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目の前の一人を支える言語聴覚士 連載〈Color My Days〉 2023年12月11日

 自分らしく生きる若者を紹介する電子版連載「Color My Days」。第8回は、言語聴覚士として奮闘する、安達夏子さん=総広島、圏池田華陽会サブキャップ=です。夢を目指したきっかけは、“父のように困っている人を助けられるような人になりたい”との思いからでした。

■困っている人を助けたい

 父は、幼い頃に何度も中耳炎を発症したことと、機械音が鳴り響く建設現場で働いた経験が重なって、耳が聞こえにくくなっていた。

 「お父さん、呼ばれてるよ」

 両耳に補聴器を着けても、後ろから声をかけられると気付かない。そんな場面を何度も目にしてきた。

 “お父さんのように聴覚障がいで困っている人を助けたい”

 高校時代に言語聴覚士という資格を知り、大学に進学。国家試験に合格した。2年間、児童発達支援センターで働き、昨年から、広島県内のリハビリテーション病院に勤めている。高次脳機能障害や言語障害、嚥下障害など、病気の後遺症と向き合いリハビリに励む患者をサポートする毎日だ。

 転職間もない頃、病室に行っても寝たふりをされたり、「このリハビリに意味があるのか!」と不満をぶつけられたりした。リハビリの効果はすぐには感じにくい。できていたことができない“もどかしさ”も分かるつもり。それでも、父と同じ年頃の男性から感情をぶつけられると、悲しい気持ちになることもあった。
 
 “担当の患者さん、変更にならないかな……。早く退院してくれないかな……”

 人を助けたいと願っていたはずなのに、そう思ってしまう自分が、嫌だった。
 そんな時、父が心臓の病に倒れた。

■安心できるコミュニティー

 母が創価学会の信仰に励む一方、父は入会していなかった。ただ、家族が創価学会の活動をすることは、応援してくれた。

 「将来、実家を離れても、夏子を守ってくれる“安心できるコミュニティー”があるのはいいことだ」

 それが、父の口癖であり、いつも優しく見守ってくれ、座談会の送り迎えもしてくれていた。

 そんな父が息苦しさを感じ、病院へ。容体は悪く、すぐに入院となった。祈りに祈った。

 “お父さんの命を助けてください”

 地域の学会のおじさん、おばさん、子どもたちまでもが、祈ってくれた。

 父は、心臓のSpO2(血中の酸素飽和度)の数値が40%と、命に関わる値だったが、緊急手術と術後の措置によって、80%まで戻り、一命を取り留めた。
 「妙とは蘇生の義なり。蘇生と申すは、よみがえる義なり」(新541・全947)との御文の意味を感じた。

 くしくも、父は術後のリハビリ先として、自分が働く病院に転院してきた。直接、リハビリを担当することはなかったけれど、働く姿を見せることができ、“少しは親孝行ができたかな”と思った。

 病気をきっかけに、学会への理解を深めた父は、2023年1月に入会した。

■一念の変革

 自分は、池田先生と直接会ったことはない。けれど、書籍や聖教新聞に掲載される言葉はスーッと胸に入ってくる。

 「『わが一念の変革』が、すべての変革の鍵なのです」

 この先生の指針を、いつも心にとどめている。

 (※上記の画像をダウンロードしたい場合はこちら

 リハビリに励む父と接して、また、日々の祈りを重ねる中で、あらためて感じた。命の重みと、それが助かるということの尊さ。誰よりも苦しい思いをして、回復したいと願っているのは、患者さん自身だということ。

 “困っている人の力になりたくて、私、この道を選んだんだよね”
  
 その思いが、仕事に臨む姿勢を、一層、誠実なものへと変えてくれた。
 「はい」「いいえ」を発語できない患者とは、カードを使ってコミュニケーションを。トランプを使った数字の計算や、食事をのみ込むための舌の動きの練習など、一人一人に合ったカリキュラムを考え、サポートした。

 ふさぎ込みがちだった患者から、退院時に「ありがとう」との言葉をかけてもらったことは、忘れられない思い出だ。

 これからも、目の前の一人の支えになれる言語聴覚士へと、成長したい。

【編集後記】
 夏子さんは、池田華陽会のリーダーとして、仲間と懇談すると、「私には大きな信仰の体験がなくて」と相談を受けることがあるそうです。
 そんな時は「励ましたいと思える友達と出会えたり、相手に感謝できる自分になれたりっていう“身近で、目に見えないこと”も大きな体験だと思うよ」と語り合っているとのこと。
 目の前の出来事、さらに悩みさえも前向きに捉え、前に進んでいける――題目を通して心を磨いていく大切さを、夏子さんの歩みから学びました。

●最後までお読みいただき、ありがとうございます。ご感想、取り上げてほしいテーマなど、ぜひお寄せください→ youth@seikyo-np.jp

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