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〈スタートライン〉 はい、こんにちは。柴崎ですよ お元気ですか。 2023年7月16日

  • 水彩画家・YouTuber 柴崎春通さん
  • 70歳から始めたチャンネルは登録者160万人に

 「はい、こんにちは。柴崎ですよ」。優しい声で視聴者に呼びかける「水彩画YouTuber」の柴崎春通さん。70歳から始めたチャンネルは、約6年で登録者が160万人を超え、親しみのこもる語り口と笑顔は、絵が好きな人だけでなく、多くの人に元気と癒やしを送ってきた。YouTubeを始めたきっかけや活動を通して感じたことなどを語ってもらった。

 ――YouTubeで配信しようと思ったきっかけは?
  
 昔からずっと絵を描いてきて、毎年個展を開いたり、水彩画講座の講師を掛け持ったりしてきました。6年前に息子から、「YouTubeをやってみないか」と提案されたんです。ちょうど、アメリカで個展をやろうかなと思っていたところでした。動画配信をすれば世界中の人に作品を見てもらえるし、海外で個展をやるとなると準備が大変だし、「じゃあ、YouTubeをやってみようか」となり、一から手作りで始めました。

 ――チャンネル登録者は160万を超えています。どういう方が視聴していますか。
  
 当初は、絵画に興味のある方や僕の講座に来てくれる60代以上の視聴者が多いのかなと思っていました。ですが、自分の思うような反応が返ってこないんですよ。
 
 どうしてだろうと思って、いろんなコメントを読んでみると、絵を見たいという人ばっかりじゃなくて、なにか癒やしを求めて見ていることが分かりました。その時初めて、世の中には、こんなにたくさん癒やされたい人がいるんだって知ったのです。
 
 ほかにも、小学生ぐらいの子どもや中高生が学校で絵が嫌いになっちゃったとか、先生にこんなこと言われちゃったといったコメントも来ました。また、中高年からは、会社でつらいとか病気で体の調子が悪いとか……。そういう人たちが僕の動画を見てくださっているのです。

 ――コメントで寄せられた悩みには、どう向き合っていますか。
  
 何か立派なことを言える人間ではないので、15歳の人だったら、僕も15歳の時はこんな感じだったかなと目線を合わせて、自分がその年代だった時の経験をお話しします。
 
 また、動画のあいさつでも「はーい、お元気ですか?」と呼びかけたり、あえて一人称を「柴崎は」とか、視聴者を「あなた」と呼び換えたりして、完全に僕とその人という関係を築けるよう動画の作りも工夫してきました。

マロンちゃん
マロンちゃん

 ――なじみある画材を「使い倒す」など人気企画はどこから発想したのでしょうか。
  
 コロナになって、自宅にいる時間が増えた時に、ただ動画を見て楽しんでもらうのもいいけど、せっかく家にいるのだから一緒に絵を描くのも面白いだろうと思ったのです。
 
 みんなが気軽に挑戦できることは何だろうって考え、鉛筆なら家にあるだろうから、それで描きましょうとなって企画が始まりました。ほかにも、息子が使った古いクレヨンがあったので、子どもさんの視聴者も多いから、今度はクレヨンで描こうと。そうやっていくうちに反響をいただくようになったのです。

 ――絵を描く上で大事にしていることは?
  
 それは、ものを感じる気持ちですかね。見えているものが当たり前ってなっちゃうと、もうそこで感じるアンテナは働かないんですよ。山が緑なんて当たり前、夏が暑いのだって当たり前、みたいになってしまうと、次の創作ができなくなる。だから日々、新しい角度で物事を見ていこうって決めてます。絵描きはそういう見方をしないと描いていけないのです。
 
 ものの価値や意味は絶対的じゃなく、相対的だったりしますから、いろんなものの組み合わせの中でイメージしていくことが大事かなと思っています。

 ――今75歳、挑戦する原動力は何でしょうか。
  
 いつも面白いことを見つけようと考えて行動しています。朝起きて、ベッドの中で猫に餌をあげて、それからトイレ掃除して……。一つずつやったとき、どんなふうにすてきになるかを想像するんです。“猫に餌をあげたらどんなふうに喜ぶかな”。大事なのは、楽しい結果を考えることだと思います。
 
 それって絵を描くことにも通じるんです。楽しいことをイメージして、それに向かってやってみる。できたときには達成感があって、しかも褒められる。“すごいなお前”“よくやったね”と。そういうことの連続です。そうやって考えると、世の中にはなかなか、楽しいことがたくさんあるんですよ。だから、そういうふうに人生をやっていけたら、きっといいんじゃないかなと思いますね。

 しばさき・はるみち 1947年、千葉県生まれ。自身の作品を多くに人に見てもらいたいと、2017年にYouTubeチャンネル「Watercolor by Shibasaki」を開設。チャンネル登録者数は169万人に上る(7月15日時点)。

 柴崎さんのYouTubeチャンネルはこちら
 https://www.youtube.com/channel/UCPiQ_mEXdEbB-3Yhiq7gq5w

マロンちゃん
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 ●インタビューを読んでの感想をぜひお寄せください。
 メール wakamono@seikyo-np.jp
 ファクス 03―3353―0087

 【記事】笹森弘明 【写真】笹山泰弘

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認定NPO法人フローレンス会長。2004年にNPO法人フローレンスを設立し、社会課題解決のため、病児保育、保育園、障害児保育、こども宅食、赤ちゃん縁組など数々の福祉・支援事業を運営。厚生労働省「イクメンプロジェクト」推進委員会座長

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