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〈Switch――共育のまなざし〉 太陽の静岡家族 2023年2月2日

  • 子どもに光を当てれば
  • 大人も地域も輝き出す

 昨年8月、静岡の創価学会は全県を挙げ、地区の座談会を「ミライ座談会」と銘打って開催しました。全ての地区で「未来部が主役」「未来部が楽しい」「未来部が伸びる」座談会をつくろうと取り組んだのです。その結果、未来部の参加者数は前年比で1・6倍に増加。注目すべきは、子どもたちのみならず大人たちからも「楽しかった」「学びや気づきがたくさんあった」「成長できた!」との声が多く寄せられたことです。ミライ座談会に限りません。日常の活動を通して、静岡の創価家族は「未来部に関わることは『自分の境涯』と『地域の未来』を開くこと」という実感をつかんでいました。(記事=大宮将之)
  

かなたに雄大な富士山を、手前には田子の浦港を望んで。かつて万葉の歌人も「田子の浦ゆ うち出でてみれば ま白にぞ 富士の高嶺に 雪は降りける」と詠んだ、景勝の地である(富士市で)
かなたに雄大な富士山を、手前には田子の浦港を望んで。かつて万葉の歌人も「田子の浦ゆ うち出でてみれば ま白にぞ 富士の高嶺に 雪は降りける」と詠んだ、景勝の地である(富士市で)
 
ミライ座談会

 その地区の座談会は、3年前まで未来部員の参加者数が「0」だったという。だが先月19日、富士市の富士平和会館には、未就学児を含め7人の子どもたちの姿があった。
  
 「ただ今より、新橋地区の座談会を始めます!」と、男子部員の司会第一声。学会歌のメロディーに合わせて中等部員が指揮を執る。別の中等部メンバーは得意のダンスを披露した。一人一言コーナーでも未来部員が次々と。
  
 「バレー部で今、挑戦していることは……」「教学部任用試験に合格しました」「習字をずっと習っていて……」「来年は受験なので、勉強を頑張ります!」
  

学会歌の指揮を“威風堂々”と
学会歌の指揮を“威風堂々”と
女子中等部の友が軽快にダンス! 参加者もリズムに合わせて手拍子を(富士平和会館で)
女子中等部の友が軽快にダンス! 参加者もリズムに合わせて手拍子を(富士平和会館で)

 
 先ほどダンスで場を盛り上げたメンバーの母親は「家で一生懸命練習する娘の姿を見ていたので、こうして皆さんにも見てもらえたことが、うれしくて……。私自身、小説『新・人間革命』を学び始めました」と、母娘で共に成長の日々を送る喜びを話した。
  
 何か伝わるものがあったのか、3歳の男の子が真っ先に「ワーッ」と歓声をあげて両手をたたく。会場に共感の笑顔と称賛の拍手が広がった。
  
 新橋地区では昨夏以降も、毎月の座談会を「ミライ座談会」として開催している。いったい、なぜか。
  

笑顔があるところに広布の前進もある
笑顔があるところに広布の前進もある

  
 “宝の後継者がやって来ますように!”。これは地区女性部長の佐野康子さんが、少子化の進む地域の現状と真正面から向き合いつつ、ひたすらに重ねてきた祈りだった。
  
 2020年、ある女性部員の子ども2人が入会。さらに地区内に学会員の親子が引っ越してくるなどして、現在の陣容になったのである。
  
 地区の雰囲気が明るくなった一方、気にかかる点もあった。座談会に参加している子どもたちの表情が退屈そうなのだ。長い間、未来部員がいなかったこともあり、「つい“大人目線”の内容のままでやっていたのかもしれません」(康子さん)。
  
 大人たちにしか分からない仏法用語や“学会用語”が飛び交い、未来部員が“お客さん状態”になってしまう。このままではいけないと悩む地区の壮年・婦人たちに、「思い切って未来部を真ん中に置いた座談会にしましょう」と提案したのが、男子部本部長の佐野洋介さんだった。
  

新たな学び

 まず取りかかったのが、子どもたちの“得意分野”に光を当てること。ダンスや習字、はたまた「円周率の暗唱」や手品など、それぞれが得意なことを“披露できる場”としたのだ。
  
 最初は緊張していた子たちも、みんなが温かくたたえてくれる姿がうれしくて、「次はもっとできるようになろう」と努力を重ねる。そして再び座談会で披露すると、同志もその“成長ぶり”に感嘆して喝采を送るのである。
  
 御書講義にも工夫を凝らした。洋介さんがパソコンで作成した映像をテレビ画面に映し出し、イラストや写真を駆使しながら“目で見て分かる講義”を行う。時には人気漫画「ワンピース」や「SLAM DUNK」などの登場人物を例に引き、「性格も強みもバラバラな仲間たちが、同じ夢や志を持って進む→“異体同心の団結”」といった具合に展開するのである。
  

御書講義はイラストや写真を駆使して
御書講義はイラストや写真を駆使して

  
 康子さんも、ひと役買った。「寸劇」である。“未来”からやって来た“歌子さん”という人物に扮して、「学会員が積極的に社会に関わる理由」を、ユーモアを交えつつ語るのだ。
  
 例えば「立正安国のため」と言って終わりがちなところを、子どもたちがイメージしやすいように伝えようとすると、これがけっこう難しい。まさに時代に即した「新しい表現と言葉」を生み出す挑戦だ。
 
 寸劇を見た子どもたちは納得する。「“そういう未来”をつくるために、お父さんやお母さん、地域の学会員さんたちは、活動を頑張っているのか」と。
  

地区女性部長が寸劇で伝えたこととは?
地区女性部長が寸劇で伝えたこととは?

  
 座談会が楽しくなったのは未来部員だけではない。大人たちにも毎回、新たな学びや気づきがある。「友人や若い世代の人たちに信心や学会のことを伝える時には、こう工夫すればいいのか」。
  
 わが子の生き生きとした姿に触れて学会活動を一段と頑張るようになった親御さんもいる。もともと子どもを楽しませるのが上手で、その力を司会で生かすようになった入会5年目の男子部員もいる。彼は座談会で自信を深め、対話拡大にも励むようになった。
   

座談会の司会は入会5年目の男子部員が務める
座談会の司会は入会5年目の男子部員が務める

  
 新橋地区の友がなぜ、毎月の座談会を「ミライ座談会」と呼ぶのか。「未来部のための座談会」を意味するだけではない。わが地区・わが地域の「未来を開くための座談会」だと確信しているからだ。
  

新橋地区「ミライ座談会」の参加者が記念のカメラに
新橋地区「ミライ座談会」の参加者が記念のカメラに
 
明るい何か

 「太陽の静岡家族」――池田先生は、この同志愛の世界をそう表現した。
  
 静岡県の日照時間は全国屈指。気候も温暖なことで有名だ。静岡創価学会の子どもたちも、太陽のようなまなざしに包まれている。
 
 「いつも励ましてくれる学会員さんがいる」と語る未来部員は数知れず。地区の子どもたち全員の誕生日を覚えていて、その日が来るたびにお祝いのメッセージカードを届けに来てくれた同志や、部活の大会などの応援にまで駆けつけてくれた創価家族の思い出を、懐かしそうに振り返る青年も少なくない。
  

静岡葵文化会館の上空から。静岡市の葵区、駿河区、清水区などの街並みが見える
静岡葵文化会館の上空から。静岡市の葵区、駿河区、清水区などの街並みが見える

 
 静岡市葵区に住む佐藤秀妃さん(静岡総県少女部長)は、未入会の父親が信心に無理解だったこともあり、未来部時代に活動した記憶はない。だが同じ団地に住んでいた“学会のおばあちゃん”の優しさは覚えている。
  
 佐藤さんの家は経済的に苦しく、中学生の時に両親が離婚。大学進学も諦めた。“どうして自分だけ……”と心がささくれ立ったことは、一度や二度ではない。“学会のおばあちゃん”は察していたのだろうか。団地内で会うたびに柔らかな笑顔で声をかけ、話を聴こうとしてくれた。
  
 自分のことを気にかけてくれる人がいる――それだけで、佐藤さんの胸に“明るい何か”が差した。後に発心して未来部の担当者になった時、脳裏によみがえったのは、当時のそうした光景である。
  
 「今度は私が」――少年少女合唱団をはじめ子どもたち一人一人に、「温かな思い出」を残そうと尽くす日々だ。
  

葵区の創価家族が少年少女部歌「Be Brave! 獅子の心で」に合わせて
葵区の創価家族が少年少女部歌「Be Brave! 獅子の心で」に合わせて
 
苦手だったのに

 同じく葵区在住の伊藤雄基さん(男子部部長)は、同区「正義レインボー合唱団」のスタッフである。
  
 2002年11月、かつての同級生の母親から学会の話を聞いて入会した。当時19歳。暴走族に身を置き、荒れた青春を送っていたという。信心を始めて「変わりたい!」と願う彼の決意を知った男子部の先輩から、「宝の子どもたちを育ててほしい」とスタッフの話を持ちかけられた。
  
 「いや、俺、そもそも子どもが苦手で……」と尻込みしたものの、意を決して合唱団の輪の中へ。勉強やクラブ、友達関係などの課題にぶつかるたび、唱題に挑戦し、乗り越えていく子どもたちの姿に驚いた。悩みを抱えるクラスメートに「お題目を送る!」と決めたメンバーの純粋さに触れて、自らの友人と向き合う姿勢を見つめ直したこともある。
  

葵区「正義レインボー合唱団」の友が「少年少女きぼう新聞」を学ぶ
葵区「正義レインボー合唱団」の友が「少年少女きぼう新聞」を学ぶ

  
 さまざまな困難を乗り越えて、みんなで臨んだ合唱祭。少年少女たちのハーモニーに何度、ほおを涙で濡らしたことだろう。
  
 親孝行に励むメンバーの姿に勇気をもらい、伊藤さんは母親と仏法対話を重ねた。15年越しの対話が実った時、胸に込み上げたのは子どもたちへの感謝だった。「育ててもらっていたのは、むしろ自分の方だったんだ」
  

葵区「正義レインボー合唱団」のメンバーをはじめ地元の未来っ子たちが朗らかに(静岡葵文化会館で)。区少年部長の竹内翔さんと区少女部長の友田いづみさんを中心とした合唱団のスタッフが、宝の子どもたちに励ましを送っている
葵区「正義レインボー合唱団」のメンバーをはじめ地元の未来っ子たちが朗らかに(静岡葵文化会館で)。区少年部長の竹内翔さんと区少女部長の友田いづみさんを中心とした合唱団のスタッフが、宝の子どもたちに励ましを送っている
 
恩返しがしたい

 太陽は変わらない。どんな時もただ黙々と、光を注いでくれる――創価大学に通う沼津出身の矢吹達也さん(学生部副部長)にとって、郷里の創価家族は太陽のような存在だという。
  

駿河湾に面する沼津市
駿河湾に面する沼津市

 
 小・中学時代にいじめに遭った時も、受験勉強に挑んだ高校時代も、皆の支えがあったから負けなかった。当時の未来部担当者だった瀧本哲也さん(地区部長)や伊澤啓太さん(圏男子部長)が何度も何度も自宅に足を運び続けてくれたこと、会合で体験発表した時に喜んでくれた同志の笑顔、ご馳走になった焼き肉の味……。どれも忘れられない。未入会の祖母は、創大に進学した矢吹さんの成長の姿に感動して信心を始めた。
  
 矢吹さんは在学中、心労が重なって心身のバランスを崩し、実家に戻ったことも。“期待して僕を送り出してくれた両親や地域の皆さん、ガッカリするかな……”。それは杞憂だった。誰もが「お帰り、たっちゃん!」「ゆっくり休もうよ!」と変わらぬ笑顔で迎えてくれたのである。瀧本さんと伊澤さんも駆けつけ、話に耳を傾けてくれた。
  

矢吹達也さん(中央)が信頼する家族と共に
矢吹達也さん(中央)が信頼する家族と共に

  
 “心の充電”をして休学期間を終えた矢吹さんの胸のうちに、一つの決意が芽生えた。「古里に恩返しがしたい」。沼津に就職先を決めた。
  
 今春からスタートする新生活。男子部として伊澤さんと“共戦”できることが、うれしくて仕方がない。小説『新・人間革命』を学ぶ静岡女性部の大学校1期生となった祖母とも、共に育つ“共育”の日々が始まる。
  
 子どもたちを励ましの光で照らせば、大人も地域も輝き出す――それを、太陽の静岡家族は知っている。
  

矢吹達也さん(中央)が伊澤啓太さん(左から2人目)ら男子部の先輩たちと(沼津市で)
矢吹達也さん(中央)が伊澤啓太さん(左から2人目)ら男子部の先輩たちと(沼津市で)

  
 
 
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