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〈シネマ〉 森田剛主演「劇場版 アナウンサーたちの戦争」 2024年9月5日

  • 8月16日から全国公開中
登壇した森田剛㊧と演出を務めた一木正恵
登壇した森田剛㊧と演出を務めた一木正恵

 太平洋戦争当時、時代に翻弄されたアナウンサーたちが苦悩する様子を描いたスペシャルドラマ「アナウンサーたちの戦争」が、昨年、NHK総合で放送され、話題を呼んだ。そして、このほど新たな映像を加えて再編集した「劇場版 アナウンサーたちの戦争」が、8月16日から全国で公開されている。公開初日に東京都内で行われた会見には、主演の森田剛と演出の一木正恵が登壇。思いを込めた作品を振り返った。

森田剛
森田剛

 森田「戦争を描いたドラマは他にもありますが、アナウンサーが主人公という視点は、なかなかないなと思いました。未来ある若者に見てもらいたい作品です」
 
 太平洋戦争では、日本軍を支える“もう一つの戦い”として、ラジオ放送による「電波戦」が繰り広げられた。政府は“声”を利用して戦意高揚を図るとともに、偽情報で敵を混乱させる“兵器”としても使用した。

©2023NHK
©2023NHK

 森田演じる、主人公の和田信賢は実在した人物。“言葉には力がある”との信念を強く持ち、人の心を打つ“天才アナウンサー”と呼ばれていた。開戦時から“国威発揚”のための放送を担当してきたが、戦況悪化の中、大本営発表を疑問視し始める。
 
 一木「(森田の起用について)和田さんと森田さんの真骨頂が、非常に近いと思ったんです。自身の才能の生かし方を計算せず、瞬間的に一番高いところで発火していくところが、すごく似ているなと。ダークヒーローとして清濁併せのんだ、善も悪も両面を演じられる方を考えた時、森田さんにお願いしようと思いました」
 
 和田という人物を、シンプルなヒーローにしたくなかったと話す一木。その言葉に、森田への厚い信頼を感じた。

一木正恵
一木正恵
◆平和の尊さを語り合う機会に

 終盤で描かれる学徒出陣のシーン。本来なら守らなければならないはずの青年たちが、戦争へ駆り立てられていく――。和田は彼らがグラウンドを行進する様子を見ながら“国家の宣伝者”として、その一翼を担っていたのは、他でもない自分自身であったことを思い知る。自らの罪の深さに耐えきれず、式の直前に実況席から離れざるを得なかった彼は、雨の中、誰にも届かない“声”を一人叫ぶ。
 
 森田「(学徒出陣の場面は)和田さんが懺悔をするようなシーンでもあるし、“本当の思い”を電波に乗せて言いたいけど言えない。だから、その場で吐き出すという、ものすごく苦しくて印象深いシーンでした」

©2023NHK
©2023NHK

 来年は、終戦から80年を迎える。
 
 森田「この話は事実に基づいたもので、昔話ではなく、“今の話”だと捉えています。この映画を見て、“自分を守りたい、大切な人を守りたい”と、皆さんに考えてもらえる時間になればいいなと思っています」
 
 戦争の悲惨さと残酷さ、言葉の重みを映し出す本作。平和の尊さについて語り合う機会となるに違いない。

【記事・写真】小滝清

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