域の声を集約し、代表する形で政府や、欧州であれば、EUなどに声を伝え続けています。意思決定の場に、若者をはじめ、あらゆる世代の声を聞く場がきちんと整備されているんですね。
  
 少子化が進む日本だからこそ、そうした場が必要ではないかと思い、日本若者協議会を立ち上げるに至ったという感じです。
 

■声を上げた結果……

 ――団体を設立した7年前と比較し、手応えを感じる分野などはありますか。
  
 室橋 コロナ禍における学生への給付金だったり、大学院生の若手研究者や留学生への支援だったり、最近では、いわゆる「ブラック校則」の撤廃や「こども基本法」の成立など、明らかに動けば政策として実現するなという感触を得ています。
  
 当事者である若者が声を上げた結果、反響を呼び、政治家の間でも、「若者や子どもの意見は重要だよね」という雰囲気が、全体的に醸成されてきたんじゃないかなと思います。
 

■「若者は政治に興味がない」は本当?

 ――若者に政治を身近に感じてもらうにはどうしたらいいでしょうか。
  
 室橋 絶対にやらなくてはいけないのは、主権者教育を義務教育課程でやっていくというところです。
  
 日本においては、学生運動が盛んだった1969年に文部省(当時)が出した通達で、学校の内外を問わず、政治活動が禁止され、主権者教育は45年ほど、やってきませんでした。
  
 2015年の18歳選挙権の実現を踏まえ、政治活動が一部解禁されたことを受け、主権者教育は推奨されてきたものの、教員がそもそも受けてきていないので、なかなかどうやって教えていいか分からないわけです。そこをリカバリーするのには正直、時間はかかると思います。
 

 ――なかなか難しそうですね。
  
 室橋 ただ、若者は政治に興味がないと言われがちですが、身近な生活の問題、最近で言えば、物価が高くなっているとか、学費が払えていないとか、といったことに関心がない若者は、基本的にはいないと思います。
  
 重要なのは、政治は身近な問題に関わっているということを、どこまで認識させられるかです。それらの解決の手段として政治に結び付いていないからこそ、逆に言えば、政治をうまく使えば、解決できる事例をきちんと共有していくことが重要だと思います。
 

■信用できないのは当たり前!

 ――ということは、普段から政治の“実像”に触れてもらうことが、教育のポイントになりそうですね。
  
 室橋 もしサッカーでも、ルールだけを説明されて、実際に試合を見たり、やってみたりしなければ、うまくもならなければ、面白さも分からないと思います。
  
 政治も同じです。実際に身近な問題を解決してもらい、“政治は役立つツールなんだ”と実感した上で、各政党や政治家の抽象的なイデオロギーや核となる価値観を教えていくのがいいと思います。
  
 しかし、日本では、政治家に直接会う機会はほとんどありません。それでは、マスコミが流す、議会で寝ている、スキャンダルを起こした、といった非日常的なニュースを通してしか政治や政治家の“虚像”に触れることがない。だから、信用できないのは当たり前です。
  
 また、イデオロギーや価値観だけでは、差別や偏見に結び付きやすいんです。実際の政党には、得意な分野もあれば、不得意な分野もあります。これは、非常にもったいないことだと思います。
 

 ――政治となると、不毛な議論をしているイメージがあります。
  
 室橋 対話を放棄してしまっているんですよね。海外のデモは、ある程度、熱量が高まってきたら、デモ側のトップが体制側のトップと対談することがあります。デモが問題解決につながる一つのツールなんです。
  
 一方、日本は、デモ自体が目的化していて、やって終わり。それでは、何の問題も解決していません。若者は生活に余裕がなく、実利的なメリットを求めています。敵対するだけで何も改善しないことに興味を持つわけがありません。対話を通して一歩でも前進するような取り組みが必要だと思います。
 

■進めるべき「交流」

 ――対話を通してできたつながり自体には、イデオロギーや価値観が違っても、価値がありますよね。
  
 室橋 個人的には、世代間交流を進めるべきだろうと思います。というのも、海外のZ世代と日本のZ世代は全然違います。一番違うのは、人数のパイの違いです。
  
 アメリカでは人口の2割くらいがZ世代なんです。最大ボリュームゾーンである一方、日本のZ世代は最も少ない。普通にやっていたら、その声は反映されません。上の世代の人たちの意見を変えるには、世代間交流は避けては通れません。
 

■オンラインには○○がない

 ――青年部では、各地域で地域貢献をしたり、世代を超えた座談会に参加したりしてきました。リアルな交流は、お互いが元気になるんですよね。今後も、人と人とを結ぶ中間集団として、その使命を果たしていきたいと思います。
  
 室橋 とても共感します。オンラインは基本的に興味がある人にしかリーチできないので、コミュニティーが完全に分断されています。そこには、ある種の偶然性がありません。
  
 海外では、選挙になれば、街中に小屋がたくさん設けられ、支援者が知らない人に話し掛けたり、話し掛けられたりする“偶然の出会い”があります。一方、日本では知らない人と話す機会がありません。まず、“不審者”と思われます(笑い)。
  
 また、アメリカだと、都市から離れた田舎に大学が多く、学生は寮で共同生活しているので、一緒に過ごし語り合う時間が長い。それに対し、日本の大学は都会に多く、学生は授業に出てさっさと帰ります。これでは友達もできません。
  
 人との交わりがどんどん減っている今、リアルなコミュニティーを再構築していかないと、若者はますます孤独・孤立してしまいます。
  

■ルールは自分たちで作るものだという意識を

 ――先日、『人新世の「資本論」』(集英社新書)の著者である東京大学大学院・斎藤幸平准教授と西方光雄男子部長が対談しました。
 そこで、欧米などと比べると、日本で起こる若者の運動は、長続きしないという話になりました。長続きするためにはどうしたらいいでしょうか。
  
 室橋 「自分たちは何のために活動するのか」という原点を見失わないことが必要です。確固たる思想を持たずに、短期的な風潮に流されてしまえば、変化は起こせません。
  
 ただ、日本の若者は、幼い頃から自己決定の機会が欠如しているので、自分が大切にする価値観を育めない状況があります。
  
 自分の考えを持てず、批判的思考もできない現状を打開するためには、「ルールは自分たちで作るものだ」という意識を、実際の体験を通して形成することが必要です。
  
 また、僕は周囲の大学生によく話しているんですけど、社会に出る前に、宗教や哲学を学び、自分の頭できちんと考えるという経験をすることも非常に重要だと思います。
 

 ――創価学会青年部に、どのようなことを期待しますか。
  
 室橋 創価学会は、公明党の支持団体といわれていますが、一人一人が、無批判に支持している訳ではないですよね。普段から、給付型奨学金や「ひとり親」への支援など、弱い立場の人のために制度を変えている公明党の姿を見ているんだと思います。
  
 今後は、社会問題に高い関心があるとされる高校生以下や女性の声を、より多く政治に届けていく必要があると思います。学会青年部が、公明党をはじめ、政治に対するチェック機能を大いに発揮していってほしいと思います。
  

●ご感想をお寄せください→youth@seikyo-np.jp

動画

SDGs✕SEIKYO

SDGs✕SEIKYO

三大駅伝に挑む

三大駅伝に挑む

連載まとめ

連載まとめ

Seikyo Gift

Seikyo Gift

デジタル特集

DIGITAL FEATURE ARTICLES デジタル特集

YOUTH

発表された今年のノーベル化学賞の受賞者(10月、TT News Agency/共同通信イメージズ)

劇画

劇画
  • HUMAN REVOLUTION 人間革命検索
  • CLIP クリップ
  • VOICE SERVICE 音声
  • HOW TO USE 聖教電子版の使い方
PAGE TOP